№1 目覚めた先は、
夢小説設定
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伯爵側はカタカナだとより楽しめます。
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―ぱちん
そう彼が指を鳴らすと、
目の前にいた黒髪の少女の体勢が崩れ
前に倒れこむように崩れ落ちた。
「マオ」
名前を呼ばれた。
彼はは顔だけをこっちに向け、にっこりと笑った。
そして黒髪の少女に近付いて
その場にしゃがみ込むと黒髪の少女の額に手を当て
何かを確認するようにじっとその場に留まった。
「その…どうするの?」
二人がここに来た理由。
実はただ空き部屋の見回りをしていただけで、
たまたまこの部屋に彼女がいた。
…と、マオはそう思っていた。
だがここに来てから彼は誰かがいたのを知っていたように歩み、
実際に本当にいた黒髪の少女に怪しむ様子を見せる事なく
気さくに話しかけていた。
しかも伯爵ズのメンバーやほかの仲間のような"ヒト"ではなく
マオと同じ容貌をした"ニンゲン"。
偶然というのか。
しかし違和感を覚えた彼女は首をかしげる。
「こんなどこの誰かもわからないの、
置いとく訳には行かないでしょ~?
丁度いいからさ、この子から少し貰っちゃおうかなって」
「貰う…なにを?」
「なんだか不思議な力感じるからさ~」
にこりと笑いながら
倒れる黒髪の少女からマオに視線を向ける。
しかし彼女は理解をしていないのか、首をかしげていた。
「不思議な…力を、もらう?」
「そうそう。その生きてる力を、こう…ワっと!」
両手のひらを向かい合わせになるように向け、
倒れる少女の方に向ける。
その状態のままゆっくりとマオの方へ移動させると、
ひらりと手のひらを上へ広げ、舞わせるように彼女の方へ向けた。
生きてる力。
その行為に首をかしげるも、
発せられた言葉と合わせ徐々に理解したのか
彼女は困惑した様子を見せて狼狽えた。
「そ、そんな事したらその子は…っ?」
「放っておくよりは処理しておくべきでしょ。
今のマオはヒョロヒョロなんだし、
貰えるものは貰っておかないと」
「貰えるって…そんな、大丈夫なの…?」
「だいじょーぶ♪」
心配するマオに対し
ディメーンは呑気な様子で魔法を使う。
別に魔法をうまく扱えるかどうかを心配しているわけではない。
その加減をうまくできる実力があるからこそ、
根こそぎ全てを抜き取ろうとしているのではないかと。
彼女の中に残ってある良心が彼の行動に疑問を抱いていたのだ。
しかし彼は構う事なく行動に移していた。
黒髪の少女の額に手を当てると黄色い光が舞い上がり、
その光はするりとマオの体へと入っていく。
しかしそれは長くなく、たった数秒で光が止んだ。
「どう?」
「…ちょっと楽にはなった、かも」
「お!成功してるね~!」
「……」
「でもこれでちゃんとパワーアップしてるからさ。
伯爵の為にここから特訓して更にもっと体力つけなくちゃ」
「…そうだね」
「うん。とりあえず、早く伯爵の所にもどろっか」
「…わかった」
それでもひんやりとする肌は少し温かくったような感覚はある。
ぎゅ、とボロついた服の胸元を握りしめた。
マオが彼の元へ近付くのを確認すればぱちん、と指を鳴らす。
すると二人を囲うように透明の箱のような魔法が出現した。
「ディメーン」
「んん?」
「…ありがとう」
俯いた顔をあげ、微笑を浮かべるマオを見て
彼は微笑ましく釣られて笑みを浮かべた。
「どーいたしまして♪」
―ぱちん
再び指の音が響くと、
その魔法によって二人は部屋から消え去った。
………
眠ったまま取り残された黒髪の少女。
彼らが去った直後に突如体全体が輝きだすと
まるで降り積もった雪が逆再生されるかのように舞い上がり
青バラだけを残して跡形もなく消えてしまった。
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