+カメレゴン城+
甘美でドキドキな幕が音を立てて開かれた。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
【カメレゴン】
「はじめまして。僕の城へようこそ!…なんだな」
【
神菜】
「ん…ん!?」
動揺した様子で辺りを見回す。
彼女は初めての経験なのか、状況が理解できず少し困っていた。
【カメレゴン】
「ゲヘヘ…知らないの~?
女の子とおしゃべりする時は
こういう画面にするものなんだな~」
【
神菜】
「はい…?が、画面?」
【カメレゴン】
「じゃあいっくよ~ドキドキ♡おしゃべりタ~イム!!」
【
神菜】
「だから話を遮るなーっ!!」
++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++
みる
❥はなす
かんがえる
きえる
しらべる
もちもの
ひとりごと
ジャスミン
❥カワイコチャン
++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++
カワイコチャンを選択
【カメレゴン】
「ま…まず貴女の名前を教えて欲しいんだな」
【
神菜】
「はあっ?犯罪者に名乗る名前なんてありませんー!っての!」
彼女は眉間に皺を寄せた。【カメレゴン】
「ガ~ン!つ…冷たい台詞…カメレゴンショック!」
(だけど…だけどなんだかそれがいい♡妙な快感なんだな!)
カメレゴンは今まで感じたことのない喜びを覚えた!
カメレゴンの好感度UP!【
神菜】
(何…?なにこの…ヤバイ空気…)
彼女の反応にも構わず、物語は進む。
++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++
【カメレゴン】
(つ…次はどうしようかな)
❥みる
はなす
かんがえる
きえる
しらべる
もちもの
アニメ
漫画
❥カワイコチャン
++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++
カワイコチャンを選択
【カメレゴン】
「キ…キミって素敵なんだな…ま、まるで
アニメやゲームに出てくる女子高生みたいなんだな!
け…結構気が強そうだけど、そそ…そういう所も
またすっごくチャーミングなんだな!」
【
神菜】
「ワアア!!ただでさえ怪しいのに変な事言うな!!
調子に乗ってると本気で怒るからね!?」
彼女が少しだけ後ずさると
浮遊していたフェアリー達が彼女の前に立ちはだかった。【カメレゴン】
「ひっ!クチ…口が過ぎたんだな…!
お許しください女王様っ!!」
(だけど…だけどなんだかそれがいい♡妙な快感なんだな!)
【
神菜】
「勝手にジャンルを追加するなーーーッ!!」
【カメレゴン】
(グフフ…怒った顔もバッチグーなんだな♡)
カメレゴンは怒られた!
神菜のカリスマがUP!
カメレゴンの好感度UP!【
神菜】
(なんか…え?なんでアイツ顔赤くなって…は!?)
++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++
【カメレゴン】
(な…なにしようかな)
みる
はなす
❥かんがえる
きえる
しらべる
もちもの
アニメのこと
ゲームのこと
❥将来のこと
++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++
将来のことを選択
【カメレゴン】
「僕達相性ぴったりなんだな…ここで出会ったのはきっと運命!
僕と結婚してほしいんだな~!」
その言葉に彼女の表情が驚愕とする。
しかしそこから紅潮するどころか、更に険しくなった。
【
神菜】
「なにをどうしたらそういう事になるわけ!?
さっきから私の話も聞かないでベラベラベラベラ…!
そんな話しに来たわけじゃない!アンナを救いに来たの!!
アンナはどこ!?」
【カメレゴン】
「アンナ?アンナ…アンナ…」
++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++
❥みる
はなす
かんがえる
しらべる
もちもの
"アンナ"コマンドをひたすら探し、
彼の手が震え始める。
++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++♡++++
【カメレゴン】
「そ…そんなコマンドないんだな…
なんのことかわからないんだな~!!」
【
神菜】
「あぁもう!!イライライライラ…!!
いいから黙ってアンナを出せええーーーっ!!!」
++++◎++++◎++++◎++++◎++++◎++++◎++++
みる
はなす
かんがえる
リュック
腕輪
❥フェアリン
トるナゲール
❥ボムドッカん
キえマース
へびードン
ノッテこー
ボムドッカんを選択++++◎++++◎++++◎++++◎++++◎++++◎++++
神菜はボムドッカんを使った!
ボムドッカんは爆発した!
【カメレゴン】
「うっうわ~~~~~~~~!!!」
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「…!?爆発か…!?」
一方その頃、外で待機していた三人。
マリオとピーチは鍵穴をのぞきこみ、
クッパは耳を当て中の状況を把握しようとしている状態だった。
叫び声、罵倒、謎の息遣いなど
何が起きているのか一切理解不能な音だけが響き渡り、
この立派な城の主に多少興味を持っていたクッパも
今は呆れて言葉も出ないようだった。
だが先程の爆発で全員が扉に集中し、マリオが扉に手をかけるも
鍵は開いているはずなのになぜかビクともしない。
殴ったり蹴ったりと試みるが、
光線を放ってきた猫ですら無反応だった。
「なぜ開かないのだ…!?」
「わっかんねえ…!」
「あの爆発…
神菜について行ったボムちゃんかしら?」
「しかもオタクの事だ。
神菜に危害は加えないはずだが…」
クッパも応戦するもやはり変化は現れない。
もう少しこの内部で何かが起動しない限り開かないのだろう。
焦燥の感情を抱きながらも再び鍵穴を覗き込み、
突入できるタイミングを見計らう事にした。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「うぅ…せっかくの【ドキドキ♡おしゃべりモード】が…
やっぱりリアルの女は怖いんだな…」
ボムドッカんの衝撃もあってだろう
彼の目の前に落ちているノートパソコンからも煙が吹いている。
データどころかパソコン自体が破壊されてしまったのか
大粒というより滝ぐらいの勢いのある涙を流していた。
「ゲームのキャラみたいに都合良く動く訳ないっつーの!」
《そーだそーだ!》
神菜はそれを冷たく見下ろしながらため息をつく。
するとカメレゴンが膝をついた事によって
彼の背後で隠れていカゴがちらりと覗いた。
《
神菜…?》
「アンナっ!!」
その懐かしい声を聞くなり
神菜の表情が一気に明るくなる。
そして泣き崩れるカメレゴンを横切って駆け出し、
閉じ込められているアンナの元へと近付いた。
《き…来てくれたの…?私なんかの為に…》
「あったりまえじゃん!大切な仲間なんだから!」
しかしぐずぐずと泣いていたはずのカメレゴンが
彼女達の会話を聞くなりピクリと反応する。
そしてゆっくりと立ち上がり、
彼を睨む
神菜とアンナと交互で見つめると
いつもの震えた様子で口を開いた。
「お…お前ひょっとして、
このジャスミンちゃんを連れ戻しに来たの?」
「ジャスミン…?」
「そそそ…そんな事はさせないぞ…。
お前なんかにジャスミンちゃんを渡すもんか」
先程までの怯えたものでも甘ったれたものでもない
感情が籠った低い声を彼女に向ければ
その直後にアンナの方を向き、一瞬だけ頬を染めて笑う。
「アンタねえ…!目の前で誘拐しておいて何ふ」
「ち…ちなみにジャスミンちゃんってのは、
ぼぼぼ…僕がつけた名前♡」
「だあから話を」
「チョーチョが喋るなんて最初はびっくりしたけど、
考えてみれば…ちょ…超レアっぽいんだな…
ジャスミンちゃんは僕の大事なお…お…お友達…」
やはりかつてのオタクのイメージを
体現したと言っても過言ではない。
ぼそぼそと聞き取りづらい声、
何を言っているのかわからない早口、
そして周りが見えなくなるほど
好きなものに対して熱中する感情。
一度沸騰した頭が再度噴きあがる。
「だあああーーー!さっきから話遮ってベラベラベラベラ!
アンナは私達の仲間!ジャスミンって名前じゃない!!」
しかし既に"ゾーン"に入ってしまっているのか、
神菜の声を聞くと震えた声のまま無表情になる。
「ジャスミンちゃんを奪おうとする奴は
い…痛い目に合わせてやるんだな」
「はっ…!うわっ!来るなっ!!…ってわあ!」
先程まで頬を染め跪いていた彼はどこへ行ったのか。
ズカズカと力強く地面を踏み
神菜へ接近すると
その勢いのままアンナから遠ざけるように
彼女を横へと突き飛ばす。
そしてアンナに背を向け、何かを操作したのか
そのままカゴが自動的に床に隠されてしまった。
「あっ…アンナ!」
「おっとっと!」
追い掛けようとする
神菜を自身の大柄な体で塞ぐ。
弱そうと思っていても実はクッパと同じ程の大柄だ。
かなりある対格差の事を考えて数歩下がれば
カメレゴンの口角がにやりとあがった。
すると彼の体がじわりと歪み、姿が消えてしまう。
《わああ~~!出た!隠れ身の術!》
「っ…!」
《全部隠しちゃうなんてスリリングじゃな~~~い…けど!?
僕たちからしたら…っ!?ハアア~~~~っ!!!》
「こ…これでお前から僕は見えないはず…
ジャスミンちゃんも隠したし、
こ、これでもうバ…バ…バッチリ。
あとは僕の恐ろしさをたっぷり思い知らせてやるんだな!」
「それはこっちの台詞だっての…!」
そしてやっと"本当の戦いの幕"が上がった
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
―ガチャンッ
「開いたっ…!!」
「あっ!マリオ!」
するとそれと同時に背後から扉の開く音が聞こえる。
そちらの方へと振り向けば待機中だったマリオ達の姿があり、
神菜の安堵した様子を見るなり、駆け寄った。
「カメレゴンは?」
「わかんない…さっきあの消える術使われて…」
全員が警戒しながら散らばりつつ部屋を見渡すも
完璧に透明と化してしまったためか
簡単にどこにいるのか判断できない状態だった。
そして
神菜が頭を掻きながらふと下を向いた瞬間、
体が強張る。
「ヒッ!?!」
「ヌヘヘ~…隙、あ、ありありなんだな…」
そこにはカメラを構え
ニヤニヤとしゃがみ込むカメレゴンがいた。
透明状態で彼女の足元に移動していたのだろう。
流石に気付いた
神菜も咄嗟に蹴飛ばそうとするも
それよりも早くカメレゴンがシャッターにが動いた
「
プリチーフラッシュ!!」
「っ!」
「なん…っ」
蹴飛ばそうと足を持ち上げた状態で
フラッシュが部屋全体を包み、
神菜だけではなく他の三人の視界が真っ白になる。
目が潰れそうな感覚に全員が一度瞳を庇い、
その拍子でほぼ片足立ちだった彼女が
バランスを崩し尻餅をつく。
そして瞼を開くと、やはり彼の姿は跡形もなく消えていた。
「もおおお何なのあいつ!最悪!」
「
神菜っ!」
倒れこむ
神菜を引き寄せたピーチが
庇う様に彼女を背後にうつし、パラソルを構える。
「あいつは透明になってるんだよな…」
「うむ」
「でもテレサみたいに完全に消えてる訳じゃないだろ?
実体が残ってあるなら、影も残ってるはずだが…」
その言葉を合図に彼らの視線が床の方へと切り替わる。
カメレゴン程のサイズ感の影ならば
すぐに見つかるはずなのだが
その影すらも対処済みなのか、どこを見ても見つからない。
だが積極的に手足を動かしたり炎を出したりと
カメレゴンの動向を伺いつつ
ほぼしらみつぶしで攻撃をまき散らしていた。
「…!」
するとクッパの視界に怪しい影を見つける。
天井からは何も吊るされていないのに床に落ちる小さな影。
それがどんどんと広がり、大きく濃い影へと変化したのを見て
確信した彼はその影に近付くなり大きく息を吸う。
するとタイミングよく影の上でじわりと空間が歪んだ。
「ヌヘ…?」
背中を向いていたという事もあって
クッパの存在に気付くが遅かく
それと同時に猛烈な炎が噴き出し、カメレゴンに直撃した。
「うぎぃぃっ!」
「クッパナイス!!」
纏う炎を払いよろめきながらクッパから距離を取る。
ずれた眼鏡をカチャリとかけ直し、
その炎の出所の存在を確認するなり凝視した。
「だ…誰なんだな!?
こ、ここにはカワイ子ちゃんししか…入れない部屋…!」
「少々期待をしていたが、失望したぞ!
これが城の主とはな…!」
吐き捨てる様に吠えればその威圧感に怖気ついたのか、
カメレゴンがまたぶるぶると震えたままふと周囲を見渡す。
「ふ…複数人掛かりなんて、ひ、卑怯なんだな…!」
神菜とクッパ以外のシルエットも見えたのか
憤怒も込めた震え声で
先程とはまた違うノートパソコンを取り出す。
「
ボムニャン発進!」
カタカタと素早いタイピングで何かを入力し、
その声と共に最後の綺麗なエンターキーを決めると
部屋の天井の一部がパカリと開く。
そこから見覚えのある一頭身の白い猫型機械、ボムニャンが
ボトボトと何体か落ちてきたのだ。
「ふん!こんな趣味の悪い機械ごときに構ってられんわ!」
そんなボムニャン達を押しのけ
カメレゴンに再び近付くと大きく息を吸い炎を吐き出す。
しかし二回目で行動を読まれていたのか、
同時にじわりとまたカメレゴンが姿を消してしまった。
「むぅ…!どいつもこいつも!!
姿を消すのが流行っているのか!?」
「流行ってる…?」
「たまたまだ!!」
後ろでその様子を見ていたマリオそう言葉を付け足すと
駆け寄るボムニャンを爆発寸前に倒しつつ、
再び現れるだろうカメレゴンの影を追う。
するとその様子を見ていた
神菜が何を思い出した。
「確か…あいつ結構目が悪いみたいなんだよね」
「だからあんな分厚い眼鏡をかけているのかしら」
「いや、かけてても
結構近付かないと見えてなさそうだったというか…」
お互いにしゃがみ込んだまま
ピーチのパラソルを盾にしながら考える。
そのおかげで定まらない視界では
人の形ではなく怪しいピンクの塊として認識されているのか
カメレゴンが彼女達に接近する様子はなかった。
そしてボムニャンを片付けた男二人はカメレゴンの影を探すも
透明中でも操作を続けているのか自動操作になっているのか、
気を散らさせると言わんばかりにボムニャンが投下され続ける
「きりがねぇ…」
だが密集するボムニャンを放置して爆発なんてすれば
爆破の連鎖がいきわたり大事故になる事は確実だ。
それを避けるためにも地道にボムニャンを次々と倒していく。
「…なっ!?マリオ!」
するとマリオの背後がじわと歪む。
それに気付いたクッパがとっさにマリオに声をかけるが
姿を現したカメレゴンは既に両手で構えており
ソレを頭上にあげ勢いよく振り下ろしていた。
「あ?」
「
スーパーファイナルエレガント ジャッチメンぷりりんチョオップ!!」
「んがッ!!?」
カメレゴンの持っていたもの、それは愛の気迫。
実際には何も持っておらず両手のひらを合わせているだけで
ぶれる事なく瓦割りの勢いでマリオの脳天へと直撃したのだ。
「まっ…マリオ!?」
綺麗に攻撃が決まると再び透明になり姿を消す。
マリオはというとあの体格で打ち込んだ本気の力という事もあり
声にならない痛みで呻き、
頭を抱えその場でしゃがみ込んでいた。
「ヌヘ…ヌヘヘヘ…結構…チ、チョロいんだな…」
カメレゴンのそんな声が部屋に響き渡る。
下手に身動きが取れない状況の
神菜だったが
何か思い付いたのか「あ!」と声を出した。
「…あれだ!」
「?」
「今回はちゃんと揃ってるんだからさ…」
聞こえてしまってはいけないと
ピーチへと耳打ちをすれば同意したのか力強く頷く。
そしてボムニャンの爆発を防いでいた傘を閉じると
ダッシュでマリオの元へ駆け寄った。
その彼は今だに頭を抱えてながらボムニャンの対処をしており
見渡している最中に駆け寄る
神菜が視界に入る。
「マリオ!!こっち来て!」
「っ…なんだっ?」
ボムニャン達にぶつからない様に避けると
クッパと合流していたピーチの元へと近付いた。
……………………
4人が揃い、お互いに耳打ちをしあったのちに
カメレゴンの影を捉えやすくするために部屋の四隅に移動する。
そしてその影がピタッと止まった瞬間、
部屋の四隅に固まっていた4人が一斉に動き出し
距離を保ちつつもカメレゴンの影の周りを囲うように立った。
囲まれている本人はやはり視力の問題で気付いていないのか
呑気にカメラを構えながら姿を現した。
「…う?」
その光景に一度固まる。
目の前にはピンクのドレスらしき服を着た人物が
ぼやけて見えており
それと同じ色の棒の様な物を振り回し、
その回した勢いのまま彼に向かって振りかざした。
「無断で私のポスターを作るなんて…いい度胸ね!!」
「グブっ…!?」
そう言葉をぶつけた瞬間、カメレゴンの左頬に衝撃が走る。
衝撃で眼鏡も目元から離れて床へと落ちれば
ただでさえ度が合ってなかった
視界が更にぼやけ、体がよろめく。
「次はワガハイの番だ!」
右側から図太い声が聞こえる。
よろめいた流れのままふと
そちらを向いてしまった瞬間だった。
「ビュふッ!!」
再び左頬に衝撃が走る。
それは先程のよりも強烈で、まるで鉄拳を喰らった様だった。
しかもその声にはどこか怒気が含まれているようにも聞こえる。
覚えのない向けられた怒りに困惑するも
その衝撃で無情にもカメレゴンの重い体が更に右側へ飛んだ。
「ひょえっ!?」
だがそんな感覚も一瞬だけ。
ふわりとした浮遊感から重力に引っ張られる感覚。
「触りたくもないけどっ…!」
「そっ…その声は…!!」
腰のウエストポーチを掴まれているのか、天を仰ぐ体勢となり
聞き覚えのある声がその下から聞こえてくる。
無様な姿ではあるものの窮地を救ってくれたのかと
その声に反応して視線を向けようと試みるがすぐに阻止されて。
「よいしょぉぉおっ!!」
その場で自身を軸にし
カメレゴンをその場でブンブンと振り回す。
そして勢いがつくとそのまま手を離し、宙に飛ばされる。
「おらあっ!」
そして視界の端でちらりと見えた赤い人物が高くジャンプし
カメレゴンと同じぐらいの高さまで到達すれば
そんな投げ飛ばされた彼に、
下に落とす形で回し蹴りを繰り出した。
「うぐぁああああああああああああああっ!」
―
ドシィィン!!重い体が突き落とされると激しい音が鳴り響き、煙が舞う。
丁度真下にいたボムニャン達も下敷きになった衝撃で爆破し
ボロボロの体にさらに追い打ちをかける。
「っ…と」
ボムニャンが居ない場所へマリオが着地すれば
綺麗に繋がったコンボにピーチと
神菜はハイタッチをした。
「う…うぐ…暴力反対っ!!!」
そう現実の恐ろしさを目の当たりにした恐怖か、
様々な苦痛の中カメレゴンが苦しそうに立ち上がると
また涙を滝の如く流しながら扉に向かって走り、
そのまま部屋から出て行ってしまった。
そして静まり返った部屋の中、床がパカリと開き
中から隠されていたアンナが現れる。
既にカゴから解放されていたのか、
自由の身となった彼女がふわりと舞うとマリオ達に近付いた。
《私を助けに来てくれたの…?》
「当たり前だろ。仲間なんだから」
《……ありがとう。ありがとう、マリオ》
その音色はひどく安心したような、
ため込んでいた不安を吐き出したような声色だった。
《
うれしい・・》
「ん?」
ボソリと小さく呟く。
聞き取れなかった言葉を聞き返そうと
神菜が反応すれば
アンナの体がキラキラと輝き出した。
「な…なんだ?」
アンナを初めて見るクッパが不思議そうに見つめていれば
光り輝くアンナの体から、
ハートの形をした透き通る緑が現れた。
それはまさに彼らが探し求めていたセカイを救う鍵。
大樹の緑、閉じ込められた緑、
壮絶な光景を目の当たりにした緑。
それらとは全く違う瞼が閉じてしまいそうな程の柔らかい緑。
ソレがゆらりと浮遊し、
神菜の目の前に移動する。
《ピュアハート…!?でもどうして…》
「アンナの心がピュアハートを
生み出したということ?それとも…」
全員が困惑としたまま顔を見合わせる。
するとアンナが
神菜の元へ近付き、
ピュアハートを挟む形で立ち止まった。
《
神菜…貴方が助けに来てくれたとき、
私とても嬉しかった》
「…うん」
《さあ…今は、受けとって》
そう言葉を発すれば、いっそうピュアハートが光り輝きだす。
何故アンナの元から現れたのかは解明できていなかったものの
その気持ちを受け取るよう、
神菜は素直に包み込んだ。
初めて手元に渡るピュアハートを見る
少し眩しく、とても温かかい、優しい鼓動。
「これで、4つ目…!」
「うし…帰ろう!」
《えぇ…!》
そして今までの流れを思い出し、ピュアハートを頭上に掲げる。
部屋全体が真っ白に輝き、
その眩しい光の先に黄色の扉を見つけると
その扉に向かって全員で走り出した。
№44 想い達
《ありがとう…》
誰も聞こえない空間で、また小さくつぶやいた。
-第三章END-
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