🧸🎐- 悦び
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リビングのソファに深く腰を沈めながら、私はぼんやりとキッチンの方を眺めていた。
コンロの火の音。
フライパンに触れるヘラの軽い音。
そして、ときどき聞こえる包丁がまな板を叩くリズム。
その全部が、どこか心地よくて。
視線の先には、エプロン姿の保乃がいる。
袖を少しまくって、慣れた手つきで野菜を切ったり、鍋をかき混ぜたりしている。
その姿は、なんだかとても柔らかくて、見ているだけで胸の奥がくすぐったくなる。
……かわいい。
思わずそんな言葉が頭の中に浮かぶ。
横顔も、仕草も、ふと髪を耳にかける動きも。
全部が、どうしようもなくかわいい。
こんな姿、世界中の人が見たら絶対好きになっちゃうだろうな。
そんなことを考えてしまって、少しだけ胸の奥がもやっとする。
保乃はきっと、誰にでも優しい。
誰にでも笑顔を向ける。
だから、時々思ってしまうのだ。
なんで、この人は私と付き合ってくれているんだろう。
そんなことを考えていると、不意に保乃がこちらを振り向いた。
エプロンの紐を軽く直しながら、ぱちっと目が合う。
「あれ、夏鈴ちゃん。そんなじーっと見てどうしたん?」
ふわっとした笑顔。
それだけで、胸の奥がぎゅっとなる。
「……別に」
思わず視線を逸らしてしまう。
でもきっと、顔はちょっと赤い。
「ほんまに?さっきからずーっと見てるで?」
くすっと笑う声。
からかわれているのに、嫌じゃない。
むしろ、もっと見てほしいと思ってしまう。
保乃の料理している姿が、私は大好きだ。
いつもはこうしてソファから眺めているだけだけど。
ふと、ひとつの考えが浮かぶ。
……手伝えば、もっと近くで見られるんじゃない?
その瞬間、私はすっとソファから立ち上がった。
スリッパの音を鳴らしながらキッチンへ向かう。
すると。
「あー、ちょっと夏鈴ちゃん!」
保乃が慌てた声を出した。
「怪我しちゃうよ。もうちょっと待ってて」
両手を軽く広げて、キッチンの入り口をふさぐ。
まるで小さな子どもを止めるみたいな仕草。
「……別に怪我なんてしないけど」
むっとして言うと、保乃は困ったように笑った。
「包丁も火も使ってるしなぁ。危ないやろ?」
「子どもじゃないんだけど」
小さくぼそっと呟く。
でも、保乃はそれを聞いても優しく首を傾げるだけだった。
「それでも、夏鈴ちゃんは大事やから」
その言葉が、あまりにもさらっと出てくるから。
反論しようとしていた言葉が、全部どこかへ消えてしまう。
保乃は、出会ったときからずっとこんな感じだ。
まるでお姉ちゃんみたいに、優しくて。
いつも守るみたいに接してくれる。
あのとき私はまだ高校生で。
今はもう、そんな年じゃないはずなのに。
「ほら、ソファで待ってて?」
「……」
「もうちょっとで出来るから」
そう言って、にこっと笑う。
その笑顔を見せられたら——
誰だって、言うことを聞くしかない。
私は小さくため息をついて、素直にリビングへ戻った。
そしてまた、ソファに腰を下ろす。
結局、さっきと同じ。
キッチンで動く保乃を、ただ見つめている。
でも、さっきより少しだけ距離が遠く感じた。
……手伝えなかったからかな。
そんなことを考えながら、また観察を始める。
フライパンを振るときの手首。
味見をするときの真剣な顔。
出来上がりを想像しているみたいな小さな笑み。
全部、全部かわいい。
きっと保乃は気づいてない。
自分がどれだけ可愛いかなんて、全然わかってない。
少なくとも——
私にとっては、世界で一番かわいい。
しばらくして。
「夏鈴ちゃーん」
キッチンから声がした。
「ごはんできたで」
その声に、私はすぐ立ち上がる。
テーブルに並べられた料理は、どれも湯気を立てていて。
「おいしそう……」
思わず声が漏れた。
保乃が少し照れたように笑う。
「ほんま?よかった」
「うん」
席に座って、二人で手を合わせる。
「いただきます」
ひとくち食べる。
その瞬間。
胸の奥がふわっと温かくなった。
「……おいしい」
自然に笑ってしまう。
保乃が嬉しそうに目を細める。
「ほんまに?」
「うん」
私はもう一口食べながら、ゆっくり言った。
「世界でいちばん美味しい」
保乃は少し驚いた顔をして、それから優しく笑った。
その笑顔を見ながら思う。
たぶん料理だけじゃない。
こうして保乃と一緒に食べるご飯だから。
世界でいちばん美味しいんだ。
コンロの火の音。
フライパンに触れるヘラの軽い音。
そして、ときどき聞こえる包丁がまな板を叩くリズム。
その全部が、どこか心地よくて。
視線の先には、エプロン姿の保乃がいる。
袖を少しまくって、慣れた手つきで野菜を切ったり、鍋をかき混ぜたりしている。
その姿は、なんだかとても柔らかくて、見ているだけで胸の奥がくすぐったくなる。
……かわいい。
思わずそんな言葉が頭の中に浮かぶ。
横顔も、仕草も、ふと髪を耳にかける動きも。
全部が、どうしようもなくかわいい。
こんな姿、世界中の人が見たら絶対好きになっちゃうだろうな。
そんなことを考えてしまって、少しだけ胸の奥がもやっとする。
保乃はきっと、誰にでも優しい。
誰にでも笑顔を向ける。
だから、時々思ってしまうのだ。
なんで、この人は私と付き合ってくれているんだろう。
そんなことを考えていると、不意に保乃がこちらを振り向いた。
エプロンの紐を軽く直しながら、ぱちっと目が合う。
「あれ、夏鈴ちゃん。そんなじーっと見てどうしたん?」
ふわっとした笑顔。
それだけで、胸の奥がぎゅっとなる。
「……別に」
思わず視線を逸らしてしまう。
でもきっと、顔はちょっと赤い。
「ほんまに?さっきからずーっと見てるで?」
くすっと笑う声。
からかわれているのに、嫌じゃない。
むしろ、もっと見てほしいと思ってしまう。
保乃の料理している姿が、私は大好きだ。
いつもはこうしてソファから眺めているだけだけど。
ふと、ひとつの考えが浮かぶ。
……手伝えば、もっと近くで見られるんじゃない?
その瞬間、私はすっとソファから立ち上がった。
スリッパの音を鳴らしながらキッチンへ向かう。
すると。
「あー、ちょっと夏鈴ちゃん!」
保乃が慌てた声を出した。
「怪我しちゃうよ。もうちょっと待ってて」
両手を軽く広げて、キッチンの入り口をふさぐ。
まるで小さな子どもを止めるみたいな仕草。
「……別に怪我なんてしないけど」
むっとして言うと、保乃は困ったように笑った。
「包丁も火も使ってるしなぁ。危ないやろ?」
「子どもじゃないんだけど」
小さくぼそっと呟く。
でも、保乃はそれを聞いても優しく首を傾げるだけだった。
「それでも、夏鈴ちゃんは大事やから」
その言葉が、あまりにもさらっと出てくるから。
反論しようとしていた言葉が、全部どこかへ消えてしまう。
保乃は、出会ったときからずっとこんな感じだ。
まるでお姉ちゃんみたいに、優しくて。
いつも守るみたいに接してくれる。
あのとき私はまだ高校生で。
今はもう、そんな年じゃないはずなのに。
「ほら、ソファで待ってて?」
「……」
「もうちょっとで出来るから」
そう言って、にこっと笑う。
その笑顔を見せられたら——
誰だって、言うことを聞くしかない。
私は小さくため息をついて、素直にリビングへ戻った。
そしてまた、ソファに腰を下ろす。
結局、さっきと同じ。
キッチンで動く保乃を、ただ見つめている。
でも、さっきより少しだけ距離が遠く感じた。
……手伝えなかったからかな。
そんなことを考えながら、また観察を始める。
フライパンを振るときの手首。
味見をするときの真剣な顔。
出来上がりを想像しているみたいな小さな笑み。
全部、全部かわいい。
きっと保乃は気づいてない。
自分がどれだけ可愛いかなんて、全然わかってない。
少なくとも——
私にとっては、世界で一番かわいい。
しばらくして。
「夏鈴ちゃーん」
キッチンから声がした。
「ごはんできたで」
その声に、私はすぐ立ち上がる。
テーブルに並べられた料理は、どれも湯気を立てていて。
「おいしそう……」
思わず声が漏れた。
保乃が少し照れたように笑う。
「ほんま?よかった」
「うん」
席に座って、二人で手を合わせる。
「いただきます」
ひとくち食べる。
その瞬間。
胸の奥がふわっと温かくなった。
「……おいしい」
自然に笑ってしまう。
保乃が嬉しそうに目を細める。
「ほんまに?」
「うん」
私はもう一口食べながら、ゆっくり言った。
「世界でいちばん美味しい」
保乃は少し驚いた顔をして、それから優しく笑った。
その笑顔を見ながら思う。
たぶん料理だけじゃない。
こうして保乃と一緒に食べるご飯だから。
世界でいちばん美味しいんだ。
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