+コダーイ遺跡+
長い階段をひたすら降り続け、最後の一段を飛ぶように降り立つ。
地下空間のような閉塞感はあるものの、
入口付近で見た石柱や壁に伝う模様のように見えるヒビなどで
不安をあおりそうな殺風景な雰囲気はそこまでなかった。
重厚感のある石造りの壁を撫でる。
アイスチェリリンの不意打ちによって多少冷えているものの
熱ばかりが籠るものに触れ続けていたのもあってか
とても心地よく感じ手のひら全体でそれを感じていた。
記憶の欠けている
神菜にとっても新鮮な光景なのだろう。
先程の賑やかさは静まり、ただ遺跡の中を見渡している。
マリオも新天地に周囲を確認すれば砂漠にいたテトラや
ツヤのある青い甲羅を背負ったメットが巡回している。
テトラは単に閉じ込められていた可能性はあるものの
メットはマリオも見覚えのある生き物で、
クリボー達と同じような刺客と考えてじっと見ていた。
石の地面も所々欠けておりそこには砂漠の砂が溢れている。
ただの穴の部分もあれば
まるで川のように床が途切れている部分もあって。
その砂は流れるように動いており、
軽く片足を突っ込めば泥の様に沈んでいく。
要は川の流れと底なし沼が融合した自然発生したトラップだ。
「絶対ココの砂の上は踏むなよ?一気に連れていかれる」
「はーい」
それらを越えて進んでいけば、
突然地上にいたときの様な熱気が目の前に現れ、足を止めた。
「…ファイアバーが、動いてる」
「…え!?ええ!?」
床に設置された土台を軸に長い棒が
全体に炎を纏わせながら回転していたのだ。
しかしかつてのドッスンの様に逃げ場がない訳ではなく
タイミングを見計らって避けていけば進める仕掛けだった。
「よっ…あ!?」
マリオは見慣れているものだったのか慣れた様子でそれを避け、
神菜がそのバーを避けようとした時
タイミングが悪かったのかジュ、と焦げ臭い匂いが鼻をかすめた。
転げるように急いでファイアバーから離れ、自身の体を確認する。
「大丈夫か?」
《髪の毛がチリチリしてる!》
「あ~毛先だけなら大丈夫…かな?」
「この短時間でまあ強くなったもんだな…」
神菜の背後でトるナゲールが跳ねるも
本人はそれを見ても軽く手櫛を通して平常心を見せる。
ぽろっとマリオもそう呟けば、彼女は何故か照れ臭そうに笑った。
…………
最初のファイアバーの部屋を抜けた先にも設置されており、
遠くで見えるものも含めれば5つ程だろうか。
幾つものバーがお互いの炎で輝きながら回ってるのが見える。
しかも先程の炎と比べると少しだけサイズ感も大きくなっており
これがちょっとした装飾であればどれほど綺麗だったのだろうと、
流石のマリオもその光景に疲弊した様子を見せた。
念のため
神菜の方を振り向くも怯える様子は見せず
回転するバーのタイミングを見ているのか
一定間隔のリズムを取りながら頷いている。
「…よし。みんな、俺につかまっててくれ」
「?」
そう伝えれば各々行動し始める。
アンナとトるナゲールはマリオに密着する形になり
ちゃんと理解した
神菜もいつもの様に肩紐を握る。
「おおー!なるほど!」
そして次元ワザを発動すれば
目の前で大きく燃え上がっていた炎がひらりと消える。
消えるというよりは紙のように薄くなった方が正しい状態で
封鎖されていた場所に一本の通り道が出現したのだ。
そのまま次元ワザの効果が切れる前に走り出す。
「ていうかさ。ココって守られてて誰も入ってないんじゃないの?」
《…きっとノワール伯爵が何かしらで手下を送り込んで、
待ち伏せと、仕掛けを作動させた…可能性も》
「まあ、一番最初からずっと邪魔してきてるからな」
「でもなんか、クッパサマが~って言ってるよね?
敵の大ボスってそのノワール伯爵でしょ?」
「そうだが…ちなみにクッパの事は知ってるのか?」
「聞き馴染みのある語感はすごいある…けど、それぐらい」
《…カレも、あちら側に回っていないことを祈るばかりね》
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途中、別の部屋へ進めそうな扉を見つけるも
老朽化で開かないのか鍵がかかっているのかその先を確認できず、
一行は仕方なく扉のない別の部屋の探索を進めた。
そんな彼らの目の前には厳つい顔が付いた岩、
コロンが二体転がっている。
トゲの付いたフォルムだがドッスンとはまた違う雰囲気を持ち
その二体がぶつかるたびに小さく床が揺れた。
「あの岩といい…この世界ってなんでも生きてるけど
そこらに生えてる岩とかと何が違うんだろう?」
「それは…知らない」
転がってるといってもマリオ達が立っている場所ではなく
そこから一段下がった段差の所にいるのだ。
緩やかな動きだが、その動き出す方向に規則性はなく
ぶつかっては壁で跳ね返り、それをただ繰り返している。
そしてコロンのいる段差の先をよくを眺めてみれば、
上に登れるのだろう梯子らしき影とその先に足場がある。
「うし…待ってろ」
マリオがその場で屈伸をし意気込むと段差へ飛び下りる。
持ち前のジャンプ力でコロンを簡単に飛び越え、
そのまま梯子を登り足場に着地する。
彼の戦闘や妨害者を蹴散らす姿はよく見るものの
改めて見るパルクールのようなアクション性のある動きに
神菜は思わず感動の声を漏らしていた。
「
神菜!」
「なに!…っとあ」
すると上へのぼっていたマリオが何かを見つけたのか
神菜の姿をとらえると手に持っていた何かを彼女に向かって投げる。
反応していた彼女はなんとかソレを受け取ると、
手の中のものを確認した。
「鍵…?」
受けとったソレは独特の形をした鍵だった。
しかし質感がこの遺跡の岩と同じもので
明らかにこの遺跡のどこかで使用する鍵なのがすぐわかった。
「これって…」
《さっき通り過ぎた…扉の所》
「ああ、それで開けられるはずだ」
その部屋から出ると先程の鍵穴のある扉に行く。
鍵を差し込めば音が鳴り、無事扉開くと奥へと進んだ。
そして遺跡の道をひたすらに進んでいくと行き止まりに辿り着く。
しかしその上部には登れるだろう足場が存在しているが
神菜やマリオの手の届かない場所に設置されていた。
「これも次元ワザ?」
彼女の言葉に少し考えた後、ぺらりと姿を消す。
勇者の特権である次元ワザを使ったのだろう。
だがそれも一瞬で、すぐに帰ってくるとトントンと自身の肩を叩く。
「コッチの次元でなら行けるみたいだ」
「そういうパターン…!?」
《勇者を導く遺跡…きっと次元ワザを使えるのが前提…》
「あ~そりゃそっか」
その催促に応えて彼の肩に手を添える。
そして次元ワザを使うと、頭上にブロックがひらりと現れた。
届かない足場より少し下の位置に浮上したそれは
普段なら塞がれたものが消える事が大半だったため
障害を越えるために現れた現象という事に新鮮な気持ちで頷いた。
しかし
神菜にとってはブロックが現れた。
ただそれだけだ。
マリオにとっては軽々と飛び移れるのだろうが、
彼女は人生でそんな大きなジャンプをしたことはない。
そしてそれをするという事は、彼から離れるという事だ。
「…」
「…どうした?」
「これ、どうやって上るの?」
するとマリオは普通に彼女から離れ、肩から手が離れる。
それに気付いた
神菜は咄嗟に追いかけようとするも
何も変わらない事にも気付いたのかピタリと止まった。
「え…!大丈夫なの!?」
《マリオ…彼女に説明はしたの?》
「いや…ア・ゲールから聞いたものかと」
「え?」
《…とりあえず、先に移動しましょう》
困惑する
神菜をよそに、アンナはひらりと先に上へ行く。
マリオもどこか申し訳なさそうな表情のまま
ブロックを伝い上へのぼる。
ドドンタスの時でも活用したトるナゲールの方法で
神菜を引き寄せた。
そして全員がマリオと接触している事を確認し次元ワザを解くと
アンナはゆっくりと彼女に近付き、そのまま肩にのった。
《つかまっていないといけないのは、次元の移動の時だけ。
留まる事は出来るけど、移動ができるのはマリオだけ…》
「そういう事!?」
「ただ俺は自由に行き来できる分、
留まる事ができない副作用があるって事だ」
マリオが次元ワザを使用する際に
急ぐ事や短時間で終わらせる理由を理解できたのか
彼女は首をぶんぶんと力強く頷かせた。
………
その足場の道の先にあった仕掛けを解けば
再び遺跡内のどこかの鍵を手に入れる。
メットやテトラたちを対処しつつ
その鍵が使えそうな扉を探し出し、順調に奥へ進んでいた。
「こうして鍵が残ってるって事は、
そこは何も手つけられてないみたいだな」
「にしても罠多くない?
勇者ですら危ない目に合ってる気がする…」
《それぐらい厳重という事…》
そんな会話をしつつも遺跡内の仕掛けを解いていく。
アンナがピュアハートの波長を追う中、
神菜は彼女に頼らず
自身の腕輪で確認できるものは自力で発見し続けていた。
「これは…」
「ジャンプ台だな」
そして何度目かわからない遺跡の鍵でたどり着いた空間。
扉のすぐそばには遺跡の雰囲気に馴染む劣化した状態のジャンプ台があり
そこから真上へと視線を向けてみれば
思わずふんぞり返るような体勢になった。
そうなってしまう程、その高さは
この遺跡の中では最大だったからだ。
よく見てみるとその天井はかなり高く…というよりは
マリオ達の居る場所がかなり低い場所にあり、
たまたま天井が高く見える場所にいるだけだ。
「こ、コレ…」
「物は試しって事だ」
しかしマリオは構わずそのジャンプ台を使う。
ギシ、とバネの部分から嫌な音が響くものの
その状態に似合わない程のジャンプ力を生み出し踏み台部分が跳ねた。
高く高く飛び上がる姿を見上げる。
首が痛くなるほど天井を見つめていれば
そのまま陸地に着地し、上からマリオが眺める状態になった。
「マリオが行けたなら…」
そして
神菜もマリオのフォームを
思い出しながらジャンプ台に飛び乗る。
こんなアクロバットな動きにも慣れてきたのか、
彼同様高くよく飛び上がるとマリオの居る場所へ着地し
そして浮遊組のアンナとトるナゲールも無事に合流する。
するとその飛び上がった瞬間に気付いていたのか、
マリオがそのままアンナの力を発動させた。
《…何もないわ》
彼が向けた先にはひびの入った壁。
その壁には扉がはっきりと埋め込まれていたのだ。
しかしその位置は足場もなければ梯子もなく、
ジャンプ台のあった場所からでも
ギリギリ届かない程の高さにあり
飛び上がった拍子に開くような器用な事は出来なさそうだ。
もはやあの谷底から足が届く程の
巨人でない限り扉に手をかけられない。
そのためにアンナの力を使って確認しようとするも
その扉の下周辺に渡れるような足場が現れる事はなかった。
《
神菜~?》
扉の方に注目していたマリオがトるナゲールの声で振り向く。
その方向には行き止まりであろう壁があり、
神菜が天井の向こうまで
伸びる梯子を眺めていたのだ。
しかし登ろうとはせずただじっと見つめている。
「どうした?」
「梯子があるんだけどさ…ホラ、天井のとこで途切れてる」
彼女が指さす天井を見上げれば、
確かに伸びていた梯子が途中で終わっている。
まるで天井に埋め込まれるように伸びる不自然な状態の梯子を見て、
マリオは思わず「あ、」と声をあげた。
《そういう事…》
「わかりやすいのやら、ややこしいのやらだな」
そして御馴染みの合図を送れば全員揃って次元ワザを使う。
梯子が途切れた部分の天井がぺらりとめくれ
人一人分が入れるほどのスペースが現れた。
想定通りだったのかマリオは無反応だったが
神菜は小さく声を漏らす。
その梯子をなるべく急ぎ足で駆け上がり、次元ワザを解くと
辿り着いた空間の奥に青い物体があるのを見つけた。
見覚えのあるその色と形に
神菜が走り出し、
確認してみればそれはやはり何かを起動するためのスイッチであった。
「踏んでいいと思う?」
「それしか出来る事がなさそうだからな…」
念のためマリオにも確認をとってから両足で踏み込む。
―ゴゴゴゴ…
《揺れてる~!》
「こういう所の揺れって本当心臓に悪いからあ…!」
仕掛けを解く度に起きる揺れには慣れてきた思っていた
神菜だったが
今いる場所が地中の地下という事もあり、
焦った様子で零れる砂や石を避けながらスイッチから飛び降る。
そして自然とマリオを盾にするような形で
避難して辺りを見渡していた。
盾にされた彼は少々呆れながらも平然としており
スイッチによる変化がないか冷静に確認している。
すると何かに気付いたのか、そこを凝視した。
「…おいおいおい!!」
「なに…えッ!?」
《ワアー!》
スイッチのが設置された背後にあった大きな壁。
ヒビに見えていた線が濃くなると、ゆっくりと上開きで開き
その奥の闇の中から何かが音を立てて転がってくる。
しかしその音は聞いた事のあるもので、目を凝らしてみれば
そこから先ほど見た厳つい顔の岩が現れた。
《マリオ…!》
「わかってる!
神菜!走れ!!」
その数、測定不能。
それぐらいの大量のコロンが湧き水のように
ゴロゴロと転がってきたのだ。
高いとこにもその扉があったのか、
雪崩るように落ちればそのたびに地面が揺れ、
体を響かせる重低音がはっきりと伝わる。
スムーズに走れないその衝撃に耐えながらマリオ達は走る。
そして彼らにそのつもりはないのだろうが、
その逃げる姿を追うようにコロンも転がる。
不規則なリズムの衝撃に何度かつまずきかけるも
なんとか段差を上り、コロンが登ってこれない位置に退避した。
「ハア…ハア…」
「こ、殺す気か…ッ」
《…でも、ちゃんと意味はあるみたい》
「何…?」
予期しないトラップにマリオも中腰になって息を整え
神菜はその場に座り込み落ち着かせようとしていた。
するとアンナが何かを見つけたのかマリオの肩に乗る。
彼女が指しているだろう場所を見てみれば
そこには今度は赤色の石が出現したのだ。
その形はこの遺跡の入口にあった青い石と似たような円盤。
見ただけでどういう用途かはすぐに理解できたマリオは
息を整えさせながらゆっくりとその赤い石の上に乗る。
勿論変化は起きなかったため、座り込む
神菜にも声をかけると
二人一緒のその石の上に乗れば、ゆっくりと下がっていった。
―ゴゴゴゴゴ…
すると再び空間が揺れ、砂が零れ落ちる。
それと同時に大量のコロンの中央辺りに変化が起き始めていた。
「お、落ちてる?」
まるで溜まった水が排水口に流れていくように
コロンが吸い込まれていく。
それが徐々に広がっているのか落ちる範囲も大きくなり
マリオ達が走っていた床の真ん中にポッカリと穴が出現した。
そこへただ転がるだけのコロン達全員吸い込まれていく。
下へ落ちたのだろう衝撃でやはり何度か遺跡内が揺れ
この遺跡が崩壊しないかと冷や汗を垂らすもそんな事が起きる事なく、
転がっていたコロンは全て底深く落ちていった。
「…」
「…フゥーーーーッ…」
揺れも収まり、突然静寂になった世界に大きく息を吐いた。
コロンが吸い込まれていった所までマリオが確認しに行くと
何かを見つけたのか体勢を低くして覗き込むように下を見ていた。
「あの扉、行けるようになってるぜ」
「どういう事?」
「あの大量のトゲトゲが底に埋まって足場になってる」
神菜もマリオの視線の先を見る。
そこには確かに先程辿る手段がなかった扉があり
あのジャンプ台のあった底の空間に綺麗に流れ落ちたのか、
その足元には大量のコロンがみっちりと埋まっていたのだ。
《これであの扉を開くことができる…》
「命がけの仕掛けだな、本当…」
感心しつつ、マリオは構いなくそのコロンの足場へ飛び下りた。
隣にいた
神菜はその行動に驚き咄嗟に目で追いかけるも
安定の運動神経でコロンのトゲを避け綺麗に着地していた。
しかしその時短コースを辿るのは
彼にとってはいつもの癖だったのだろう。
ハッと気付き先程いた場所を見上げてみれば
案の定こちらを心配そうに見下ろす
神菜の姿があった。
すると言葉を出す事なく立ち位置を確認し、移動すると
両手を広げ、まるで待つような体勢で彼女を見上げた。
それを見ていた彼女は少し考え、動揺した。
「お…おお降りるの!?ココを!?」
「大丈夫だから!」
マリオと違い、それに対して恐怖心が勝るのは
そんな経験はした事ないのだと、体が覚えているのだろう。
しかしそんな反応にどこか安心感のある声で応えれば
神菜はそのままゆっくりとしゃがみ込むと両足を宙にぶら下げる。
なるべく体重をかけないよう足からゆっくりと飛び下りれば
下で待機していたマリオがスムーズに受け止め、降ろした。
「ありがとう…」
「どーいたしまして」
「でもこれってさ…帰れなくない?」
《モドルドカンがあるでしょ・・?》
「あ、そっか」
そうして目の前にある扉を開き、奥へと進んでいく。
すると今度もまた天井の高い広い空間に辿り着く。
そこは先ほどのように底がある訳ではなく、
ただ不自然なほど広い空間だった。
「という事は…」
神菜がそう呟いたと同時にマリオがその場から消える。
きっと次元ワザを使って何かを探しに行ったのだろう。
《…あー!なんか出てる!》
「ん?」
無意識に口を開き天井を眺めていた
神菜がトるナゲールの声で我に返る。
するとマリオが何かの仕掛けを解いたのか、
何もないただの大きな壁全体から石同士の擦れる音を立て、
厚みのある幅の広い石板が少しずつ浮き出てきていたのだ。
その動きは上から徐々に止まっていき
地面に接する一番下の石板の動きが止まれば、完成形が現れた。
「階段だ…!」
それは遺跡の入口で見た以来の階段だった。
しかもそれは更に潜るものではなく、地上へと続いている。
そして戻ってきたマリオと合流し、その長い階段を登る。
「…土管だ」
そこには見覚えのある緑の土管があった。
やはりそれもその周囲の環境によって雰囲気が変わっており
遺跡の壁と同じ質感の石や砂で汚れている状態だった。
マリオがその土管の内部を確認している間、
神菜はそれ以外に何かないか隅々まで調べている。
《…この先、強く感じる》
「ピュアハート?」
《ええ…進む道があの土管しかないのなら、
入ってみてもいいかもしれない》
「ま、正直だいぶ苦労してるから
そろそろご対面したい所だけど…」
ふうと一息をつきその場にしゃがみ込む。
その状態から見上げる遺跡内の天井は改めて見てもとても高い。
しかもよく見てみると気付いていなかったのか
壁画の様な模様も見える。
「…開通してる。ここを潜るしかなさそうだ」
確認し終えたマリオがそう声をかけながら土管の砂を払っている。
神菜はその言葉に頷くと立ち上がりアンナも彼の元へ移動する。
そしてマリオを先頭にその土管の奥へ進んでみる事にした。
№14 仕掛けを解いて
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