🎐- 恋の色
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夏鈴は、いい意味でも悪い意味でも、あっさりした人だと思う。
付き合ってからも、楽屋やメンバーの前では特に変わった様子を見せるわけでもなくて。
ときどき報告済みの同期に「ほんとに付き合ってるの?」と笑われるくらいには、さっぱりしている。
冗談だってことはわかってる。
私も「そう見えるよね〜」なんて軽く笑って返すけど、内心、少し落ち込む夜があるのも事実だ。
でも、落ち着いててクールで、ベタベタした関係を好まない夏鈴が、それでも時々「うち来る?」なんて言ってくれて、一緒にご飯を食べたり、他愛もない会話をしたり、同じベッドで眠ったりする——
そんな日々の中で、ああ、夏鈴はちゃんと私の恋人なんだなって、実感できていた。
だから、不満があるわけじゃなかった。むしろ、ちょうどいい距離感だと思っていた。
楽屋の扉を開けると、珍しく夏鈴の姿があった。
「あ、おはよう」
それだけ声をかけて、私は天とゆづの間に席をとる。
天は同期で、歳は一つ下。常にノリが良くて、笑いが絶えない子。
ゆづは後輩だけど、しっかりしていて、どこかお姉ちゃんみたいな雰囲気がある。
そんなふたりに囲まれて、今日の楽屋も賑やかになりそうだと、私は自然と笑みを浮かべる。
「さくら〜大好き〜!」
天がふざけて私の膝に頭を乗せてくる。
「天ちゃん、かわいいね〜」
それに乗っかりつい甘くなる声で撫でてやると、反対側からゆづが肩に寄りかかってくる。
「私も、さくらさんに可愛がってもらいたいです!」
「ゆづもかわいいよ、大好き」
そんな風に、じゃれ合っていたときだった。
不意に、ぴりっとした空気が楽屋を裂く。
振り向けば、真顔の夏鈴が立っていて、
「今日、うち来て」
そう一言だけ残して、楽屋を出て行ってしまった。
あまりの唐突さに言葉を失っていると、天とゆづがほぼ同時に私から距離を取った。
「やば……夏鈴、絶対怒ってるよね」
「さくらさん……すみません」
ふたりの声が重なる。
でも私はというと、久々に夏鈴の家行ける!と浮かれていて、あまり深刻には捉えていなかった。
同じ車両で帰れるのが嬉しくて、夏鈴の隣に座ったけど、彼女は無言でヘッドホンをつけた。 相変わらずツレないなあ……なんて思いながら、私もイヤホンを取り出して、しばらく沈黙の帰路を過ごす。
夏鈴の家についてからも、彼女の態度はどこか素っ気ない。
いつもなら、ふたりきりになった瞬間に少し甘えたような優しさを見せてくれるのに、今日は違う。
あれ?と困惑しながら部屋に入り、ドアが閉まったその瞬間——
私は、壁に押しつけられた。
「夏鈴……?」
戸惑いながら名前を呼ぶと、彼女は低い声で呟く。
「さすがに、天ちゃんとか中嶋ちゃんとあんなに仲良くするのは……ダメでしょ」
そう言って、唇が重なる。
思いのほか強引で、息ができなくなるほどのキス。
胸がきゅっとなって、私は思わず彼女の肩を叩いた。
やっと口を離してくれたかと思えば、夏鈴はわずかに笑って、こう言った。
「ほら、キスだけでこんな顔。……そんな顔、誰にも見せられないね」
顔が熱くなるのを自覚しながら、私は目をそらした。
「はは、かわい。ベッド行くよ。」
細い体からは想像できない力で抱き上げられ、そのまま寝室に連れていかれる。
「今日は、寝られると思わんで」
……ああ、きっと私は、夏鈴を不安にさせてしまったんだ。
でも、こんなふうにまっすぐ求めてくれるのが、たまらなく嬉しかった。
翌朝。
「さくら、おはよ」
「……おはよ、夏鈴」
「昨日、ごめん。ちょっと、やりすぎたかも」
「ううん。ああいう夏鈴の余裕ない顔、好きだよ。……ちゃんと、愛されてるって思えるから」
「ふーん、じゃあもう一回、する?」
「は!? ばか!!!しない!!!!」
赤面して叫ぶ私を見て、夏鈴は珍しく、楽しそうに笑っていた。
——ほんとは、いいよとか、言えるはずないけど。
それくらいには、彼女のことが、好きだった。
付き合ってからも、楽屋やメンバーの前では特に変わった様子を見せるわけでもなくて。
ときどき報告済みの同期に「ほんとに付き合ってるの?」と笑われるくらいには、さっぱりしている。
冗談だってことはわかってる。
私も「そう見えるよね〜」なんて軽く笑って返すけど、内心、少し落ち込む夜があるのも事実だ。
でも、落ち着いててクールで、ベタベタした関係を好まない夏鈴が、それでも時々「うち来る?」なんて言ってくれて、一緒にご飯を食べたり、他愛もない会話をしたり、同じベッドで眠ったりする——
そんな日々の中で、ああ、夏鈴はちゃんと私の恋人なんだなって、実感できていた。
だから、不満があるわけじゃなかった。むしろ、ちょうどいい距離感だと思っていた。
楽屋の扉を開けると、珍しく夏鈴の姿があった。
「あ、おはよう」
それだけ声をかけて、私は天とゆづの間に席をとる。
天は同期で、歳は一つ下。常にノリが良くて、笑いが絶えない子。
ゆづは後輩だけど、しっかりしていて、どこかお姉ちゃんみたいな雰囲気がある。
そんなふたりに囲まれて、今日の楽屋も賑やかになりそうだと、私は自然と笑みを浮かべる。
「さくら〜大好き〜!」
天がふざけて私の膝に頭を乗せてくる。
「天ちゃん、かわいいね〜」
それに乗っかりつい甘くなる声で撫でてやると、反対側からゆづが肩に寄りかかってくる。
「私も、さくらさんに可愛がってもらいたいです!」
「ゆづもかわいいよ、大好き」
そんな風に、じゃれ合っていたときだった。
不意に、ぴりっとした空気が楽屋を裂く。
振り向けば、真顔の夏鈴が立っていて、
「今日、うち来て」
そう一言だけ残して、楽屋を出て行ってしまった。
あまりの唐突さに言葉を失っていると、天とゆづがほぼ同時に私から距離を取った。
「やば……夏鈴、絶対怒ってるよね」
「さくらさん……すみません」
ふたりの声が重なる。
でも私はというと、久々に夏鈴の家行ける!と浮かれていて、あまり深刻には捉えていなかった。
同じ車両で帰れるのが嬉しくて、夏鈴の隣に座ったけど、彼女は無言でヘッドホンをつけた。 相変わらずツレないなあ……なんて思いながら、私もイヤホンを取り出して、しばらく沈黙の帰路を過ごす。
夏鈴の家についてからも、彼女の態度はどこか素っ気ない。
いつもなら、ふたりきりになった瞬間に少し甘えたような優しさを見せてくれるのに、今日は違う。
あれ?と困惑しながら部屋に入り、ドアが閉まったその瞬間——
私は、壁に押しつけられた。
「夏鈴……?」
戸惑いながら名前を呼ぶと、彼女は低い声で呟く。
「さすがに、天ちゃんとか中嶋ちゃんとあんなに仲良くするのは……ダメでしょ」
そう言って、唇が重なる。
思いのほか強引で、息ができなくなるほどのキス。
胸がきゅっとなって、私は思わず彼女の肩を叩いた。
やっと口を離してくれたかと思えば、夏鈴はわずかに笑って、こう言った。
「ほら、キスだけでこんな顔。……そんな顔、誰にも見せられないね」
顔が熱くなるのを自覚しながら、私は目をそらした。
「はは、かわい。ベッド行くよ。」
細い体からは想像できない力で抱き上げられ、そのまま寝室に連れていかれる。
「今日は、寝られると思わんで」
……ああ、きっと私は、夏鈴を不安にさせてしまったんだ。
でも、こんなふうにまっすぐ求めてくれるのが、たまらなく嬉しかった。
翌朝。
「さくら、おはよ」
「……おはよ、夏鈴」
「昨日、ごめん。ちょっと、やりすぎたかも」
「ううん。ああいう夏鈴の余裕ない顔、好きだよ。……ちゃんと、愛されてるって思えるから」
「ふーん、じゃあもう一回、する?」
「は!? ばか!!!しない!!!!」
赤面して叫ぶ私を見て、夏鈴は珍しく、楽しそうに笑っていた。
——ほんとは、いいよとか、言えるはずないけど。
それくらいには、彼女のことが、好きだった。
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