🐈⬛- 恋人よ
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深夜0時。
日付が変わったことを知らせるように、スマホの画面の隅の表示が切り替わる。
部屋の電気はもう消していて、薄暗い中で天井をぼんやり見上げながら、私はスマホを胸の上に乗せていた。
今日もレッスンがあったから、顔はたくさん合わせた。
同じ空間にいて、同じ時間を過ごして、何度も目も合ったし、会話もした。
それなのに。
寝る前にこうして30分だけ、瞳月とLINEをする時間が、好きだった。
「今日のあそこさ、ちょっとミスってたよね笑」
私が送ると、すぐに既読がつく。
「いやあれはさくらの方やろ」
すぐに返ってくる軽いツッコミ。
思わずくすっと笑ってしまう。
「えー、絶対違うし」
「いや絶対そうやって」
そんなふうに、たわいもないやり取りが続く。
お互い寮の隣の部屋に住んでいるから、会おうと思えばすぐ会える距離。
ドアを開けて数歩歩けば、瞳月の部屋の前に立てる。
でも、あえて会わない。
こうやってメッセージだけでやり取りする時間を、毎日少しずつ積み重ねていくと、
たまにできる「お家デート」が、特別なものになるから。
玄関のチャイムが鳴る音とか、
部屋に入ってくる足音とか、
隣に座ったときの距離の近さとか。
全部が少しだけ、ドキドキを増してくれる。
「そういえば今日さ、先生に褒められてたね」
「まあな」
「うわ調子乗ってる」
「乗ってないし」
そんな軽口を叩きながら、今日の面白かったことや、大変だったことを話していく。
「でもあそこ正直きつかったわ」
「わかる…私も途中で心折れそうだった」
「顔に出てたで」
「うそ」
「ちょっとだけな」
画面越しなのに、まるで目の前で話しているみたいに自然で、
でも直接じゃないからこそ、少しだけ素直になれる。
気づけば時間はあっという間に過ぎて、会話のテンポもゆっくりになっていく。
そろそろ寝ようか、という空気。
画面を見つめながら、なんとなく「おやすみ」と打とうとして――
そのとき。
ぽん、とメッセージが来る。
「すき」
一言だけ。
シンプルすぎるくらい、シンプルな二文字。
「……え」
思わず、声が漏れた。
そのまま、指が止まる。
思考も止まる。
瞳月は、普段めったに「好き」なんて言わない。
私が「好き」って言っても、
「知っとるわ」
とか、
「はいはい」
とか、
そんなふうに軽くあしらわれるだけ。
ちょっとツンツンしていて、でも優しくて。
言葉にはしないけど、態度の端々から「好き」が伝わってくるから。
それで十分だって思っていた。
――思っていたのに。
こんなふうに、真正面から、なんの前触れもなく送られてくると。
胸の奥が、ぎゅっとなる。
嬉しくて、くすぐったくて、どうしていいかわからなくなる。
画面に表示された「すき」の二文字を、何度も何度も見返す。
既読はつけてしまったのに、返信ができない。
何を返せばいいのかわからない。
同じように「好き」って返したらいいのか、
それとも何か気の利いたことを言った方がいいのか。
悩んでいるうちに、また通知が鳴る。
「おやすみ」
たぶん、照れ隠し。
さっきの「すき」をなかったことにしたいみたいな。
「……かわいいなあ」
小さく呟いて、ようやく指が動く。
「おやすみ」
それだけ送るのが、精一杯だった。
本当は、もっと言いたかったのに。
「私も好き」とか、
「急にどうしたの」とか、
「もう一回言って」とか。
全部、打っては消してを繰り返して、結局シンプルな一言だけ。
既読がついて、それ以上は何も来ない。
私はそっとスマホを閉じて、布団の中に潜り込む。
部屋は静かで、外の音もほとんど聞こえない。
それなのに。
頭の中は、さっきの二文字でいっぱいだった。
――すき。
瞳月が、その言葉を打っている瞬間を想像する。
どんな顔してたんだろう。
ちょっと迷ったのか、
それとも勢いで送ったのか。
送信ボタンを押したあと、どんな気持ちでいたんだろう。
照れて、すぐに「おやすみ」を送ったのかな、とか。
考えれば考えるほど、顔が熱くなる。
文字じゃなくて、声で言われたらどうなるんだろう。
すぐ隣の部屋から、ノックされて。
「好き」って、直接言われたら。
――無理、絶対無理。
そんなの、まともに見ていられない。
布団をぎゅっと握りしめながら、ごろりと寝返りを打つ。
寝ようと思っていたのに、眠気なんてどこかへ消えてしまった。
代わりに、ふわふわとした甘い感覚が、ずっと胸の中に残っている。
「……明日」
ぽつりと呟く。
明日のお仕事終わり。
絶対に、瞳月を自分の部屋に連れて帰る。
ちょっとくらい嫌がっても、
恥ずかしがっても、
逃がさない。
好きって、ちゃんと言ってもらう。
小さく決意して、布団に顔をうずめる。
たぶんそのときの私は、
自分でもわかるくらい、にやけていたと思う。
そして結局、その夜はなかなか眠れなかった。
日付が変わったことを知らせるように、スマホの画面の隅の表示が切り替わる。
部屋の電気はもう消していて、薄暗い中で天井をぼんやり見上げながら、私はスマホを胸の上に乗せていた。
今日もレッスンがあったから、顔はたくさん合わせた。
同じ空間にいて、同じ時間を過ごして、何度も目も合ったし、会話もした。
それなのに。
寝る前にこうして30分だけ、瞳月とLINEをする時間が、好きだった。
「今日のあそこさ、ちょっとミスってたよね笑」
私が送ると、すぐに既読がつく。
「いやあれはさくらの方やろ」
すぐに返ってくる軽いツッコミ。
思わずくすっと笑ってしまう。
「えー、絶対違うし」
「いや絶対そうやって」
そんなふうに、たわいもないやり取りが続く。
お互い寮の隣の部屋に住んでいるから、会おうと思えばすぐ会える距離。
ドアを開けて数歩歩けば、瞳月の部屋の前に立てる。
でも、あえて会わない。
こうやってメッセージだけでやり取りする時間を、毎日少しずつ積み重ねていくと、
たまにできる「お家デート」が、特別なものになるから。
玄関のチャイムが鳴る音とか、
部屋に入ってくる足音とか、
隣に座ったときの距離の近さとか。
全部が少しだけ、ドキドキを増してくれる。
「そういえば今日さ、先生に褒められてたね」
「まあな」
「うわ調子乗ってる」
「乗ってないし」
そんな軽口を叩きながら、今日の面白かったことや、大変だったことを話していく。
「でもあそこ正直きつかったわ」
「わかる…私も途中で心折れそうだった」
「顔に出てたで」
「うそ」
「ちょっとだけな」
画面越しなのに、まるで目の前で話しているみたいに自然で、
でも直接じゃないからこそ、少しだけ素直になれる。
気づけば時間はあっという間に過ぎて、会話のテンポもゆっくりになっていく。
そろそろ寝ようか、という空気。
画面を見つめながら、なんとなく「おやすみ」と打とうとして――
そのとき。
ぽん、とメッセージが来る。
「すき」
一言だけ。
シンプルすぎるくらい、シンプルな二文字。
「……え」
思わず、声が漏れた。
そのまま、指が止まる。
思考も止まる。
瞳月は、普段めったに「好き」なんて言わない。
私が「好き」って言っても、
「知っとるわ」
とか、
「はいはい」
とか、
そんなふうに軽くあしらわれるだけ。
ちょっとツンツンしていて、でも優しくて。
言葉にはしないけど、態度の端々から「好き」が伝わってくるから。
それで十分だって思っていた。
――思っていたのに。
こんなふうに、真正面から、なんの前触れもなく送られてくると。
胸の奥が、ぎゅっとなる。
嬉しくて、くすぐったくて、どうしていいかわからなくなる。
画面に表示された「すき」の二文字を、何度も何度も見返す。
既読はつけてしまったのに、返信ができない。
何を返せばいいのかわからない。
同じように「好き」って返したらいいのか、
それとも何か気の利いたことを言った方がいいのか。
悩んでいるうちに、また通知が鳴る。
「おやすみ」
たぶん、照れ隠し。
さっきの「すき」をなかったことにしたいみたいな。
「……かわいいなあ」
小さく呟いて、ようやく指が動く。
「おやすみ」
それだけ送るのが、精一杯だった。
本当は、もっと言いたかったのに。
「私も好き」とか、
「急にどうしたの」とか、
「もう一回言って」とか。
全部、打っては消してを繰り返して、結局シンプルな一言だけ。
既読がついて、それ以上は何も来ない。
私はそっとスマホを閉じて、布団の中に潜り込む。
部屋は静かで、外の音もほとんど聞こえない。
それなのに。
頭の中は、さっきの二文字でいっぱいだった。
――すき。
瞳月が、その言葉を打っている瞬間を想像する。
どんな顔してたんだろう。
ちょっと迷ったのか、
それとも勢いで送ったのか。
送信ボタンを押したあと、どんな気持ちでいたんだろう。
照れて、すぐに「おやすみ」を送ったのかな、とか。
考えれば考えるほど、顔が熱くなる。
文字じゃなくて、声で言われたらどうなるんだろう。
すぐ隣の部屋から、ノックされて。
「好き」って、直接言われたら。
――無理、絶対無理。
そんなの、まともに見ていられない。
布団をぎゅっと握りしめながら、ごろりと寝返りを打つ。
寝ようと思っていたのに、眠気なんてどこかへ消えてしまった。
代わりに、ふわふわとした甘い感覚が、ずっと胸の中に残っている。
「……明日」
ぽつりと呟く。
明日のお仕事終わり。
絶対に、瞳月を自分の部屋に連れて帰る。
ちょっとくらい嫌がっても、
恥ずかしがっても、
逃がさない。
好きって、ちゃんと言ってもらう。
小さく決意して、布団に顔をうずめる。
たぶんそのときの私は、
自分でもわかるくらい、にやけていたと思う。
そして結局、その夜はなかなか眠れなかった。
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