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私の好きな人は今日も、後輩を可愛がる恋人を見つめながら、寂しそうな横顔をしていた。
さくらのことがずっと好きだった。
中学生の頃からグループで過ごしてきた、唯一の同い年で、同期。
喜びも、悔しさも、不安も、笑いも——隣で分かち合ってきた。
楽屋でふざけて笑いあった日々。
目を合わせれば言葉はいらなかったあの時間。
それなのに、さくらは保乃と付き合うことを選んだ。
もう子どもじゃない。
選ばれなかったとしても、仲間として、同期として、祝福すべきだと自分に言い聞かせた。
心を押し殺して、明るい同期を演じ続けた。
だけど。
保乃は、どこかでその立場に甘えていたように見えた。
年長メンバーとしてグループの最前線に立ち、後輩に囲まれ、外の仕事にも呼ばれて——きっと余裕なんてなかったのだろう。
それでも、あんな顔をさせていい理由にはならない。
恋人を、あんなに悲しそうにさせるなんて。
もう大人のふりなんかやめる。
そう決意して、さくらを楽屋からそっと空き部屋へ連れ出した。
そのとき、そっと手を握った。
けれど保乃は気づきもせず、理子と笑いながら話していた。
あんなに近くにいるのに、私の1番欲しいポジションを手に入れたのに、どうして気づかないの。
そんな現実に、私の心もすこしずつ擦り減っていた。
空き部屋にたどり着いて、さくらを壁に押し付けるようにして立たせる。
頭を撫でると、少し戸惑ったように目を丸くする。
「さくらのこと、ずっと好きだった」
小さく、息を飲む音が聞こえた。
「保乃と幸せになるんやったらって、諦めてた。でも今のさくら、寂しそうで、見てられない」
「……なあ、私じゃ、あかん?」
言った瞬間、自分の声が震えていたのが分かった。
でも、予想外の返事が返ってきた。
「天のこと、保乃ちゃんと付き合う前まで好きだったって言ったら……天、どうする?」
胸が、ぎゅっと締めつけられた。
嬉しい。悔しい。信じられない。
——それでも、言葉はただ一つだった。
「私が幸せにする。私なら寂しい思い、させへん」
抱きしめると、さくらは言った。
「今は……保乃ちゃんのことが好きだよ?でも……」
彼女は私の手を取って、自分の胸にそっと当てる。
「今、めっちゃドキドキしてる」
真っすぐに見つめてくるその目に、心臓の音が重なって、全身が熱くなる。
それから、さくらは保乃が後輩にばかり気を取られるたびに、私の元へ来てくれるようになった。
その度に、"私こそがさくらの特別"なのだと錯覚してしまう。
いけないと分かっていても、やめられなかった。
けれど、そんな曖昧な時間は、長くは続かなかった。
いつものように過ごしていたある日、保乃が真っ直ぐこちらに歩いてきた。
その目は、怒りと、悲しみと、覚悟を帯びていた。
「さくら、ごめん」
「保乃がちゃんと、さくらのこと見てへんかった。……まりなちゃんから聞いて、今のままじゃあかんって気づいた」
「もう一回、保乃のとこ来てくれへん?ほんまに、さくらのこと好きなんよ。さくらがおらんと……生きていけへん」
私は俯いて拳を握りしめた。
もう戻ってしまうのだと、どこかで覚悟していた。
けれど、そのとき——
そっと私の拳に手を重ねてきたさくらがいた。
「保乃ちゃん、ずっと言えなくてごめんね。でも、もう終わりにしよう」
「……」
「保乃ちゃんの優しいとこ好きだよ。でもその優しさ、誰にでも向けられるたびに……苦しくなるんだ」
そう言って微笑んださくらは、どこか晴れやかだった。
保乃は何も言わず、ただ「ごめんな」と言って、涙をこらえながら去っていった。
さくらはその背中を、黙って見送っていた。
「……なあ、さくら。本当に、あれで良かったん?」
そう問いかけると、さくらは少し照れたように笑った。
「うん、もう大丈夫。……そんな顔で聞かないでよ笑 泣きそうじゃん、天」
その笑顔に、さらに泣きそうになった。
その日、私はさくらを抱きしめて、ただ無言で隣にいた。
数ヶ月が経った。
保乃とさくらは、また"メンバー"としての距離に戻った。
表面上は何事もなかったように見える。
さくらはすっかり元気になって、また私とふざけあう楽屋の日々が戻ってきた。
——それだけで、幸せだった。
でも、ある日。いつもと違う真剣な顔をして、さくらが言った。
「今日、帰りちょっと時間ちょうだい」
理由も聞けないまま、私は楽屋に一人残された。
やがてさくらがやってきて、いつもよりずっと真面目な顔で、私の目の前に立った。
「天、覚えてる?あの日のこと」
「……もちろんや。忘れるわけないやろ」
「私はあのときからずっと、そばにいてくれた天と、ちゃんと向き合いたいって思ってた」
「天のこと、好きだよ」
「付き合ってください」
その声が胸の奥に落ちた瞬間、涙があふれていた。
さくらの手をぎゅっと握って、抱きしめる。
「——もちろん」
喉が詰まって、うまく声になったかわからない。
でも、それでも伝えたかった。
この腕の中の温もりを、絶対に、もう二度と離さない。
さくらの髪が震えていた。
その肩に、静かに伝わる鼓動が、たしかに私のものになった気がした。
その日から、私たちはやっと、おたがいの「恋人」になった。
ようやく始まった恋が、どうかこのまま続いていきますように。
さくらのことがずっと好きだった。
中学生の頃からグループで過ごしてきた、唯一の同い年で、同期。
喜びも、悔しさも、不安も、笑いも——隣で分かち合ってきた。
楽屋でふざけて笑いあった日々。
目を合わせれば言葉はいらなかったあの時間。
それなのに、さくらは保乃と付き合うことを選んだ。
もう子どもじゃない。
選ばれなかったとしても、仲間として、同期として、祝福すべきだと自分に言い聞かせた。
心を押し殺して、明るい同期を演じ続けた。
だけど。
保乃は、どこかでその立場に甘えていたように見えた。
年長メンバーとしてグループの最前線に立ち、後輩に囲まれ、外の仕事にも呼ばれて——きっと余裕なんてなかったのだろう。
それでも、あんな顔をさせていい理由にはならない。
恋人を、あんなに悲しそうにさせるなんて。
もう大人のふりなんかやめる。
そう決意して、さくらを楽屋からそっと空き部屋へ連れ出した。
そのとき、そっと手を握った。
けれど保乃は気づきもせず、理子と笑いながら話していた。
あんなに近くにいるのに、私の1番欲しいポジションを手に入れたのに、どうして気づかないの。
そんな現実に、私の心もすこしずつ擦り減っていた。
空き部屋にたどり着いて、さくらを壁に押し付けるようにして立たせる。
頭を撫でると、少し戸惑ったように目を丸くする。
「さくらのこと、ずっと好きだった」
小さく、息を飲む音が聞こえた。
「保乃と幸せになるんやったらって、諦めてた。でも今のさくら、寂しそうで、見てられない」
「……なあ、私じゃ、あかん?」
言った瞬間、自分の声が震えていたのが分かった。
でも、予想外の返事が返ってきた。
「天のこと、保乃ちゃんと付き合う前まで好きだったって言ったら……天、どうする?」
胸が、ぎゅっと締めつけられた。
嬉しい。悔しい。信じられない。
——それでも、言葉はただ一つだった。
「私が幸せにする。私なら寂しい思い、させへん」
抱きしめると、さくらは言った。
「今は……保乃ちゃんのことが好きだよ?でも……」
彼女は私の手を取って、自分の胸にそっと当てる。
「今、めっちゃドキドキしてる」
真っすぐに見つめてくるその目に、心臓の音が重なって、全身が熱くなる。
それから、さくらは保乃が後輩にばかり気を取られるたびに、私の元へ来てくれるようになった。
その度に、"私こそがさくらの特別"なのだと錯覚してしまう。
いけないと分かっていても、やめられなかった。
けれど、そんな曖昧な時間は、長くは続かなかった。
いつものように過ごしていたある日、保乃が真っ直ぐこちらに歩いてきた。
その目は、怒りと、悲しみと、覚悟を帯びていた。
「さくら、ごめん」
「保乃がちゃんと、さくらのこと見てへんかった。……まりなちゃんから聞いて、今のままじゃあかんって気づいた」
「もう一回、保乃のとこ来てくれへん?ほんまに、さくらのこと好きなんよ。さくらがおらんと……生きていけへん」
私は俯いて拳を握りしめた。
もう戻ってしまうのだと、どこかで覚悟していた。
けれど、そのとき——
そっと私の拳に手を重ねてきたさくらがいた。
「保乃ちゃん、ずっと言えなくてごめんね。でも、もう終わりにしよう」
「……」
「保乃ちゃんの優しいとこ好きだよ。でもその優しさ、誰にでも向けられるたびに……苦しくなるんだ」
そう言って微笑んださくらは、どこか晴れやかだった。
保乃は何も言わず、ただ「ごめんな」と言って、涙をこらえながら去っていった。
さくらはその背中を、黙って見送っていた。
「……なあ、さくら。本当に、あれで良かったん?」
そう問いかけると、さくらは少し照れたように笑った。
「うん、もう大丈夫。……そんな顔で聞かないでよ笑 泣きそうじゃん、天」
その笑顔に、さらに泣きそうになった。
その日、私はさくらを抱きしめて、ただ無言で隣にいた。
数ヶ月が経った。
保乃とさくらは、また"メンバー"としての距離に戻った。
表面上は何事もなかったように見える。
さくらはすっかり元気になって、また私とふざけあう楽屋の日々が戻ってきた。
——それだけで、幸せだった。
でも、ある日。いつもと違う真剣な顔をして、さくらが言った。
「今日、帰りちょっと時間ちょうだい」
理由も聞けないまま、私は楽屋に一人残された。
やがてさくらがやってきて、いつもよりずっと真面目な顔で、私の目の前に立った。
「天、覚えてる?あの日のこと」
「……もちろんや。忘れるわけないやろ」
「私はあのときからずっと、そばにいてくれた天と、ちゃんと向き合いたいって思ってた」
「天のこと、好きだよ」
「付き合ってください」
その声が胸の奥に落ちた瞬間、涙があふれていた。
さくらの手をぎゅっと握って、抱きしめる。
「——もちろん」
喉が詰まって、うまく声になったかわからない。
でも、それでも伝えたかった。
この腕の中の温もりを、絶対に、もう二度と離さない。
さくらの髪が震えていた。
その肩に、静かに伝わる鼓動が、たしかに私のものになった気がした。
その日から、私たちはやっと、おたがいの「恋人」になった。
ようやく始まった恋が、どうかこのまま続いていきますように。
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