+サンデールの館+
爆弾フェアリン、ボムドッカんが新たに仲間に加わり
賑やかさが増えた一行は順調に進んでいた。
《トナ~?!原型がないビンよ~誰だかわかんないビ~ン》
《ボムなんてそのまんまでつまんないどえーす!》
アンナは相変わらずの寡黙ぶりの為
フェアリン同士の独特な会話はこれが初めてであろう。
お互いのあだ名の名付け主が目の前にいるというのに
何かと理由を付けてグチグチと言い合っている。
「…」
「フフ、元気でいいじゃない」
ただピーチは微笑ましく眺めていた。
気付けば周囲は木々に囲まれている。
と言っても自然に生えたようなものではなく
何者かに整備されているのか、綺麗に並んでおり
その木々の間には舗装された道があったのだ。
一行はその道をひたすら進んでいく。
黄昏れの空はその木々で殆ど見えない状態だ。
「…おい!見えたぞ!」
すると先頭をアンナと共に歩いていたマリオが振り向く。
彼と距離を縮め、指差した方向を見てみれば
そこにはこの世界では初めて見る建造物があった。
黄昏れの空を背景にそびえ立つ大きなお屋敷。
館にはツタが絡みその周囲には生垣で囲われている。
どこにいるのか、鳥以外に狼や虫などの鳴き声が響いており、
どこか不気味さが漂っていた。
「きっとあれが、サンデールの館ね」
「お化け屋敷~…じゃないよね?」
「まじない師って言うから、まあ…
そういうのを出してくる可能性はあるが」
「でもまあ…今回はそのサンデールさんから
ピュアハート貰えば解決って事だよね」
《…何もなければ、だけど》
見上げた館の後ろに紫の歪みが走るのも見える。
ハザマタウンで見かけたものより、大きく見えた気がした。
ひらりとアンナが屋敷入口周辺を舞う。
そして確信したのか、そう答えると扉の方へ飛び出す。
それを見たマリオはそのまま大きな扉の前に立つ。
見るからに頑丈な造りで、触れただけでもその硬さが伝わる。
そのまま握りこぶしを作ると、力強く扉をたたいた。
「…」
しかし内部からの返事は一切聞こえず、帰ってこない。
何度か繰り返すも、マリオの重いノック音が鳴るだけだ。
「もう入っちゃおうよ。
さすがに外がこの状況ならわかるでしょ」
「だな…」
神菜とピーチが彼の背後に移動すると
扉のノブを握りしめ、重い扉をゆっくりと開いた。
涼しいというよりはどことなく寒気を感じる。
歓迎の音もなく、ただ無音が彼らを待っていた。
外装に見合った広々とした玄関ホールを見上げ、扉を閉じる。
「…いる?」
「さあ…」
ただ静まり返ってるわけではない何かしらの異変がある。
マリオは本能的にそう感じていた。
とりあえず屋敷の部屋を確認しようと奥へ進んでいくと
背後から何か声のような、何かしらの音が聞こえ
最後尾にいた
神菜はその後ろを振り返る。
「…ハッ!?」
緑色の体に紫の水玉模様のついた巨大な生き物。
模様のせいか目は見えず、のっぺらぼうの様な顔で
開いた口の中には牙がぎっしりとが生えていたのだ。
「グゥゥ…ウォンッウォンッ!!」
「えッちょっ」
彼女の身長ほどあり、巨大なその顔。
動く間もなくその猛獣が彼女に大口を開けて突進すれば
勢いよくジャンプし彼女の頭上に向って襲い掛かる。
「
神菜!?」
その猛獣の鳴き声と
神菜の声で振り向くもすでに遅く
そこには彼女の姿が跡形もなくなくなっていた。
いわゆる丸のみという所だ。
抵抗しているのかその生き物から
神菜の声が聞こえる。
しかしその猛獣は既に彼らに背を向けており
マリオが駆け出した頃には
彼らが入ってきた玄関の扉を無理やりこじ開け突進している。
—ドスンッ
「あいたっ!」
神菜が短い悲鳴を上げたのはその直後だった。
鈍い音と共に玄関先に転げ落ちる。
リュックがクッション代わりになったのか
全身に強烈な痛みは特に感じる事なく
しかし打ち付けた部分をさすりながら立ち上がれば
彼女を丸のみにした猛獣はさっさと館の中へ戻っていってしまった。
《大丈夫~?》
「なんとか…」
後をつけていたのか彼女と共に飲み込まれたのか
トるナゲールがひょこっと
神菜の視界に現れる。
そして改めて館へ戻ろうと
開いた扉からそっと中を確認する。
やはりその緑の猛獣は徘徊しており
よく見れば彼女を飲み込んだ個体以外に
もう一体動いているのが見えた。
気付かれないようにゆっくりと
先程飲み込まれた辺りを覗くように見た。
「えぇ…?何なのさアレ」
《よくわかんないけどマリオ達にも襲ってたどえーす!》
「マリオ達は?」
《あっち!》
覗き込む彼女の横を軽々とすり抜け
自身の装飾で広間から奥の方を指差す。
広間から階段がのび、赤いカーテンで仕切られたその奥、
確かにそこに赤とピンクの人影が見えていた。
そして何かを話し合いながらこちらを確認していたが
神菜が覗いているのに気付いたピーチが大きく手を振った。
《しかもなにやってもビクともしなくてぇ…》
「つ、つまり?」
《華麗にかわしながら進むどえーす!》
なんとなく予想通りだった回答にハアとため息をつく。
二体の猛獣は満遍なくその階段下の広間を歩き回っており
マリオが近付けば威嚇の声で吠えていたのだ。
深呼吸をし、扉をゆっくりと全開にすると
覚悟を決め走り出した。
…………………
「おかえりなさい」
「あれなに?番犬みたいなやつ?」
「さっきアンナの力で調べてわかったのだけど…。
あの子達は確かにサンデールのバンケンだったわ。
でも貴方を危険な身にさせないために追い出してくれたのよ」
「にしては乱暴だったけどね…」
「無害なだけマシって感じだな」
「サンデールさんの存在が更に怪しくなるんだけど…」
あの体格に似つかわしいと言っていいのか
神菜よりは鈍い動きだったおかげで無傷で突破し
マリオ達と無事に合流していた。
階段をのぼった目の前に設置された
青い水晶玉越しにそのバンケンを眺める。
薄っすらと映る反転したその姿を睨みつけていると
先に辿り着いていたマリオが体の向きを変えた。
「とりあえず、扉はここだけみたいだ」
そこには先程通ってきた玄関扉程の大きさの扉。
周囲を見渡してみても確かに窓と壁を覆うカーテンしかなく
家主が現存する館への訪問者という事もあり、
今は下手に探索せずこの目の前の扉を進むしかないだろう。
「サンデールは…凶暴な方なのかしら」
「あの番犬モドキの飼い主って考えたらねえ」
《……》
「アンナ?」
アンナは何も答えずひらりとマリオの帽子の上にとまる。
その様子で何かを察したのか、彼はそれ以上声をかける事なく
目の前の扉を開くことにした。
「・…ん?」
入る前に開いた扉から漂う香り。
ピーチから香る上品なものとは違い
甘くフルーティーな香水のような香りだった。
その匂いを辿り視線を真正面に向ける。
コツコツと靴音をたて、一人のヒトがマリオ一行に近付いてきたのだ。
「サンデール様の館へようこそ!」
白いヘッドドレス、膝上の黒いワンピースに白いエプロン。
いわゆるメイド服を着た黄緑色のヒトだった。
クラシカルとは違うコスプレに近いスタイルの衣装をまとい
声からして少女だろうか、可愛らしい声でマリオを出迎えたのだ。
そして扉を開けたときに漂った
フルーティーな甘い香りの発生源は彼女だった。
頭を下げ、礼儀正しくお辞儀をする。
「ワタシ、サンデール様の召し使いでマーネと申します。
どうか"マネリン♡"とお呼びください」
「サンデール様に会いに来られたんでしょう?」
「…ああ」
「サンデール様は二階の一番奥の部屋におられます。
どうぞそちらへ御入りください」
その動作はとても洗礼されており
いくつかある扉の方へ体を向けると
その中の一つの扉に向けて手を差し出し一行を見ていた。
そこには確かに扉がいくつかあったものの
二階にあたる部分だろう場所へ繋がる階段が
地面に接する事なく何故か半分ほどの所で途切れている。
なかなか不自然な構造だと
神菜は険しい顔で眺めるも
マーネと呼ばれたメイドはこちらを向き、笑顔を見せた。
「…間違って他の部屋に入ってはいけませんよ?」
「ハ…ハ~イ」
可愛い笑顔に似合わないドスの利いた声が彼女から響く。
神菜は思わず引きつった表情を見せるも
空気を読んでか素直に頷いた。
そして再びお辞儀をしにこり微笑むと
本来の立ち位置なのだろう、
一行が入ってきた扉の所に戻った。
「…」
マリオも無言でマーネの動向を追い留まった事を確認すると
改めて彼女が案内した方向へ向きなおす。
途切れているものの二階へには続いている階段。
その下の一階部分にも扉があるのが見える。
そして一番奥には見覚えある生き物がこちらを見つめていた。
四足歩行で水玉模様、並んだ鋭い牙。
「番犬…?」
神菜にとってはあの短時間で強烈に記憶に残るシルエットだ。
しかしマリオとピーチは少し確認しただけで先へ進み
彼女も遅れないよう二階の扉の先へと向かう事にした。
………………
「…何か、ある?」
「何もなさそうね」
そこはなにもない部屋だった。
あるとすればシンプルな窓と
ただ奥にも横にも広い空間のみで
家具などは一切置かれていない、空き部屋のような状態だ。
「サンデールさ~ん!」
マリオがアンナの力を使おうとする姿を横目に
神菜はとりあえず家主の名前を叫んでいた。
「トナ…アレさ、何に見える?」
《アレ~…?》
怪しげに問いかける
神菜が見上げる方を向く。
そこはこの部屋の天井部分ではあるが
何故かこの建物の床や壁の材質とは明らかに違う
光沢のある金属質のもので、びっしりと穴が整列していたのだ。
トるナゲールが確かめようとその天井に近付いた
その時だった。
―ガシャンッ
「っ!?」
「ヒエッ!?なに!?」
部屋全体に金属音が一定間隔で鳴り響く。
その音は窓があった場所から発生しており、
そちらの方へ目線を向ければ窓に金属の柵がかけられていた。
駆け寄って手をかけても強力なのかびくともしない。
《…!マリオ…!》
「あ…あ!?」
《わ!!ワア~~~!!》
その金属音の直後、次は頭上から重低音が鳴り響き
同時に部屋全体が小刻みに振動し始めた。
そして見上げていたアンナ、近付いていたトるナゲールが声を上げ
釣られてマリオ達も見上げると
あの金属質の天井が徐々に降りてきていたのだ。
しかも謎の無数の穴からは先程までなかったトゲが出現し
その先端は窓の外から差し込む日光で照らされていた。
勿論トゲの間に入ってやり過ごせそうな隙間もない。
緩やかだった速度が徐々に速度を増してきており、
あと数秒後にはあのトゲの錆になる事は確実だろう。
そしてよく見れば部屋を探索していたのだろうピーチが
その空間の一番奥に立っていた。
「ピーチッ!!」
神菜はそのままキョトンとしていたピーチに駆け寄り
腕を掴むとそのまま扉の方へ無我夢中に走り出す。
まだ扉付近にいたマリオはその様子を見て追う事はせず
扉を開いてすぐに脱出できる状況を作っていた。
そして天井のトゲがピーチのティアラギリギリまで届いた時
飛び出すようにその部屋から脱出した。
「ハア…ハア…ハア…」
「ハア…何が起きた?」
全員が切らした息を整えながら状況を整理する。
喋れない
神菜はただ中腰で息を整えている中
ピーチが静かに手を顔の横に掲げた。
「ごめんなさい。私のせいよ」
「姫が?」
「ええ…あの部屋の一番奥にボタンがあったの。
それを押したから…」
「ハア…でも、まあ、脱出できたから良しでいいんじゃない?」
申し訳なさそうに落ち込むピーチの横から
落ち着いてきた
神菜が笑みを浮かべながら彼女を見る。
少し和らげた表情を見て
神菜も頷くと
それを聞いたマリオが考え込むように顎に手を添えた。
すると部屋の中から大きな揺れと衝撃音が聞こえる。
あの天井が一番下におりてきたのだろう。
しかしその数秒後に再びこもった地響きが鳴る。
《…天井が戻っている》
「はあ…?ただの罠部屋じゃないか」
先程の扉を少し開けば目の前には金属の塊で入る事すらもできない。
しかしそれが徐々に上に登っていき
高く見上げていたトゲが真正面を通り過ぎると
部屋に入れるスペースが再び現れた。
それを確認し、静かに扉をしめる。
「あのマネリン嘘ついてるじゃん!」
「でもサンデールの召し使いなのでしょう?
何故嘘をつく必要があるのかしら…」
お互いが理解できないまま案内された部屋へ進めず佇むも
一度状況を説明するためにマーネの所に戻る事にした。
「おいマーだかなんだか!」
「?どうされましたか?」
「言われた部屋、物騒な天井に押しつぶされかけたんだが」
「え?サンデール様はおられなかったのですか?」
マリオが強気でそう伝えれば
マーネの表情が笑顔から驚愕のものに変わる。
しかしその動作もどこかわざとらしい大袈裟な反応だった。
「ええ。残念ながら…」
「おやまあ…私ったらウッカリさん♡」
甘い声色のまま瞼を閉じ、握りこぶしを作ると
軽く頭を叩くジェスチャーを見せた。
マリオの眉がピクリと反応し、眉間にしわが寄る。
神菜はそのあからさまなぶりっ子に引きつりも
ピーチは冷静さを保ったまま彼女の前に出た。
「サンデールがいる部屋を教えていただけないかしら?」
「サンデール様がおられるのは~…二階の一番手前の部屋ですわ。
どうぞそちらへお入りください」
先程と同じように二階の方へ手を向けお辞儀をする。
既に彼女の言葉に関して疑心しか感じ取っていないものの、
言う通りに一番手前の部屋に向かう事にした。
《あのメイド…なんだか様子がおかしい…》
「やっぱり?」
「メイドじゃない、ってことか?」
《多分、ね…》
登った二階からマーネの方へ視線を移す。
一行の動きを確認しているのかこちらを見つめており、
彼らの視線に気付くなり会釈をしつつ微笑んでいた。
自然のようにも不自然のようにも見える笑顔を睨み
案内された扉の先へと進むことにした。
「う~わ~…」
その部屋は先程と全く同じサイズ感のただ広い部屋。
ただ今回は家具などはやはりないものの
見上げた天井は壁と同じ材質だ。
ただその天井から一本の細い糸が垂れ下がっており
その先には不自然にキノコが取り付けられていたのだ。
怪しい。
その場にいた全員の脳内にその言葉が浮かぶ。
「ねえ、アレ取る?」
「トナちゃん使えば大丈夫かしら?」
「明らかに罠だってのに何で取ろうとするんだ…」
神菜が外へ出ようとしたのか扉に手をかける。
しかし何故か扉は開かなくなっており、ビクともしない。
「……」
「……」
全員が顔を見合わせ、諦めた様子で頷くと
とりあえず周囲を見ながら慎重にキノコに近付く。
先程のように部屋の奥の方を見るがなにもなく
やはりこの部屋のメインはこのキノコのようだ。
少し抵抗があるものの、このままじゃ何も起こらない為、
仕方なくキノコを糸から引き離す。
「きゃっ…!」
「ッ!」
「ほっ…らァ~~~~!!!」
すると床がからくり屋敷のようにパカッと開き、
彼らが立っていた地面が一瞬で消えた。
神菜がそう叫び声をあげ、勢いよく三人揃って床の底へ落ちていった。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「ぶはっ!」
「っと…!」
神菜は運よくリュックのある背中が下向きだったのもあり
衝撃を減らし着地を何とか成功させた。
マリオは安定して受け身を取り、
ピーチはパラソルでゆっくりと着地する。
そして周りを見渡してみると、そこは館とは違う雰囲気の部屋。
土管で辿った先の地下空間とはまた違う
まるで牢獄のような不気味で狭い部屋だったのだ。
その奥には謎の生き物がのろりと住み着いていた。
顔のパーツが口しかついていない石の質感をした奇妙な生き物だ。
そんな未知の生物に
体勢を整え終わっていたマリオがアンナの力を使う。
《バクー。何でも食べる口と石の様に固い皮膚を持つ怪物…
あらゆる攻撃がきかないみたいね…》
「…」
《ただし体の表面こそ固いものの、体の内側はかなり弱いわ…》
「内側…なるほどな」
アンナの言葉を聞きながら軽く腕を組み、ふと一つ思い浮かぶ。
「おい、ボム」
《ハーイ?》
マリオに呼ばれたボムドッカんが彼に近付くと
そのまま体を掴みあげ、爆弾状態に変化させた。
様子を見るピーチと
神菜を通り過ぎ
バクーへ近付けばその大きな口の近くに置いた。
「なんでも食うって事は…だ」
瞳がない影響か、それを爆弾と気付かずペロッと飲み込む。
念のためマリオが少し後ずされば、
バクーの中から小さな爆発音が聞こえた。
そして衝撃で体が小刻みに揺れ、
力尽きたようにバタンと倒れる。
「…おっ?」
その光景を何とも言えない心境で眺めていれば
神菜の背後からズズズと何かが作動する音が響く。
振り向けば、そこには先程までなかった
土管の入口が彼らの前に現れていたのだ。
「おおお!」
「うし…さて。尋問の再開だな」
きっとこの流れだと先程の部屋か屋敷のどこかであろう。
そう信じながら疲れ果てた表情で土管の中へ潜っていった。
№21 ウェルカムトゥザ××ハウス
—バタン
案内した扉が閉まると
姿勢よく佇んでいたマーネの様子ががらりと変わった。
強張っていた肩の力が抜け、笑顔から脱力と共に怠そうな表情
"マーネ"から"マネーラ"に戻ったのだ。
「はあ、やっぱ疲れるわ…これ」
猫なで声をやめたその声色にも疲労が露骨に現れており
両手を腰にあて、深くため息をつく。
「でーもまあ、あんな破壊ばっかの脳筋とは違って
アタシは頭が使えるんだから」
顎に手をあて、にやりと口角を上げれば
彼らが入った部屋から悲鳴が小さく聞こえた。
ふん、と鼻で笑うと改めて背筋を伸ばし、マーネに戻る。
両頬をぱんっと叩くと笑顔を作れば
何れ戻ってくるだろう勇者を出迎える体勢を作った。
「…ついでに、カギとか情報も見つけられたらいいんだけど」
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