🌱🧸- 恋と友情
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ひぃちゃんは、保乃のことが好きなんやと思ってた。
だって、いつも優しかった。
落ち込んでたらすぐに気づいてくれて、そっと声をかけてくれて。
誰よりもステージに真剣で、キラキラした背中を見せてくれるひぃちゃんが、たまに見せる照れくさそうな笑顔が、保乃には特別に見えた。
「保乃ちゃん、今日もかわいいね」
「保乃ちゃんと付き合うなら楽しそうやなぁ」
そんな言葉たちが、ひぃちゃんの口から自然と出るたびに、心の奥で希望が膨らんでいった。
近くで見てきた。
何度も、何度も確かめた。
保乃が他の子とふざけていたら、少しだけ視線が冷たくなること。
保乃が話しかけたら、嬉しそうに目を細めてくれること。
触れたら、わかりやすいくらい頬を赤く染めること。
きっと――いや、絶対、ひぃちゃんも同じ気持ちやと思ってた。
だから、告白されるのを待ってた。
……なのに。
最近のひぃちゃんは、天ちゃんのことばっかり話す。
何かにつけて、「天ちゃんと、最近どう?」とか、「保乃ちゃん、天ちゃんと相性いいと思う」なんて言ってくる。
それに、あからさまに保乃と天ちゃんを2人きりにしようとしてくる行動。
保乃は……バカじゃない。
気づいてる。
ひぃちゃんが、保乃と天ちゃんをくっつけようとしてることに。
わざと2人にされるたび、心が冷えていった。
なんでやの。
ひぃちゃんの気持ち、嘘やったん?
優しかったのも、気まぐれやったん?
……全部、信じてたのに。
たまたまひぃちゃんと楽屋に2人きりになった。
他の同期がすっと出ていって、静かになったその空間。
チャンスだと思ったのに、ひぃちゃんは立ち上がってすぐに出口に向かおうとする。
「……ひぃちゃん、どこ行くの?」
「ちょっと、自販機に」
もう逃がしたくなかった。
「話したいこと、あるんやけど」
真剣な声を出した。
優しいひぃちゃんが、放っておけないって知ってた。
だから、そう言った。
ひぃちゃんは一瞬迷ってから、保乃の斜め前の席に静かに腰を下ろした。
……けど、それじゃ足りへん。
保乃は、機嫌の悪い顔でひぃちゃんの隣に腰を下ろした。
ぴくっと肩を揺らしたひぃちゃんが、慌てて椅子を少しずらしたのも見逃さない。
なんなん、その距離。
保乃、今怒ってるんやで。
そう念じるように、ひぃちゃんを見つめると……目をそらされた。
でも、きっと伝わった。
「……ひぃちゃんは、保乃のこと好きやないん?」
もっと伝えたかったはずなのに、出てきたのはそんな可愛げのない言葉だった。
「好きだよ、大切なメンバーだもん」
その瞬間、何かがスーッと冷えていく気がした。
笑わんといて。そんな顔して、メンバーって……。
「そうやなくて、保乃が言いたいのは……」
言いかけたその時。
ひぃちゃんの人差し指が、保乃の唇にそっと触れた。
ドクン、と心臓が跳ねた。簡単すぎるくらい、単純に。
「それ以上言ったらだめ。私の気持ち、止められなくなる」
「止めんでよ。ひとりで完結しようとしないで。ひぃちゃんのこと、好きやよ」
そう伝えると、ひぃちゃんの顔に影が落ちた。
「でも……天ちゃんのこと、好きになってないの?」
「保乃は、ひぃちゃんが好き。それだけやよ」
しばらくの沈黙のあと。
「……私も、保乃ちゃんが好き」
その一言を聞けたとき、ようやく全部が報われた気がした。
「……付き合ってくれる?」
「うん」
そう頷いてくれた瞬間、心から嬉しかった。
なのに、すぐにひぃちゃんは言った。
「天ちゃんに……謝らないと」
だから保乃は、そっと彼女の頭を軽く叩いた。
「もし天ちゃんに嫌われたら、保乃も一緒に嫌われてあげるから。だから今は、保乃のことだけ考えて?」
そう言って、やっとぎゅっと抱きしめた。
遠回りしたけど――
やっと、この恋が始まった。
だって、いつも優しかった。
落ち込んでたらすぐに気づいてくれて、そっと声をかけてくれて。
誰よりもステージに真剣で、キラキラした背中を見せてくれるひぃちゃんが、たまに見せる照れくさそうな笑顔が、保乃には特別に見えた。
「保乃ちゃん、今日もかわいいね」
「保乃ちゃんと付き合うなら楽しそうやなぁ」
そんな言葉たちが、ひぃちゃんの口から自然と出るたびに、心の奥で希望が膨らんでいった。
近くで見てきた。
何度も、何度も確かめた。
保乃が他の子とふざけていたら、少しだけ視線が冷たくなること。
保乃が話しかけたら、嬉しそうに目を細めてくれること。
触れたら、わかりやすいくらい頬を赤く染めること。
きっと――いや、絶対、ひぃちゃんも同じ気持ちやと思ってた。
だから、告白されるのを待ってた。
……なのに。
最近のひぃちゃんは、天ちゃんのことばっかり話す。
何かにつけて、「天ちゃんと、最近どう?」とか、「保乃ちゃん、天ちゃんと相性いいと思う」なんて言ってくる。
それに、あからさまに保乃と天ちゃんを2人きりにしようとしてくる行動。
保乃は……バカじゃない。
気づいてる。
ひぃちゃんが、保乃と天ちゃんをくっつけようとしてることに。
わざと2人にされるたび、心が冷えていった。
なんでやの。
ひぃちゃんの気持ち、嘘やったん?
優しかったのも、気まぐれやったん?
……全部、信じてたのに。
たまたまひぃちゃんと楽屋に2人きりになった。
他の同期がすっと出ていって、静かになったその空間。
チャンスだと思ったのに、ひぃちゃんは立ち上がってすぐに出口に向かおうとする。
「……ひぃちゃん、どこ行くの?」
「ちょっと、自販機に」
もう逃がしたくなかった。
「話したいこと、あるんやけど」
真剣な声を出した。
優しいひぃちゃんが、放っておけないって知ってた。
だから、そう言った。
ひぃちゃんは一瞬迷ってから、保乃の斜め前の席に静かに腰を下ろした。
……けど、それじゃ足りへん。
保乃は、機嫌の悪い顔でひぃちゃんの隣に腰を下ろした。
ぴくっと肩を揺らしたひぃちゃんが、慌てて椅子を少しずらしたのも見逃さない。
なんなん、その距離。
保乃、今怒ってるんやで。
そう念じるように、ひぃちゃんを見つめると……目をそらされた。
でも、きっと伝わった。
「……ひぃちゃんは、保乃のこと好きやないん?」
もっと伝えたかったはずなのに、出てきたのはそんな可愛げのない言葉だった。
「好きだよ、大切なメンバーだもん」
その瞬間、何かがスーッと冷えていく気がした。
笑わんといて。そんな顔して、メンバーって……。
「そうやなくて、保乃が言いたいのは……」
言いかけたその時。
ひぃちゃんの人差し指が、保乃の唇にそっと触れた。
ドクン、と心臓が跳ねた。簡単すぎるくらい、単純に。
「それ以上言ったらだめ。私の気持ち、止められなくなる」
「止めんでよ。ひとりで完結しようとしないで。ひぃちゃんのこと、好きやよ」
そう伝えると、ひぃちゃんの顔に影が落ちた。
「でも……天ちゃんのこと、好きになってないの?」
「保乃は、ひぃちゃんが好き。それだけやよ」
しばらくの沈黙のあと。
「……私も、保乃ちゃんが好き」
その一言を聞けたとき、ようやく全部が報われた気がした。
「……付き合ってくれる?」
「うん」
そう頷いてくれた瞬間、心から嬉しかった。
なのに、すぐにひぃちゃんは言った。
「天ちゃんに……謝らないと」
だから保乃は、そっと彼女の頭を軽く叩いた。
「もし天ちゃんに嫌われたら、保乃も一緒に嫌われてあげるから。だから今は、保乃のことだけ考えて?」
そう言って、やっとぎゅっと抱きしめた。
遠回りしたけど――
やっと、この恋が始まった。
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