🦒🦉- 囁き
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茉里乃ちゃんが、ある日突然「好き」と言ってきた。
その言葉を受け取ったとき、私は戸惑いよりも先に、ただただ驚いた。
だって私は、メンバーや女性ファンから黄色い声援をもらうようなキャラクターじゃないと、自分で一番よく分かっていたから。
だから最初は、冗談か、あるいはからかわれているのかと疑った。
けれど。
茉里乃ちゃんの目は、まっすぐだった。
あまりにも真っ直ぐすぎて、最初に抱いた疑念が恥ずかしくなるくらいだった。
その視線に射抜かれるように、胸の奥がふわりと温かくなるのを感じたのも、事実だった。
あのとき思った。
いつか、同じ気持ちだと伝えられたら、あの子はまたあんなふうに笑ってくれるだろうかと。
そんなことを考えながら、私は日々を過ごしていた。
夜更け、スマホの通知音が鳴った。
茉里乃ちゃんからのメッセージだった……とはいえ、個人チャットじゃない。
私たち数人で構成されたグループのトークルーム。
綺良ちゃんが勝手に作った、くだらないことを共有したり、練習動画を送り合ったりするための、ゆるい場所。
でも、そこに茉里乃ちゃんもいて、私もいる。
それだけで嬉しかった。
彼女は、仲良くても自分から連絡しないタイプだ。
私も、何か用事があるわけじゃないから個別に連絡はしない。
だから、こんなふうにさりげなく繋がれるグループが、少しだけ心の支えだった。
綺良ちゃんが送ってきた、変なフィルターで踊ってる動画。
茉里乃ちゃんがそれに反応して、グループ全体に向けて「これ、今度やろうや」とコメントした。
すぐに返信したくなった。
でも、「即レスって引かれるかな……」なんて考えてるうちに、どんどん会話は進んでしまって、結局なにも言えなかった。
個人で連絡する勇気もないのに、グループでも何もできない。
そんな自分に、呆れてしまう。
頭の中は、いつも茉里乃ちゃんでいっぱいだ。
ガラにもなく、心臓がドキドキしている。
まるで、ありきたりなラブソングの中の主人公みたいで、自分でも可笑しくなってくる。
──こんなに、好きになってしまうなんて。
好きって言ってきたのは、あの子のほうだったのに。
今じゃ私のほうが、ずっと、ずっと夢中だ。
まんまと、茉里乃ちゃんの「好き」に振り回されている。
こんな気持ち、気づかれたくない。
でも、自分でももう止められない。
これはもう、どうしようもない恋だ。
──と思っていたのに。
茉里乃ちゃんは、いつの間にか私に「好き」と言わなくなった。
代わりに、唯衣ちゃんのことが好きだとあっけらかんと言い出して、その後すぐ「もう飽きた〜」なんて冗談めかして笑ってた。
何なの、それ。
振り回されてばっかりじゃない。
私の気持ちは、あの子が思ってるより、ずっと、ずっと重いのに。
茉里乃ちゃんに「好き」と言われたあの日、私は「私も、同じ気持ちだ」と言いたかった。
けれど、怖くて。もしすれ違ってしまったらと思うと、どうしても一歩が踏み出せなかった。
でも──もう、やめよう。
どうせ結ばれないなら、ぶつけてみてもいいじゃないか。
このままごまかしていても、たぶん私は、ずっと心の中で泣き続けることになる。
明日にでも、この気持ちを伝えてしまいたい。
いつからこんなに夢中になっていたんだろう。
BACKSライブの日。
舞台の上で、振り付けとはいえ唯衣ちゃんと茉里乃ちゃんが抱き合う姿を見て、胸がズキリと痛んだ。
そのあと、MCでそっけない態度を取ってしまったのも、茉里乃ちゃんに耳打ちされていた唯衣ちゃんの隣から、ほとんど奪うように彼女の身体を引いたのも。
──あれは、嫉妬だった。
独占欲だった。
ライブが終わって、唯衣ちゃんに「井上の顔、カメラには写ってなかったと思うけど、独占欲丸出しやったで」なんてニヤニヤ笑われて、ぐうの音も出なかった。
「もう茉里乃に告白したら?笑」
男子中学生のようなテンションで背中を押してくる唯衣ちゃん。
気づけば、私は茉里乃ちゃんのほうへ足を向けていた。
「茉里乃ちゃん……好きなんやけど」
想像していた何倍も、情けない言い方だった。
でも、それでも言えた。この胸の内を、言葉にできた。
彼女は目を丸くして、そして笑って、「今?」と照れたように聞き返してきた。
「付き合ってください」
そう言ってくれたとき、私の手をぎゅっと握り返して、指を恋人繋ぎにしてくれた。
その顔は、あのときと同じ笑顔。
いや、もっとずっと、愛しくてたまらない表情だった。
このままずっと見つめていたかったけど──ここは人前。
私はそっと彼女の耳元に囁く。
「今日、うち来て」
それだけ言って、その場を離れた。
背後からは、唯衣ちゃんの「家に誰も呼ばへん主義やなかったん?」という茶化しと、後輩たちに祝福される茉里乃ちゃんの声。
ああ、本当に付き合ったんだ──。
そう実感した瞬間、私は頬が緩むのを止められなかった。
……気づけば、私は完全に押し切られていた。
この恋、完敗だ。
でも、それでいい。
勝ち負けなんて、もうどうでもいい。
茉里乃ちゃんが、今ここにいてくれるなら
──それだけで、私は幸せだった。
その言葉を受け取ったとき、私は戸惑いよりも先に、ただただ驚いた。
だって私は、メンバーや女性ファンから黄色い声援をもらうようなキャラクターじゃないと、自分で一番よく分かっていたから。
だから最初は、冗談か、あるいはからかわれているのかと疑った。
けれど。
茉里乃ちゃんの目は、まっすぐだった。
あまりにも真っ直ぐすぎて、最初に抱いた疑念が恥ずかしくなるくらいだった。
その視線に射抜かれるように、胸の奥がふわりと温かくなるのを感じたのも、事実だった。
あのとき思った。
いつか、同じ気持ちだと伝えられたら、あの子はまたあんなふうに笑ってくれるだろうかと。
そんなことを考えながら、私は日々を過ごしていた。
夜更け、スマホの通知音が鳴った。
茉里乃ちゃんからのメッセージだった……とはいえ、個人チャットじゃない。
私たち数人で構成されたグループのトークルーム。
綺良ちゃんが勝手に作った、くだらないことを共有したり、練習動画を送り合ったりするための、ゆるい場所。
でも、そこに茉里乃ちゃんもいて、私もいる。
それだけで嬉しかった。
彼女は、仲良くても自分から連絡しないタイプだ。
私も、何か用事があるわけじゃないから個別に連絡はしない。
だから、こんなふうにさりげなく繋がれるグループが、少しだけ心の支えだった。
綺良ちゃんが送ってきた、変なフィルターで踊ってる動画。
茉里乃ちゃんがそれに反応して、グループ全体に向けて「これ、今度やろうや」とコメントした。
すぐに返信したくなった。
でも、「即レスって引かれるかな……」なんて考えてるうちに、どんどん会話は進んでしまって、結局なにも言えなかった。
個人で連絡する勇気もないのに、グループでも何もできない。
そんな自分に、呆れてしまう。
頭の中は、いつも茉里乃ちゃんでいっぱいだ。
ガラにもなく、心臓がドキドキしている。
まるで、ありきたりなラブソングの中の主人公みたいで、自分でも可笑しくなってくる。
──こんなに、好きになってしまうなんて。
好きって言ってきたのは、あの子のほうだったのに。
今じゃ私のほうが、ずっと、ずっと夢中だ。
まんまと、茉里乃ちゃんの「好き」に振り回されている。
こんな気持ち、気づかれたくない。
でも、自分でももう止められない。
これはもう、どうしようもない恋だ。
──と思っていたのに。
茉里乃ちゃんは、いつの間にか私に「好き」と言わなくなった。
代わりに、唯衣ちゃんのことが好きだとあっけらかんと言い出して、その後すぐ「もう飽きた〜」なんて冗談めかして笑ってた。
何なの、それ。
振り回されてばっかりじゃない。
私の気持ちは、あの子が思ってるより、ずっと、ずっと重いのに。
茉里乃ちゃんに「好き」と言われたあの日、私は「私も、同じ気持ちだ」と言いたかった。
けれど、怖くて。もしすれ違ってしまったらと思うと、どうしても一歩が踏み出せなかった。
でも──もう、やめよう。
どうせ結ばれないなら、ぶつけてみてもいいじゃないか。
このままごまかしていても、たぶん私は、ずっと心の中で泣き続けることになる。
明日にでも、この気持ちを伝えてしまいたい。
いつからこんなに夢中になっていたんだろう。
BACKSライブの日。
舞台の上で、振り付けとはいえ唯衣ちゃんと茉里乃ちゃんが抱き合う姿を見て、胸がズキリと痛んだ。
そのあと、MCでそっけない態度を取ってしまったのも、茉里乃ちゃんに耳打ちされていた唯衣ちゃんの隣から、ほとんど奪うように彼女の身体を引いたのも。
──あれは、嫉妬だった。
独占欲だった。
ライブが終わって、唯衣ちゃんに「井上の顔、カメラには写ってなかったと思うけど、独占欲丸出しやったで」なんてニヤニヤ笑われて、ぐうの音も出なかった。
「もう茉里乃に告白したら?笑」
男子中学生のようなテンションで背中を押してくる唯衣ちゃん。
気づけば、私は茉里乃ちゃんのほうへ足を向けていた。
「茉里乃ちゃん……好きなんやけど」
想像していた何倍も、情けない言い方だった。
でも、それでも言えた。この胸の内を、言葉にできた。
彼女は目を丸くして、そして笑って、「今?」と照れたように聞き返してきた。
「付き合ってください」
そう言ってくれたとき、私の手をぎゅっと握り返して、指を恋人繋ぎにしてくれた。
その顔は、あのときと同じ笑顔。
いや、もっとずっと、愛しくてたまらない表情だった。
このままずっと見つめていたかったけど──ここは人前。
私はそっと彼女の耳元に囁く。
「今日、うち来て」
それだけ言って、その場を離れた。
背後からは、唯衣ちゃんの「家に誰も呼ばへん主義やなかったん?」という茶化しと、後輩たちに祝福される茉里乃ちゃんの声。
ああ、本当に付き合ったんだ──。
そう実感した瞬間、私は頬が緩むのを止められなかった。
……気づけば、私は完全に押し切られていた。
この恋、完敗だ。
でも、それでいい。
勝ち負けなんて、もうどうでもいい。
茉里乃ちゃんが、今ここにいてくれるなら
──それだけで、私は幸せだった。
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