🌱🍒- 初恋。
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夏が終わる頃。
空の青はまだ名残惜しそうに澄んでいて、けれど吹き抜ける風は、もう少しだけ秋の匂いが混じっていた。
下校のチャイムが鳴って、私の机にひかるちゃんがやってくる。
「今日……一緒に帰ろう?」
その声に、自然と頷いた。
その一言だけで、今日が少し特別に感じられるのが不思議だった。
校門を出て、ゆっくりと並んで歩く。
部活帰りの生徒たちの声が遠くで響いていて、それすらも、今のふたりにとっては静かなBGMみたいだった。
「最近さ」
ひかるちゃんが、少しだけ声を潜めて言った。
「友達に聞かれるんだよね。“麗奈ちゃんと、どういう関係なの?”って」
私は顔を上げる。
「……で、なんて答えてるの?」
ひかるちゃんはちょっと困ったように笑った。
「別に、友達だよって。ほら、言うのも恥ずかしいしさ」
……ああ、そうくるんだ。
胸の奥が、少しだけ冷たくなる。
「……そっか。友達、なんだ」
「え?いや、そういう意味じゃなくて——」
「ううん、分かってる。隠したいんだよね」
歩きながら、少しだけ距離を取ってみる。
その反応がわざとらしかったのか、ひかるちゃんは立ち止まり、私の顔を覗き込んでくる。
「……麗奈ちゃん?」
私はそっぽを向いて、ふくれっ面で言った。
「私ね、ほんとはちゃんと“彼女です”って言いたいんだけどな」
「…………」
「別に言いふらしたいわけじゃないけど。堂々としたい。私はひかるちゃんが好きで、付き合ってて、すごく嬉しくて——そういうの、隠さなきゃいけないのかなって思うと、ちょっとだけ悲しくなる」
口にした瞬間、あぁちょっと言いすぎたかもって思った。
でも、ひかるちゃんは何も言わずに、ただじっと私のことを見ていた。
数秒の沈黙。
そのあと、そっと手を取られる。
「……じゃあ、今日からはちゃんと言おっか」
「え?」
「“大事な人です”って。……それくらいなら言える、かも」
少しだけ照れた顔で、ひかるちゃんが笑う。
私の手をぎゅっと握ったまま。
胸が熱くなった。
「……それ、今だけじゃなくてずっと言ってくれる?」
「もちろん」
私がちょっと拗ねたことなんて忘れちゃうくらい、その声がまっすぐで優しかった。
繋いだ手の中に、言葉以上の“好き”が詰まっている気がして、私は静かに笑った。
空の青はまだ名残惜しそうに澄んでいて、けれど吹き抜ける風は、もう少しだけ秋の匂いが混じっていた。
下校のチャイムが鳴って、私の机にひかるちゃんがやってくる。
「今日……一緒に帰ろう?」
その声に、自然と頷いた。
その一言だけで、今日が少し特別に感じられるのが不思議だった。
校門を出て、ゆっくりと並んで歩く。
部活帰りの生徒たちの声が遠くで響いていて、それすらも、今のふたりにとっては静かなBGMみたいだった。
「最近さ」
ひかるちゃんが、少しだけ声を潜めて言った。
「友達に聞かれるんだよね。“麗奈ちゃんと、どういう関係なの?”って」
私は顔を上げる。
「……で、なんて答えてるの?」
ひかるちゃんはちょっと困ったように笑った。
「別に、友達だよって。ほら、言うのも恥ずかしいしさ」
……ああ、そうくるんだ。
胸の奥が、少しだけ冷たくなる。
「……そっか。友達、なんだ」
「え?いや、そういう意味じゃなくて——」
「ううん、分かってる。隠したいんだよね」
歩きながら、少しだけ距離を取ってみる。
その反応がわざとらしかったのか、ひかるちゃんは立ち止まり、私の顔を覗き込んでくる。
「……麗奈ちゃん?」
私はそっぽを向いて、ふくれっ面で言った。
「私ね、ほんとはちゃんと“彼女です”って言いたいんだけどな」
「…………」
「別に言いふらしたいわけじゃないけど。堂々としたい。私はひかるちゃんが好きで、付き合ってて、すごく嬉しくて——そういうの、隠さなきゃいけないのかなって思うと、ちょっとだけ悲しくなる」
口にした瞬間、あぁちょっと言いすぎたかもって思った。
でも、ひかるちゃんは何も言わずに、ただじっと私のことを見ていた。
数秒の沈黙。
そのあと、そっと手を取られる。
「……じゃあ、今日からはちゃんと言おっか」
「え?」
「“大事な人です”って。……それくらいなら言える、かも」
少しだけ照れた顔で、ひかるちゃんが笑う。
私の手をぎゅっと握ったまま。
胸が熱くなった。
「……それ、今だけじゃなくてずっと言ってくれる?」
「もちろん」
私がちょっと拗ねたことなんて忘れちゃうくらい、その声がまっすぐで優しかった。
繋いだ手の中に、言葉以上の“好き”が詰まっている気がして、私は静かに笑った。