+サルガッゾーン+
見つけた鍵を使い例の扉の中へ入るが、
そこは先程までのように重力を操りながら…
なんて仕掛けなどは一切無い。
SFちっくな背景に走る緑の閃光だけで、
足場も生命体も何もない妙に殺風景な空間だった。
「
遅いっきゅ~~!!」
するとその奥の方で聞き覚えのある声が響き渡る。
天井の高さも判断できそうな響き渡り具合に思わず驚きつつ
声の下方へと視線を向けてみれば、
そこにはどこか怠そうにこちらを見つめるタマラがいた。
「待ってたっきゅよ~~~!
待ちくたびれてくたびれもうけになりそうだったっきゅ!」
一行がタマラへ近付くと、座っていたのだろうか。
ピョンとその場で体勢を整えるように跳ねる。
そしてそのタマラの様子を見て一番最初に反応したのは
この光景に一番ウンザリとしているクッパだった。
「いちいち失礼な奴だ!
貴様がゆっくりしろと言ったであろう!」
「そ~んなこと忘れたっきゅ~!んでもって、
おまちどおのピュアハートはこの奥にあるっきゅ!」
「やっとかあ~疲れたー!」
少々安堵したのか、体をほぐすように腕を伸ばすと
くるりと背を向けるタマラを先頭に
この空間の最奥にある扉へと向かおうと歩き出す。
「大変だったな。いいコで賢~いタマラちゃん…」
すると一人の男の声が響き、タマラを除いた全員が立ち止まる。
それはマリオでもクッパでもない
この仲間にはいない聞いたことのない男の声だった。
「きゅんきゅん!あんまり褒めちゃいやっきゅ~☆」
しかしタマラはただその言葉を受け止め
照れるように顔を赤く染め身をよじらせる。
「…って、今のは誰の声っきゅ?」
しかし流石に気付いたその知らない声と
ついてくる一行の様子からわかる異変を見て、
背を向けていた彼らの方へと振り向く。
するとタマラの体に黒い影がうっすらと映り、
それがだんだんと大きく、濃くなっていっていた。
「きゅっきゅうううう~!?」
するとその影の上から一人の黒い男が現れたのだ。
まるで新体操の選手のように身軽さを見せつけ
タマラを踏みつけるように着地したその男は
自身の被っていた緑の帽子をズレをなおすようにツバを持つ。
「タ、タマラ!大丈夫か!?」
タマラはその衝撃によって飛ばされ、
ぴょんぴょんと跳ねるように転がったタマラだったが
驚愕としながらもなんとか意識を保っているようで
クッパの声に気付くなり何度も頷く。
奥の方へと飛んで行ってしまったタマラに近付こうとしたが
それは目の前の黒い男によって遮られてしまった。
「くっくっくっ…」
ツバを手に持ちながらゆっくりと立ち上がった男。
その体は見ての通りの全身黒のツナギのようで、
先頭に立つクッパよりは背が低めだ。
そして掴んでいたツバを軽く上に持ち上げると、
隠れていた瞳の奥にある赤い光が覆面越しに笑った。
《貴方…何者っ!?》
彼の気配は察知できていなかったのか、
珍しく焦りの感情を現すアンナに対し
目の前の黒い男は余裕ぶった様子で鼻で笑った。
「オレはノワール伯爵に仕える期待のニューフェイス。
緑の貴公子こと…
ミスターL!!」
名乗ったと同時に彼の決めポーズなのだろう、
その場でクルクルと体を回転させると
右腕を上に、左腕を真っ直ぐ左に向け
まさに"L"という文字を体で表現させる。
《ミスター…L?》
ノワール伯爵という単語に全員が臨戦態勢を取る。
最初の警戒していたミステリアスさのイメージが抜け
拍子抜けするように思わず全員が呆然と見つめていた。
だがその謎の沈黙を打ち破るように
クッパはブンブンと顔を横に振る。
「ミスターL…だと?」
「おっと、このイカス名前を覚える必要はないぜ。
何故ならお前達はここで宇宙のもずく…じゃなくて、
藻屑になっちまうんだからな」
そう言いながら長い足でゆっくりとクッパへ近付く。
彼の所々抜けている発言とは裏腹の力強い声色に
マリオは警戒しつつもどこか引っ掛かるような違和感に
ただ不思議そうに眉をひそめながら注目していた。
「フヌケ大魔王なんか怖くないぜ!!覚悟しろ!!」
そう言い放った直後、ゆっくりと歩めていた速度を速めながら
右腕の肘を曲げながら下へと降ろす。
そんな走る速度は思っていたよりも素早く
その勢いのままクッパの真正面へと急接近すると
クッパに向けて下げていた右腕を思い切り突き上げた。
「うわっ…!」
「クッパ!!」
不意打ちに近いその行動によって響いた鈍い音に
クッパ以外の全員が少しだけ反応する。
その中でもマリオはいち早く反応するが、
後ろ姿ではあるものの微動だにしないクッパの様子を見て
状況を把握するために近付こうとした。
しかしその足音が聞こえていたのか、
クッパは片腕を動かすとマリオの行動を止める様に伸ばす。
するとクッパの姿に隠れているのだろう
ミスターLの笑い声が聞こえた。
「…さすがは大魔王様だ。
このオレの攻撃を受け止められるなんてな」
「フン!随分と舐められたものだな…?
こんな攻撃でワガハイに歯向かうなど!片腹痛いわ!」
ミスターLの拳を片手で受け止めながら表情は変えず、
むしろ煽るように彼を睨みつければ
真に受けたのか、悔しそうに歯を食いしばる。
そして受け止められた拳を振り払い、
距離を取るために後方へ移動した。
そしてクッパの背後にいたマリオの方へ視線を向けると
体の向きは変えないまま、彼を見下ろした。
「ああいう口が回るヤツは所詮あのピエロとやらと同じだ。
こんな者ワガハイ一人で十分!下がっていろ!!」
マリオの声を聞くそぶりも見せないまま伝え、
顔の向きを目の前のミスターLへと戻す。
彼もその怒鳴りつけるような声量に思わずたじろぎ
そのままずっしりとした足を運ばせる後ろ姿を見守っていた。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
そのアッパーは確かに簡単に受け止められた拳であった。
力加減はマリオよりは劣るがまあまあな所だったが
素早さに関してはそんな彼よりも優れている。
その一つの拳だけでクッパの中で
それは初めての感覚ではないとすぐに気付いた。
そして改めてミスターLの姿を観察してみれば、
既視感というのか、初めて見るような姿の感覚もない。
「オレよりノロマでデカブツの癖に、調子に乗るなよ!!」
言葉遣いはかなり荒いが、
その声色もどこか聞いたことがある気がする。
ミスターLがそう叫ぶとその場で力強くジャンプをした。
マリオでも一回のジャンプでは厳しいだろう
その高さのある位置まで飛び上がると
そこから体を回転しながら一気に急降下する。
回転と落下の勢いがついたところで片脚を伸ばし、
思い切りクッパに向けて振りおろした。
―ガッ!!
「っ…!」
それは先程のアッパーよりかは手応えのある衝撃。
しかしクッパに通用するかといえばそうでもなかった。
その攻撃を再び片腕だけで受け止められると、
ミスターLはさらに悔しそうに眉をひそめた。
「フンッ!!」
クッパはその状態のままミスターLを払い除ける。
空中に放り投げられた彼を確認するなり
その場で思い切り息を吸い込み始める。
パチパチと口の端から炎が漏れ始めた瞬間、
そのまま目の前に向かって勢いよく炎を吐き出した。
「っ!?あッち!!」
その吐き出された炎の大きさに驚いたのか、
それとも着地した直後だったからか。
その大きな炎からを避け切れなかったミスターLは
殆ど直撃に近かったものの
黒焦げにならないうちに咄嗟に炎から逃げ出す。
「えぇい!忌々しい炎なんてもの出しやがって…」
彼の中では全てが想定外だったのだろうか。
先程までの余裕は何だったのだろうかと思う程に
吐き捨てるように苛立ちの様子をさらけ出す。
そして十分距離を取った事を確認すれば
腰に装着していたポーチから何かを取り出す。
手出しはするなと言われたマリオ達もそれを凝視すれば
そこには見慣れたキノコの絵が書かれた缶詰があった。
「あ!ああーーっ!!」
そして器用な手つきでその缶詰の蓋を素早く開くと
中からキノコを取り出し、一口で丸呑みするように口に含んだ。
「戦闘中の回復なんて反則ーっ!!」
「ハッ!世のザコ共の気持ちを代弁できるとは!
さすがザコのド~ホ~だなァ!?」
「ワンパンチでへタってるヤツに言われてもねえ~!?」
「ビビッて動けねえやつがゴチャゴチャ喚いてんじゃねえ!!」
「一人相手に苦戦してるやつがどの口言ってんのさーっ!」
《
神菜…少し落ち着いて…》
はたしてどちらが小物なのだろうか。
神菜も思わず感情が声色に現れるも
そう言わんばかりの状況に流石のマリオも頭を抱える。
そしていつの間にか動けなくなっていたタマラの傍に
フェアリン達を付き従えたピーチが寄り添っており
そんなタマラ自身も何が起きているのかわからない状態だった。
ミスターLに関しては遠くから動かず反論する
神菜に対し
謎の余裕を含めた笑みを浮かべながらクッパの方へ向き合う。
「さあ続き……っ!?」
そんな彼の瞳に映ったのは
近距離で拳を思い切り突きだそうとしているクッパだった。
「ぶッ…!!!」
それはミスターLが打った拳とは程遠い気持ちのいい音で、
鉄拳を片頬に喰らったミスターLは
そのまま地面に突き落とされる。
その拍子に地面にひびが入り、砂煙が舞った。
「や…やったっきゅん?」
「フン!他愛もない!」
今までのノワールの部下との戦闘の事を思い出し、
長期戦を予想した後のこのあっけない結果。
ただクッパを選んでしまったのが失敗だったのだろうか。
地面に打ち付けられたミスターLはびくともせず、
立ち上がれなさそうなのを確認すると
遠くで見つめていたマリオとピーチ、
神菜とタマラがクッパの元へと近付いてきた。
「大丈夫?」
「手ごたえも何もなかったわ!」
「でも炎の勢い凄かったねえ~気分良くなったんじゃない?」
「それは確かに…スッキリは出来たかもな」
ミスターLを監視しながらもクッパを囲い、
その状態を見て全員が安心した様子を見せる。
《…ビン!ビビ~~ンっ!!》
すると監視していたボムドッカんが声を荒げ
全員がそちらへと視線を向けると
先程まで伏せていたミスターLが
片膝をつきながら立ち上がっていた。
「くそ~なかなかやるじゃねえか!」
「うわっ!もう起きてるし!」
そのまだ元気そうな姿を見て
神菜が大げさに反応すれば
流石のミスターLも悔しそうに拳を握った。
しかしそんな悔しさの震えに乗る様に
微かに笑い声が漏れている。
「こうなったら…」
そして俯かせていた顔をあげ、
彼らが居る位置から再び後方へ移動する。
丁度空間の壁に背中が当たる場所へと移動すれば
再びニヤリと怪しい笑みを浮かべ
自身の両腕を大きく左右に広げ、上へ掲げた。
「カムヒャー!メタルブラザー!!」
―ゴゴゴゴゴゴゴッ
「うわっ!なに!?」
静寂と化した空間にミスターLの声が響き渡ると
突如空間全体が大きく揺れ始める。
再び戦闘態勢を取ろうとしていたマリオ達も
その揺れで崩れてしまい、周囲を見渡す。
そしてミスターLの背後にある壁に
ヒビ割れが生じたのをタマラが気付くと、
ぴょんぴょんとその場で激しき飛び跳ねた。
「ぜっ全員ヘルメットを被るっきゅ!!」
「はっ!?」
「い~い~か~ら~被るっきゅん!!!」
そうしてタマラの言われるがままヘルメットを装着すると
タイミング良くヒビ割れが拡大し、その壁が完全に崩れ去る。
そしてミスターLが剥き出しになった宇宙空間へ身を投じると
同時に下から大きな機械が目の前に現れた。
「んなっ!?」
「はっはっはっ!見たか!!
これこそオレと魂をつないだ鋼鉄の兄弟…
その名も、
エルガンダー!!」
ミスターLと同じ緑帽子が装着されたヒゲ面のロボットから
彼の声が搭載されているスピーカーから聞こえる。
よく見ればその帽子部分が操縦席なのか、
透けて見えるガラスの向こう側に
ハンドルを両手に握るミスターLの姿があった。
しかしその機械のデザインは何とも言えない奇抜さで。
「まさか、第二形態ってやつ…」
「さあ遊びの時間はおしまいだ…今度こそ覚悟するがいい!!」
「きゃあっ!」
「っ!」
するとそのヒゲ面の口が大きく開くと
まるで掃除機のようにマリオ達を全員を吸い込む。
そして顔の向きを部屋の方ではなく
砕けてむき出しになった宇宙空間の方へ向けると
彼らを吐き出す様に宇宙空間へ放り投げた。
しかもそこは銀河の渦の中だったのか
流れのある川に流されるような感覚に陥り
いつも以上に自由に身動きが取れない。
「この空間ならエルガンダーの性能を100%発揮できる!
毎回赤いヒゲにやられてばかりのやられマニアめ…
今回はオレがやっつけてやるぜ!! 」
「な!なんだっうおお!?」
クッパが反論をぶつけようとするも
エルガンダーの素早いレーザー攻撃で妨げられる。
こうしてミスターLとの二回戦が始まった。
……………………………
「だあーーっ!!動き辛ああい!!」
銀河の渦に放り投げられ生きているだけまだマシだが
対抗するための機動力がぐんと下がってしまっている。
エルガンダーはその状況を狙っていたのか
そんな彼らにお構いなしに攻撃を続ける。
そして冷静に状況を把握したマリオは
咄嗟にアンナの力を使い、
動きを止めるとともにエルガンダーを調べた。
《エルガンダー。ミスターLが作り出した宇宙戦闘用ロボット。
炎に対する防御力が高く、多彩な武器を搭載し
様々な角度から攻撃をしかけてくるわ…》
「炎がきかないのは、クッパも同じだな…」
そう、彼らは今宇宙ヘルメットを被っているのだ。
その為、先程までは活用できていたクッパの炎も
再び封印される状態になっている。
《フェアリンか…タマラの力しかないわ…!》
そのアンナの言葉でもこの状況下で把握したのか、
全員の視線がタマラに向けられる。
天狗な態度だったタマラも
流石にその視線にビクリと反応し、萎縮する。
そして考える間もなくエルガンダーの攻撃が来るのを見て
決心したように頷くとクッパの元へと移動した。
勿論、クッパはとても驚いた様子だ。
「マ、ママを守って欲しいっきゅ…
ピュアハートも!ボクの力を使って守って欲しいっきゅ!」
その大きな瞳からは余裕さはなく
どこか必死さと恐怖が溢れて潤っている。
その小さな体から伝わる熱意を受け取ったのか
クッパは力強く頷くとタマラも同じように頷き、
そのまま彼の元に移動し戦闘態勢を取る。
「なぁ~~にコソコソしてんだ!!
さっさと散って藻屑になれっての!」
「言われてそんなのになれるかあ!!」
神菜がべーっと舌を出せば
ハンドルを握るミスターLの力も強まる。
そしてその挑発に乗るように小さなミサイル弾を発射させると
神菜の動きを追い掛けるように飛んでいった。
「ウワッ!?ついてくるんだけど!!?」
「ふん!そんなに当てて欲しけりゃ
当たるまでぶち込んでやる!!」
そしてそのまま逃げ惑う彼らに対し、
ふたたびレーザー攻撃で追い詰め続ける。
「お前はあのヘンテコロボットとは違う!
しっかりするんだぞ!」
「わ、わかってるっきゅ!」
そしてクッパは戦闘態勢となったタマラを構え
エルガンダーの標的が別の方へと向いている隙を狙い、
そのままタマラの光線を放った。
―ドシンッ!
「なッ!エルガンダー!しっかりしろ!!」
すると見事に急所に当たったのか
好調だったエルガンダーの動きが途端に鈍くなる。
「上出来だ!」
「くっそお…!!喰らえ!!」
するとすぐさま標的をクッパとタマラに絞ったのか、
ヒゲ面の大きな鼻の先端がパカッと開くと
そこから新たなミサイル弾が現れる。
そしてそれをクッパにめがけて発射させた。
…はずだった。
「おっと!こんな所にいいミサイルがっと!!」
すると大きなエルガンダーの死角に隠れていたマリオが
トるナゲールの力を使い、ミサイルを手に取る。
そしてそのままミスターLが見えない位置から、
手に持つミサイルをエルガンダーに向けて投げた。
―ドカアンッ!
しかし今までとは違って生身の人間ではなく
強力な装甲を身につけた戦闘機だ。
そう簡単には壊れはしない。
「今度こそ長期戦ってこと…っ?」
「フン!させるものか!!タマラ!」
「きゅっ!!」
そしてクッパがすかさず狙い、タマラの光線を撃ちこむ。
するとダメージが蓄積されてきているのか
徐々に装甲が剥がれ落ち
所々から煙も吹いてきていた。
「クソォォォっ!調子に乗るなアアっ!!」
悲鳴を上げ始めるエルガンダーの状態を見て
焦燥を露わにしてきたミスターLは
このまま一気に止めをさそうとしたのか、
ボタンとハンドルを操作し
今まで出したレーザーとミサイルを同時に放ってきたのだ。
「うわあっ!バッバーリ!!」
《むっほ~♪なんでも弾いちゃうっほ~!》
その今までとは違う迫力のある物量に
神菜は驚愕しつつもバーリやーで身を守る。
「あらあら!戦闘中に冷静さを失うなんて、致命的よ!」
応戦していたピーチもそう叫ぶなり、
彼女に向かって言ったミサイルにメクるルンの力を使う。
するとメクるルンの判定内に入っていた
ミサイル全てがくるりと軌道を変え、
発射元であるエルガンダーの方へと戻っていく。
―ドカアアアンッ!!
「うおおおっ!?」
さらに激しい爆発音をあげながらエルガンダーに直撃する。
そしてその拍子に舞った煙が一行の追跡を妨げ、
どこに誰がいるのかがわからない状態に陥ってしまっていた。
「く、くっそお!どこだ!どこに隠れている!?」
慌てた様子を見せつつもハンドルを操作し、
マリオ達を吸い込んだ時のように煙を吸い込ませ
視界を鮮明に戻そうと試みる。
そして綺麗になった視界で彼らを追跡しようとした時だった。
「これで終わりだ!!」
エルガンダーの装甲は見るも無残にぼろぼろだ。
そして煙が晴れた目の前に構えていたクッパと視線が合うと
彼の操縦より先にタマラが一段と大きな光線を放った。
―……
ドカンッ!!すると煙が止まらないエルガンダーのエンジン部分から
不吉な破裂音が大きく響き、操縦席も揺れる。
それを合図に連続するように
破裂するように全身から爆発音が続いていく。
「な、バカな…!?」
―
ドカアアアンッ!!スピーカー越しからその声が聞こえた直後、
エルガンダーが激しく爆発する。
一行はその衝撃に当たらないよう
各々なんとか避けていると
爆発と共に操縦席からミスターLが飛び出す。
そしてそのままノンストップで
遠く離れたサルガッゾーンへと突き抜けるように落ちていった。
「やった…?」
「さっきの事からのコレだ…一応油断はするなよ」
そしてマリオ達もタマラのアドバイスをもとに
身動きの取れない銀河の渦から無事に抜け出すと
落ちていったミスターLのいるサルガッゾーンへと向かった。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「しょ、しょんなエルガンダーがやられるにゃんて…」
そこには案の定ボロボロになったミスターLが
両膝を付きながら鼻水を垂らしてグズグズと泣いていた。
その様子からしてもう反撃する気力もないだろう。
そしてクッパを先頭にサルガッゾーンへと着地すると
気付いたミスターLはそのままた立ち上がると、
グチョグチョの顔を腕で荒く拭き取りクッパを睨みつけた。
「く…きょ、今日はこのぐらいで勘弁しといてやるぜっ!
だが覚えとけよ~!!
次に緑の女神が微笑むのはこのオレ、ミスターLだ!!」
ファーストコンタクト時の印象からガラリと変わり
まるで喧嘩に負けた子供の様な口調で
勢い良く指をさしながら吐き捨てると、
ボロボロのエルガンダーを呼び寄せるなり、
やはり一向に歯向かう事なく、そのまま離れて行ってしまった。
№56 vsミスターL
■