№26 かけらたち
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+サンデールの館+
先程のVIPルームの隣にある扉に入り、
例の囚人に話をする為マリオが神菜のリュックを受け取ると
一人で次元ワザを使って交渉しに行った。
そして数分に戻ってくるが
険しい表情ではないものの、首をかしげていた。
「なんか情報貰った?」
「マーネが寝言で"よいふろにはいろう"…だってよ」
「…それだけ?」
「それだけ」
その言葉の理解ができず、ただ悩むだけだった。
しかし一万取る程の情報なのだ。
1マネーの彼と比べたら相当価値があるのだろう。
…と思いたいが。
《…とにかく、キえマースの力を使って
あの電流の先を進みましょう…》
「だね」
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
その道中で次元ワザで細々と探索していたが
結局その"よいふろにはいろう"以外のヒントは見つからず。
そのまま電流の流れる壁があった所に辿り着くと
マリオを先頭に神菜が服の紐を握り、
ピーチとも離れないように腕を絡ませる。
つまり次元ワザを使う時と同じ状態だ。
そしてキえマースの力を使う。
「…ん?」
たがこれといって彼らの体には特に変化はなく
周りの風景も次元ワザの時の様に
一部分がガラリと変わった感じはない。
「おい、これ本当に力使えてるのか?」
《当たり前だルン!使ってる側だから分かってないだけだルン!》
「そういうもんなの…?」
《動いたら見えちゃうから、見えなくするためには
その場に止まらなくちゃいけないルンル~ン!》
するとふと思い出したのか、
神菜がこの場所にいた囚人の方へ振り向けば
何やら怯えた様子でこちらを見つめている姿があった。
しかも彼女が丁度振り向いた時に反応し、
振り向いてそのまま停止すればまたビクリと反応していた。
なるほど、と一人で感心していると
マリオの体がゆっくりと動き出す。
そして電流が流れる壁に近付き、
真正面に来た時に全員の足を止めその場に静止する。
神菜は思わずぎゅっと瞼を閉じた。
耳にビリビリという電流の流れる音が大きく響く。
体が反応しそうな音だったが、痛みなどの衝撃は感じない。
「お…?」
瞼を開ければ丁度目の前にもう一つの電流が迫ってきており
思わず逃げようと動きそうになったが
丁度体が静止した状態なのもあり
それもいとも簡単に体をすり抜けていった。
まるで害のない照明やレーザーを浴びた時の眩しさだ。
他に迫ってくるものが何もない事を確認する。
そのまま奥へ進むとキえマースの力を解いた。
その奥には例の匂いがするという
お目当てのマネーが収められているだろう大きな金庫があり
ちゃんとパスワードで管理されている状態だった。
「またパスワード…なんかあったっけ?」
「これはさっきマリオが聞いた言葉かしら?」
パスワードの入力できる文字数は8文字。
先程聞いた言葉を思い出す。
「よいふろにはいろう…ヨイフロ?」
その言葉を何度も繰り返すが何も思い浮かばない。
するとアンナが復唱する神菜の元へ舞う。
そして耳打ちをするように彼女の肩にゆっくり乗った。
《よ、い…よ、4。い、1…》
「…あああ!わかった!!「
それを聞くなり、何かを思いついたのか声を大きくあげる。
そしてパスワードのボタンを手際よく押していく。
「よいふろ…っと!」
―ポーン
するとVIPルームと同じように認証された音が鳴り、
金庫の鍵がガチャと開く音がした。
「まあ!流石ね!」
「アンナのおかげ!ありがとう!」
肩に乗るアンナに微笑みかければ
彼女もどこか嬉しそうに神菜から離れる。
そして金庫の重い扉をマリオがゆっくりと開けば
中から何かが崩れる音が少しずつ聞こえて来た。
「うおっ!」
そして分厚い扉に隙間が出来ると
ガラガラと勢い良く中の物がなだれ落ちてくる。
それは全て鮮やかな深紅のマネーで、
あまりの多さと勢いに体勢を崩してし、尻餅をついた。
「った・・」
「大丈夫?」
《これだけの量だと…1000000マネーは十分ありそうね…》
マネーに埋もれたマリオを助けると
このマネー達を詰め込むために背負っていたリュックを下ろす。
まるで金庫に侵入した銀行泥棒のようだ。
…傍から見ればまさにその姿なのだが。
そしてリュックにマネーを詰め込もうとするが
あまりの多さにイッパイサックといえど全て入り切らない。
蓋が閉まらず赤いトゲトゲが覗かせていたのだ。
よく破れないものだ。と感心してしまうものの
そうしたところで残りが詰め込めるわけでもなく。
「うーん…」
まるで商品の詰め放題のように
ガサゴソと角度を変えてマネーを詰め込もうとする。
それを見るとマリオも帽子を脱ぎ、
リュックほどではないがその中にマネーを詰め込んでいく。
ピーチも傘を開きその中に詰め込んでいった。
そして全部綺麗に詰め込むと
空になった金庫の扉を閉じる
「っし…これで理不尽労働とはおさらばだ」
「ええ」
「でもこれじゃ本当に犯罪者って感じだね」
「こちとら労働の前にあのマーネにやられてる身だからな…
なんとしてでもサンデールを見つけるぞ」
三人とアンナが向き合い、決心したように頷く。
そしてフェアリンや次元ワザの力を使い
マーネが受付をするマネーローンの所まで戻っていった。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「いらっしゃいませ。マネーローンへようこそ~~!!」
扉を開けるといつもの甲高い声が響く。
悠々とした笑みの彼女のいる受付の所まで行くと、
背負っていたリュックをおろした。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「マネー返済…です!」
ドン、とマネーの詰め込まれたリュックを
見えやすいように台に乗せる。
マーネが少し動揺の様子を見せたが、すぐに笑顔に戻る。
「それでは、今貴方が持っているマネーを
綺麗サッパリ全部頂きます」
他のアイテムもあるため、
その状態でリュックの中から
マネーだけを取り出し、受付口に押し付ける。
次々と湧き出てくるマネーの量に引きつった表情になりつつ
マネーカウンターの中にじゃらじゃらと放り投げる。
しかし徐々にスピードが落ちる手渡しとそのマネー数からして
1000000マネーに届いていないのを確信したのか
余裕の表情でマネーカウンターのボタンを押そうとする。
「あ、ついでにこれも」
そしてマリオも帽子を、ピーチも傘を受付口に置く。
それらは完全にマネーしか入っていない為
マーネがそのまま受け取り、マネーカウンターへと投入する。
「…綺麗サッパリ全部頂きます」
流石の量に少し焦りを見せ始めるも、
出されたマネーを全て素直に受け取り、ボタンを押した。
そして壁に設置されていた電光掲示板の数字が
どんどん下がっていく。
そして最後には0になった。
「これで貴方は全てのマネーを御返済されま…し……?」
「よし!余裕の返」
「シェ~~っ!!」
大きく叫べば一行は思わず反応する。
しかしマーネはただガクガクと震えた声色と体で
彼らを睨みつけていた。
「どうしてマネーを返済出来るのよぅ!
ありえないわーっ!!」
「…」
「これではノロイが解けてしまう~っ」
するとふわっと宙に浮き、
苦しそうにこちらを見て歯を食いしばる。
神菜はただその光景を見上げていたが
マリオは万が一の時の為に戦闘態勢を取る。
「キィイイイィイィイイイィっ!!悔しい~っ!!!」
じたばたとその場で暴れたのち
突然ピタリと体の動きが止まる。
「…?」
「ア……………」
―バァアン!
「ひいっ!?」
「ッ!?」
か細い声が聞こえたと同時に
マーネの体から噴射された爆発音と煙が部屋を包む。
そして煙が消えると、そこからマーネの姿が消え
受付の奥にある鉄格子ので閉ざされた壁に
キラリと隠されていた扉が現れた。
超展開のオンパレードに、
密室で起きた事もあり全員がただ呆然と固まっていた。
《アイツがこの館を乗っ取っていたのね…
でも彼女は何者…?》
「さあな…呪いとか何とか言ってたけど」
「あの扉の事かしら?」
《わからない…
今はサンデールが心配…先を急ぎましょう…》
「ええ。そうね」
そして誰もいなくなった受付を乗り越えて柵の前に移動する。
しかしその鉄格子の隙間はとても狭く、
細身な方の神菜も
リュックを降ろして体を横にしても入らない。
すると後ろで浮遊していたキえマースが
ふわふわと彼らの前に出てきた。
《知ってる?知ってる?知ってルンル~ン!》
「あら、どうしたのキマちゃん」
《僕の力はスリリングを味わうだけじゃないルン!
僕の力を使って動くと…周りからは
ペラッペラの紙の様に見えてしまうルンル~~ン!》
「…そういや、"ペラペラ"フェアリン、だったな」
「ああ!だからあの囚人すごいビビってたんだ!」
神菜があの電流の壁で振り向いて確認した時に
キえマースの力を発動中、
囚人はどこか怖気ついた様子だったのはわかっていたが
その理由がここで判明し、納得した様子で頷いていた。
きっと時折消えたり薄く映る彼女の姿を見て
ニンゲン離れしたその光景に恐怖していたのだろう。
パンッと両手を合わせ、そう納得した様子の神菜見ると
マリオは早速キえマースを呼び、力を発動させる。
すると本当に柵の狭い隙間を越えられ、
感動しながら隠されていた扉に手をかける。
「…カギは、かかってない」
「おし!進めるぞ!」
そして神菜とピーチもキえマースの力を使い
マリオと合流するとその扉の先へと進み始めた。
伯爵Side▷