№7 動き始める鼓動
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用を終えた三人はア・ゲールの家を出る。
デアールの言っていた目的は達成した。
「これを使って…だな」
「うんうん!」
新たな目的が生まれたからか
神菜は先ほどのひたすら警戒していた姿は見せず
早く得た術を感じたいのか、むしろ率先して進もうとする。
しかし先程マリオが蹴散らしていたのもあって
敵らしい敵は視界には入らず。
結局先程のブロックの塊の所へ戻ってきた。
「うし、試してみるぞ」
「おう!」
そう神菜が返事すると、
彼の指示でオーバーオールの肩ひもを握りしめる。
アンナもマリオの頭に乗り、
三人の繋がりを確認すると静かに息を吐いた。
「…わあっ!」
立ち塞がっていたブロックがまるで
シールがはがれるように揺らめき
そのままぺらりと縦一列分のブロックがまるで
マリオが次元ワザを使ったときと同じように消えてしまった。
しかし辺りを見渡してみても世界の全体は変わっておらず
目の前の光景だけが変化しているようだった。
そしてその隠れたブロックの先に新しい道が覗いている。
「こんな仕掛けだったのか…」
「みたいだな。
あまり長時間使えないから、さっさと行くぞ」
ア・ゲールの言っていた世界の裏側。
てっきり世界が反転していたりと
複雑なものかと思っていたが
実際は本当にその場所のみ変化する事に
神菜は少々拍子抜けたような反応を見せてしまう。
マリオも気付いていたのか、苦笑していた。
そして新たな道を辿り、目の前の道を順調に進んでいた。
その途中、
マリオがコイン集めも兼ねてブロックを壊していると
一つのハテナブロックから黄色の花がぽろりと落ちた。
一度凝視しそっと拾うとパチンとはじけ、
手元から消えてしまった。
「…あ!うわあっ!」
「あ…!?」
その直後、
少し距離を開けた位置から神菜の声が響く。
彼女の方を向けば驚いた様子で空を見上げており、
彼も釣られて向けばキラキラと輝くものが降り注いでいた。
「コインだ!!」
とりあえず沢山のコインが降っていたのだ。
パラシュートの役目をしている花に繋がれており
ゆっくりと彼らの居る地面へ落ちてきている。
それはまるで夢のような光景だろう。
真上に浮遊するコインを手に取ってみれば花は再びはじけ
回収していたコインと全く同じ状態になる。
神菜も空中でキャッチしたり
落ちたコインを拾っており
その集めたコインをリュックにひたすら詰め込む。
先程カツアゲされかけたのもあって
この世界でのコインの重要性を自覚したのか
見つけ次第拾い上げリュックに詰め込んでいるのだ。
「他のものも入れれるようにスペース空けておけよ?」
「大丈~夫!」
とはいえ道中で拾ったアイテムも含め、
流石にリュックの形状は変わっている。
はち切れるほどではないものの、
最初の時と比べて膨らみが増したリュックを持ち上げた。
「なんかさぁ、
結構入ってると思うのにあまり重さ感じないんだよね。
もしかしてア・ゲールさんのおかげ!?」
「たった数分前にもらったばかりだろ」
「あはは~確かに!
ていう事はやっぱりこのリュックが凄いのか…?」
彼女のどこか前向きというか、明るさのある言動は
今のマリオにとっては心配の種が増えたようなものだ。
術をかけてもらった身でもまだ変化はなにも出ていない。
彼からすればなるべく
大人しくしてほしいというのが本音であったが。
「…っておい!前見ろ!!」
しかし案の定、不安が的中する。
持ち上げたリュックを観察していた神菜に向かって
頭突きの構えをとったクリボーが突進してきていたのだ。
「え?うわ!ぎゃあ!!」
見た事ある光景にマリオは彼女に駆け寄ろうとする。
しかし当の彼女は思わず叫び声をあげるが
何故か逃げる様子は見せず。
—ドンッ
「グェエエッ!」
「ハッ!!?」
悲鳴を上げたのはクリボーの方だった。
突進先には青いリュックを振り回す神菜。
容量が増え輪郭がはっきりとしたリュックを
勢いよくぶつけていたのだ。
まるで打ち返した野球ボールのように
草むらの中に吸い込まれるクリボー。
バットの役割をしたリュックは何故か傷一つついておらず、
振り回していた彼女も見ていたマリオも呆然としている。
「…これ…イケるかも!!」
「振り回すならせめてリュック以外にしてくれ…」
《……》
リュックを背負いなおしどこか楽し気に話す神菜と
その様子を見て落ち着かない様子のマリオ。
アンナは何かを見定めようとしているのか、
その二人の様子をただ黙って見つめていた。
伯爵Side▷