🧸- 恋する
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ステージの照明が熱を帯びるたび、ファンの歓声が波のように押し寄せてくる。
今日のライブは、特別なペア演出があった。
もちろん、保乃とだった。
曲の終わり、カメラが私たちに向けられたとき、ファンサービスのつもりで保乃の顔に自分の顔をぐっと近づけ、顔を寄せてポーズを取った。
客席からは一斉に歓声が上がり、ライトの下でもそれが伝わってくる。
わたしはその盛り上がりに満足して、いたずらっぽく保乃の方を見る。
「やったね」
そう言おうとして保乃の顔を見た瞬間、言葉が喉で止まった。
――真っ赤だった。
頬だけじゃない。
耳までほんのり色づいてて、目をそらすでもなく、ただまっすぐ私を見てるその顔が、どうしようもなく可愛かった。
心臓が、バクンと跳ねた。
なにこれ。
わたし、今、きゅんとしてる?
無意識のまま、ポンと保乃の頭を撫でてしまって、気まずさを隠すようにその場から逃げるように別のメンバーのもとへ走った。
ファンサだったはずなのに、自分の鼓動がうるさい。
こんなの、演出のせいでも、走ったせいでもない。
…やばいな、これ。
ライブは、プロとしてきちんとやり切った。
けど、舞台袖に捌けた瞬間から、頭の中には保乃の顔しかなかった。
どうにか気持ちを消化したくて、打ち上げの会場でひかるの隣に座る。
彼女なら、きっと笑って聞いてくれると思った。
「ねえ、ひかる。保乃ってさ、かわいいよね」
ひかるはちょっと驚いたように目を丸くして、「え、うん。かわいいけど急に何」と困ったように笑った。
それでも構わず、わたしは続ける。
「わたし、保乃のこと好きかもしれない」
ぽつりと、でも確かな気持ちで言った。
すると、ひかるの目がさらに大きく開き――次の瞬間、ゲラゲラと笑い出した。
「え、なに?!」と小突くけど、ひかるはツボに入ったらしく、何度も手を叩いて笑ってる。
ちょっと離れた席で可愛い顔で肉を頬張ってる保乃に気づかれたらどうするのよ…!
「しっ、しーっ!」と焦って口元を抑えるも、ひかるは泣き笑いのようにして、
「いや、ごめん、でもさ、さくら絶対自覚してなかっただけで、保乃ちゃんのこと好きなオーラ、ずっと出てたよ?」
なんて言う。
その一言に、あれ? ってなって、え?とか、ん?とか、意味不明な声しか出なくなる自分がちょっと悔しい。
それでも、真面目な話に戻す。
「保乃はさ、たぶんひかるみたいな子が好きなんじゃないかなって。どうしたら、ひかるみたいになれる?」
するとひかるは、不思議そうにしながらも、まっすぐな口調で言ってくれた。
「ううん、さくらのままでいいと思うよ。きっと、保乃ちゃんもさくらのこと好きだよ」
自信なんてなかった。
でも、ひかるが言うと、少しだけ「もしかして」と思える。
やっぱり、ひかるってすごい。
「今日、告白しようかな」
思わず漏れたひとことに、「早くない?!」と、またひかるが笑い出した。
本気なのに、からかわれてる気もしてちょっとムッとしたけど、「ところで面白すぎるからこの話、天と夏鈴にもしていい?」って、ちゃんと確認してくれるところが、ひかるらしくて好きだった。
「いいよ」と適当に返して、保乃の元へ向かった。
「保乃、今日このあと時間ある?」
言った瞬間、もっと普通に話してからの方が良かったかなと後悔したけど、
保乃が――ほんの少し照れたように、でも明らかに嬉しそうに頷いた。
それだけで、十分だった。
ホテルの部屋に戻って、保乃をベッドに座らせる。
ドキドキが止まらない。
何年も一緒にいるのに、初めてみたいな緊張。
「ねえ、保乃」
名前を呼ぶだけで、彼女の体がピクリと強ばった。
その様子に、自分まで余計に緊張してしまう。
「わたしさ、保乃のこと、好きみたいなんだよね」
声は震えていたけど、ちゃんと届いていると信じた。
視線を向けると、保乃はライブのときよりもっと顔を赤くして、じっと私を見ていた。
「……好き“みたい”ってなに。ちゃんと言ってや」
その言葉に、思わず笑ってしまう。
保乃らしくて、ちょっとほっとした。
「保乃、好き。ちゃんと、恋愛として好き。付き合って」
その瞬間、保乃はふにゃっと、幸せそうに微笑んでくれた。
「保乃、重いから、覚悟してや」
そんな言葉を返されて、胸がいっぱいになる。
愛おしくて、たまらなくて、頬にキスを落とした。
すると保乃は、また真っ赤になって――
「保乃、幸せやわ」
そんな顔で言うものだから、わたしも笑うしかなくなった。
出会って7年。
今日からは、恋人。
よろしくね、保乃。
おまけ
「夏鈴、天、聞いて」
「なに」「どしたのひかる」
「さくら、保乃ちゃんのこと好きなの今日気付いたらしい」
「え?笑」「嘘やん」
「めっちゃ真剣な顔して好きかもとか言われて笑っちゃった、で今保乃ちゃんに告白しに行った」
「????」「変な人だ」
今日のライブは、特別なペア演出があった。
もちろん、保乃とだった。
曲の終わり、カメラが私たちに向けられたとき、ファンサービスのつもりで保乃の顔に自分の顔をぐっと近づけ、顔を寄せてポーズを取った。
客席からは一斉に歓声が上がり、ライトの下でもそれが伝わってくる。
わたしはその盛り上がりに満足して、いたずらっぽく保乃の方を見る。
「やったね」
そう言おうとして保乃の顔を見た瞬間、言葉が喉で止まった。
――真っ赤だった。
頬だけじゃない。
耳までほんのり色づいてて、目をそらすでもなく、ただまっすぐ私を見てるその顔が、どうしようもなく可愛かった。
心臓が、バクンと跳ねた。
なにこれ。
わたし、今、きゅんとしてる?
無意識のまま、ポンと保乃の頭を撫でてしまって、気まずさを隠すようにその場から逃げるように別のメンバーのもとへ走った。
ファンサだったはずなのに、自分の鼓動がうるさい。
こんなの、演出のせいでも、走ったせいでもない。
…やばいな、これ。
ライブは、プロとしてきちんとやり切った。
けど、舞台袖に捌けた瞬間から、頭の中には保乃の顔しかなかった。
どうにか気持ちを消化したくて、打ち上げの会場でひかるの隣に座る。
彼女なら、きっと笑って聞いてくれると思った。
「ねえ、ひかる。保乃ってさ、かわいいよね」
ひかるはちょっと驚いたように目を丸くして、「え、うん。かわいいけど急に何」と困ったように笑った。
それでも構わず、わたしは続ける。
「わたし、保乃のこと好きかもしれない」
ぽつりと、でも確かな気持ちで言った。
すると、ひかるの目がさらに大きく開き――次の瞬間、ゲラゲラと笑い出した。
「え、なに?!」と小突くけど、ひかるはツボに入ったらしく、何度も手を叩いて笑ってる。
ちょっと離れた席で可愛い顔で肉を頬張ってる保乃に気づかれたらどうするのよ…!
「しっ、しーっ!」と焦って口元を抑えるも、ひかるは泣き笑いのようにして、
「いや、ごめん、でもさ、さくら絶対自覚してなかっただけで、保乃ちゃんのこと好きなオーラ、ずっと出てたよ?」
なんて言う。
その一言に、あれ? ってなって、え?とか、ん?とか、意味不明な声しか出なくなる自分がちょっと悔しい。
それでも、真面目な話に戻す。
「保乃はさ、たぶんひかるみたいな子が好きなんじゃないかなって。どうしたら、ひかるみたいになれる?」
するとひかるは、不思議そうにしながらも、まっすぐな口調で言ってくれた。
「ううん、さくらのままでいいと思うよ。きっと、保乃ちゃんもさくらのこと好きだよ」
自信なんてなかった。
でも、ひかるが言うと、少しだけ「もしかして」と思える。
やっぱり、ひかるってすごい。
「今日、告白しようかな」
思わず漏れたひとことに、「早くない?!」と、またひかるが笑い出した。
本気なのに、からかわれてる気もしてちょっとムッとしたけど、「ところで面白すぎるからこの話、天と夏鈴にもしていい?」って、ちゃんと確認してくれるところが、ひかるらしくて好きだった。
「いいよ」と適当に返して、保乃の元へ向かった。
「保乃、今日このあと時間ある?」
言った瞬間、もっと普通に話してからの方が良かったかなと後悔したけど、
保乃が――ほんの少し照れたように、でも明らかに嬉しそうに頷いた。
それだけで、十分だった。
ホテルの部屋に戻って、保乃をベッドに座らせる。
ドキドキが止まらない。
何年も一緒にいるのに、初めてみたいな緊張。
「ねえ、保乃」
名前を呼ぶだけで、彼女の体がピクリと強ばった。
その様子に、自分まで余計に緊張してしまう。
「わたしさ、保乃のこと、好きみたいなんだよね」
声は震えていたけど、ちゃんと届いていると信じた。
視線を向けると、保乃はライブのときよりもっと顔を赤くして、じっと私を見ていた。
「……好き“みたい”ってなに。ちゃんと言ってや」
その言葉に、思わず笑ってしまう。
保乃らしくて、ちょっとほっとした。
「保乃、好き。ちゃんと、恋愛として好き。付き合って」
その瞬間、保乃はふにゃっと、幸せそうに微笑んでくれた。
「保乃、重いから、覚悟してや」
そんな言葉を返されて、胸がいっぱいになる。
愛おしくて、たまらなくて、頬にキスを落とした。
すると保乃は、また真っ赤になって――
「保乃、幸せやわ」
そんな顔で言うものだから、わたしも笑うしかなくなった。
出会って7年。
今日からは、恋人。
よろしくね、保乃。
おまけ
「夏鈴、天、聞いて」
「なに」「どしたのひかる」
「さくら、保乃ちゃんのこと好きなの今日気付いたらしい」
「え?笑」「嘘やん」
「めっちゃ真剣な顔して好きかもとか言われて笑っちゃった、で今保乃ちゃんに告白しに行った」
「????」「変な人だ」
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