🧸🦉- 掌
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視界の端で、保乃ちゃんが理子ちゃんの髪を優しく撫でている。
それだけのことなのに、心の奥がちくりと痛む。
べつに、怒ってるわけじゃない。
本当に。
でも……保乃ちゃんが誰かに「かわいい」って言うたびに、なんとも言えないもやもやが胸に溜まっていく。
私だって、そう言われたいのに。
今日のわたし、ちゃんとメイクも決まってたし、服も自信あったし、保乃ちゃんに「かわいい」って言ってもらえるかなって、ちょっとだけ期待してたのに。
だけど保乃ちゃんの視線は、理子ちゃんのほうにばかり向いてて——
そういうとき、わたしはどうすればいいのか、まだよく分からない。
だって、わたしたち、付き合ってるんやもんね?
多分、じゃなくて、ちゃんと「そう」だと思ってる。
思ってるけど、たまに自信がなくなる。
保乃ちゃんはいつだって余裕そうで、気持ちをまっすぐに伝えてくれるのも、全部保乃ちゃんからで。
私はまだ、自分の気持ちを言葉にするのがちょっと苦手で、
好きってちゃんと伝えるのも、なんだか照れくさくて。
だけど、今日みたいに保乃ちゃんが他の子に優しくしてるのを見ると、
どうしても、自分も見てほしいって、強く強く思ってしまう。
この前だって、保乃ちゃんがブログに載せた写真、後ろ姿だったけど、うれしかった。
撮られてるなんて気づかなかったけど、見た瞬間、胸がぎゅってなった。
ああ、ちゃんと見ててくれてたんやなって、ほっとしたのと同時に、もっと見て、って気持ちが膨らんだ。
でも、そう思う一方で、私はまだまだ遠慮してしまう。
「こっち来て」とか「写真撮ろ」とか、そういうのも、いつも保乃ちゃんの方からだった。
でも今日は、なんか、悔しくて。
だって、また理子ちゃんばっかり。
ほんとは隣に行きたいし、甘えたいのに。
それを素直に言えなくて、でも我慢してるとどんどんしんどくなってくる。
だから、思いきって声をかけた。
「……保乃ちゃん」
声に出した瞬間、心臓がばくばくして、手が少し震えた。
「写真、撮ろ」
たったそれだけのことを言うのに、あんなに勇気がいるなんて。
でも、保乃ちゃんはすぐに笑って「いいよ」って言ってくれて。
隣に座ってスマホを構えてくれたその仕草が、いつもより優しくて、私はそれだけでちょっと泣きそうになった。
何枚か一緒に撮っているうちに、ふたりの距離が自然と近づいていって。
そのとき、ふいに、あたたかい感触が頬に触れた。
「ちょっと、なにしてん……!」
びっくりして、ほんとに心臓止まるかと思った。
慌てて立ち上がって、離れたところまで逃げ出してしまった。
頭の中は真っ白で、どうすればいいのか分からなかった。
でも、ただひとつだけはっきりしていたのは——
すごく、すごく嬉しかったってこと。
キスされた頬が、いつまでも熱くて。
鼓動が、止まらなくて。
しばらく歩いた部屋の隅で、私は立ち止まって、深呼吸をひとつ。
頬に触れたその感触を思い出すと、自然と笑ってしまいそうになる。
でも、笑ってる場合じゃない。
このままじゃ、また何も伝えられへんまま終わってしまう。
だから、私は戻る。
勇気を出して、保乃ちゃんの前に立って、目を見て、やっと言葉にした。
「あんまり、3期生ばっかりかわいがらんで……わたしのことも、見てな」
ほんの少しだけ声が震えたけど、保乃ちゃんはまっすぐに私の目を見て、うなずいてくれた。
そのうなずきが、私には世界で一番嬉しい肯定だった。
手のひらの上で転がされてるのは、どっちやろう。
ずっと、そう思ってた。
駆け引きも、ペースも、全部保乃ちゃんに握られてる気がして、私はいつも翻弄されてばかりだった。
でも——
「今日、うち来て」
不意にそう言われたとき、私は気づいた。
保乃ちゃんも、きっと私に夢中になってくれてる。
不安になるくらい、揺れるくらい、私のことを見てくれてる。
それが嬉しくて、泣きそうになった。
——ああ、もう。
分かった。
転がされてるとか、転がしてるとか、そんなのほんとはどっちでもいい。
大事なのは、こうして手のひらを重ねて、ふたりで笑いあえる時間があるってこと。
今日は、保乃ちゃんの隣で眠る。
不器用なふたりが、少しずつ素直になっていけたらいい。
すぐじゃなくてもいい、ゆっくりでいい。
だってわたしは、保乃ちゃんのことが本当に、大好きやから。
——明日も、明後日も、ずっと隣にいてくれますように。
それだけのことなのに、心の奥がちくりと痛む。
べつに、怒ってるわけじゃない。
本当に。
でも……保乃ちゃんが誰かに「かわいい」って言うたびに、なんとも言えないもやもやが胸に溜まっていく。
私だって、そう言われたいのに。
今日のわたし、ちゃんとメイクも決まってたし、服も自信あったし、保乃ちゃんに「かわいい」って言ってもらえるかなって、ちょっとだけ期待してたのに。
だけど保乃ちゃんの視線は、理子ちゃんのほうにばかり向いてて——
そういうとき、わたしはどうすればいいのか、まだよく分からない。
だって、わたしたち、付き合ってるんやもんね?
多分、じゃなくて、ちゃんと「そう」だと思ってる。
思ってるけど、たまに自信がなくなる。
保乃ちゃんはいつだって余裕そうで、気持ちをまっすぐに伝えてくれるのも、全部保乃ちゃんからで。
私はまだ、自分の気持ちを言葉にするのがちょっと苦手で、
好きってちゃんと伝えるのも、なんだか照れくさくて。
だけど、今日みたいに保乃ちゃんが他の子に優しくしてるのを見ると、
どうしても、自分も見てほしいって、強く強く思ってしまう。
この前だって、保乃ちゃんがブログに載せた写真、後ろ姿だったけど、うれしかった。
撮られてるなんて気づかなかったけど、見た瞬間、胸がぎゅってなった。
ああ、ちゃんと見ててくれてたんやなって、ほっとしたのと同時に、もっと見て、って気持ちが膨らんだ。
でも、そう思う一方で、私はまだまだ遠慮してしまう。
「こっち来て」とか「写真撮ろ」とか、そういうのも、いつも保乃ちゃんの方からだった。
でも今日は、なんか、悔しくて。
だって、また理子ちゃんばっかり。
ほんとは隣に行きたいし、甘えたいのに。
それを素直に言えなくて、でも我慢してるとどんどんしんどくなってくる。
だから、思いきって声をかけた。
「……保乃ちゃん」
声に出した瞬間、心臓がばくばくして、手が少し震えた。
「写真、撮ろ」
たったそれだけのことを言うのに、あんなに勇気がいるなんて。
でも、保乃ちゃんはすぐに笑って「いいよ」って言ってくれて。
隣に座ってスマホを構えてくれたその仕草が、いつもより優しくて、私はそれだけでちょっと泣きそうになった。
何枚か一緒に撮っているうちに、ふたりの距離が自然と近づいていって。
そのとき、ふいに、あたたかい感触が頬に触れた。
「ちょっと、なにしてん……!」
びっくりして、ほんとに心臓止まるかと思った。
慌てて立ち上がって、離れたところまで逃げ出してしまった。
頭の中は真っ白で、どうすればいいのか分からなかった。
でも、ただひとつだけはっきりしていたのは——
すごく、すごく嬉しかったってこと。
キスされた頬が、いつまでも熱くて。
鼓動が、止まらなくて。
しばらく歩いた部屋の隅で、私は立ち止まって、深呼吸をひとつ。
頬に触れたその感触を思い出すと、自然と笑ってしまいそうになる。
でも、笑ってる場合じゃない。
このままじゃ、また何も伝えられへんまま終わってしまう。
だから、私は戻る。
勇気を出して、保乃ちゃんの前に立って、目を見て、やっと言葉にした。
「あんまり、3期生ばっかりかわいがらんで……わたしのことも、見てな」
ほんの少しだけ声が震えたけど、保乃ちゃんはまっすぐに私の目を見て、うなずいてくれた。
そのうなずきが、私には世界で一番嬉しい肯定だった。
手のひらの上で転がされてるのは、どっちやろう。
ずっと、そう思ってた。
駆け引きも、ペースも、全部保乃ちゃんに握られてる気がして、私はいつも翻弄されてばかりだった。
でも——
「今日、うち来て」
不意にそう言われたとき、私は気づいた。
保乃ちゃんも、きっと私に夢中になってくれてる。
不安になるくらい、揺れるくらい、私のことを見てくれてる。
それが嬉しくて、泣きそうになった。
——ああ、もう。
分かった。
転がされてるとか、転がしてるとか、そんなのほんとはどっちでもいい。
大事なのは、こうして手のひらを重ねて、ふたりで笑いあえる時間があるってこと。
今日は、保乃ちゃんの隣で眠る。
不器用なふたりが、少しずつ素直になっていけたらいい。
すぐじゃなくてもいい、ゆっくりでいい。
だってわたしは、保乃ちゃんのことが本当に、大好きやから。
——明日も、明後日も、ずっと隣にいてくれますように。
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