🎐🦉- 知恵の輪
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自分でも、どうにかしなきゃとは思っていた。
あのそこさくの収録以来、かりんちゃんとの距離感がまるでわからなくなってしまって。
恋愛なんてしたことがない私に、どう振る舞えばいいかなんて分かるはずもなくて――気づけば、避けるという一番不器用な手段しか選べていなかった。
今日も、また逃げた。
自分から距離を取っておいて、かりんちゃんのことばかりが気になるなんて、我ながら勝手すぎると思う。
なぎちゃんの話に相槌を打ちながらも、視線はつい横に逸れて、かりんちゃんの方を探してしまっていた。
そのときだった。
かりんちゃんが玲ちゃんの手を引いて、ふたりで部屋の外に出ていったのが目に入った。
あ、終わったなって思った。
私がいつまでもうじうじしてる間に、かりんちゃんは玲ちゃんの方を見ていたんだって、そう気付いた。
あんな必死な顔をしたかりんちゃん、ステージの上以外で見たことがなかった。
その顔を、あの場所で見せてもらえてる玲ちゃんが、羨ましかった。
今から告白するのかな、とか。
そんな確証もないのに、頭の中ではもうぐるぐると“最悪の展開”ばかりが膨らんでいった。
どうしても平常心でなんていられなくて、堪えきれずに、なぎちゃんに「ごめん」と小さく言って、その場を離れた。
向かった先はトイレ。何度深呼吸をしても、気持ちは収まらなかった。
どれくらい経ったのか分からない。
ふいに、トイレのドアがコンコンと控えめにノックされた。
マネージャーさんが仕事の呼び出しかなと思って、慌てて返事をする。
「すみません!すぐ出ます!」
けれど、返ってきたのは思いがけない声だった。
「まりのーん!」
玲ちゃんの声だった。
正直、一瞬だけ「来ないで」って思ってしまった。かりんちゃんからの好きを貰った玲ちゃんをどうしようもなく羨ましいと、そしてずるいと思わずにはいられなかった。
優しくて大好きな、お姉ちゃんみたいな存在の玲ちゃんを、そう思ってしまった自分が、また嫌いになった。
「出てこなくてもいいんだけどさー、かりんちゃんが」
やめて。聞きたくない。
自分から逃げていたはずなのに、かりんちゃんが誰かのものになるのは受け入れがたかった。
「まりのんに避けられてるって、悲しんでたよぉ」
「……え?」
予想外の言葉だった。
かりんちゃんが――私の態度に気づいていた?
自然に、誰にもバレないようにスッと距離を取っていたつもりだったのに。
「まりのんが考えてることはなんとなくわかるけどさ、逃げてばっかりいたら、叶う恋も叶わないんじゃない?」
「そんなこと、言われても……」
「ねぇ?まりのん?」
「まって、なんで、私がかりんちゃんのこと……」
「わかるよぉ、まりのんすぐ顔赤くなるし」
「……かりんちゃんにも、バレてるんやろか」
「ううん、バレてないと思うよぉ。かりんちゃん鈍感だもん。」
その言葉を聞いて、少しホッとした。
でも、同時に、ちょっとだけ残念だと思った自分がいて――まだ私は、かりんちゃんのことを全然諦められていないんだと実感した。
「はやく気持ち伝えないと、しーとか、3期生に取られちゃうよ?」
「……なんか今日の玲ちゃん、意地悪やな」
「へへへっ。でも、わたしはまりのんのこと、応援してるんだよぉ。今度、ふたりで遊びに行ったら?」
「む、無理無理無理。そんなん、できひんって……」
「へへっ、そうだよねぇ。じゃあ今度、さりげなくふたりきりにしてあげる」
いつもの私なら、きっとすぐに「無理」って言って終わってた。
だけど今日の私は、どうしてなのか、少しだけ――いや、ほんの少しだけ勇気がある日だったみたい。
気づけば、小さな声で「……おねがい」って、言ってしまっていた。
「ええ〜〜!まりのん、かわいい〜!絶対断られると思った〜!本気なんだねぇ、かりんちゃんのこと」
「……やっぱり、いい」
「ごめんって、わたしに任せてよ。」
玲ちゃんは、やっぱり優しい。
玲ちゃんのそのあたたかさに、ちょっとだけ背中を押されて、少しだけ前を向けた気がした。
「……ありがとう」
そう口にした瞬間、胸の奥がじんわりとあたたかくなった。
この恋が、動き出す。
そんな、淡くて静かな予感が、心の中に灯っていた。
あのそこさくの収録以来、かりんちゃんとの距離感がまるでわからなくなってしまって。
恋愛なんてしたことがない私に、どう振る舞えばいいかなんて分かるはずもなくて――気づけば、避けるという一番不器用な手段しか選べていなかった。
今日も、また逃げた。
自分から距離を取っておいて、かりんちゃんのことばかりが気になるなんて、我ながら勝手すぎると思う。
なぎちゃんの話に相槌を打ちながらも、視線はつい横に逸れて、かりんちゃんの方を探してしまっていた。
そのときだった。
かりんちゃんが玲ちゃんの手を引いて、ふたりで部屋の外に出ていったのが目に入った。
あ、終わったなって思った。
私がいつまでもうじうじしてる間に、かりんちゃんは玲ちゃんの方を見ていたんだって、そう気付いた。
あんな必死な顔をしたかりんちゃん、ステージの上以外で見たことがなかった。
その顔を、あの場所で見せてもらえてる玲ちゃんが、羨ましかった。
今から告白するのかな、とか。
そんな確証もないのに、頭の中ではもうぐるぐると“最悪の展開”ばかりが膨らんでいった。
どうしても平常心でなんていられなくて、堪えきれずに、なぎちゃんに「ごめん」と小さく言って、その場を離れた。
向かった先はトイレ。何度深呼吸をしても、気持ちは収まらなかった。
どれくらい経ったのか分からない。
ふいに、トイレのドアがコンコンと控えめにノックされた。
マネージャーさんが仕事の呼び出しかなと思って、慌てて返事をする。
「すみません!すぐ出ます!」
けれど、返ってきたのは思いがけない声だった。
「まりのーん!」
玲ちゃんの声だった。
正直、一瞬だけ「来ないで」って思ってしまった。かりんちゃんからの好きを貰った玲ちゃんをどうしようもなく羨ましいと、そしてずるいと思わずにはいられなかった。
優しくて大好きな、お姉ちゃんみたいな存在の玲ちゃんを、そう思ってしまった自分が、また嫌いになった。
「出てこなくてもいいんだけどさー、かりんちゃんが」
やめて。聞きたくない。
自分から逃げていたはずなのに、かりんちゃんが誰かのものになるのは受け入れがたかった。
「まりのんに避けられてるって、悲しんでたよぉ」
「……え?」
予想外の言葉だった。
かりんちゃんが――私の態度に気づいていた?
自然に、誰にもバレないようにスッと距離を取っていたつもりだったのに。
「まりのんが考えてることはなんとなくわかるけどさ、逃げてばっかりいたら、叶う恋も叶わないんじゃない?」
「そんなこと、言われても……」
「ねぇ?まりのん?」
「まって、なんで、私がかりんちゃんのこと……」
「わかるよぉ、まりのんすぐ顔赤くなるし」
「……かりんちゃんにも、バレてるんやろか」
「ううん、バレてないと思うよぉ。かりんちゃん鈍感だもん。」
その言葉を聞いて、少しホッとした。
でも、同時に、ちょっとだけ残念だと思った自分がいて――まだ私は、かりんちゃんのことを全然諦められていないんだと実感した。
「はやく気持ち伝えないと、しーとか、3期生に取られちゃうよ?」
「……なんか今日の玲ちゃん、意地悪やな」
「へへへっ。でも、わたしはまりのんのこと、応援してるんだよぉ。今度、ふたりで遊びに行ったら?」
「む、無理無理無理。そんなん、できひんって……」
「へへっ、そうだよねぇ。じゃあ今度、さりげなくふたりきりにしてあげる」
いつもの私なら、きっとすぐに「無理」って言って終わってた。
だけど今日の私は、どうしてなのか、少しだけ――いや、ほんの少しだけ勇気がある日だったみたい。
気づけば、小さな声で「……おねがい」って、言ってしまっていた。
「ええ〜〜!まりのん、かわいい〜!絶対断られると思った〜!本気なんだねぇ、かりんちゃんのこと」
「……やっぱり、いい」
「ごめんって、わたしに任せてよ。」
玲ちゃんは、やっぱり優しい。
玲ちゃんのそのあたたかさに、ちょっとだけ背中を押されて、少しだけ前を向けた気がした。
「……ありがとう」
そう口にした瞬間、胸の奥がじんわりとあたたかくなった。
この恋が、動き出す。
そんな、淡くて静かな予感が、心の中に灯っていた。