🎐🦉- 知恵の輪
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人間知恵の輪。
その名のとおり、ぐるぐると絡まった人の輪を、声を掛け合いながらほどいていく、あの企画。
この日は2期3期だけで撮る最後の収録ということもあって笑いが起きたり、戸惑いの声が飛んだり、和気あいあいとした空気がスタジオを包んでいた。
でも――私はその輪の中で、まったく違う感情に包まれていた。
わたしは山下ちゃんと遠藤ちゃんと手を繋ぐ。少し離れた位置は、私がいちばん大切に思っている、あの子がいた。
彼女と私は、まるで磁石のように距離を取られてしまった配置。わたしに近くに行く勇気も行動力もないのだから当然だ。
直接目を合わせることもできず、間に何人もの子たちがいた。だけど、視界の隅にはっきりと見える、まりのちゃんの姿。
彼女は隣にいる石森ちゃんと小島ちゃんと、自然な笑顔で会話をしていた。
よく一緒にいる3期生の子たち。
仲がいいことは知っていたし、微笑ましいとも思った。けれど、それでもどこか、胸の奥がじんわりと痛んだ。どうして私は、そこにいないんだろう。
もし、あのとき勇気を出していたら、そんなタイミングは何度もあった。まりのちゃんの隣に立つ勇気が、私にあったなら。
今、あの子と笑い合っているのは、私だったんじゃないか――。
そんなふうに考えてしまう自分が、少しだけ嫌だった。
まりのちゃんが楽しそうにしているだけで幸せなはずなのに、それなのに、私はどうしてこんなにも彼女の隣を羨ましく思ってしまうんだろう。
心の中で何度も問いかけては、答えの出ない感情を抱えたまま、ぐるぐると知恵の輪の輪が回っていく。
MCのおふたりが盛り上げる声が飛んで、メンバーの位置が少しずつシャッフルされていく。
その瞬間――ふわりと、空気が変わった。
懐かしくて、優しくて、胸の奥に残る香り。 私の知っている、誰よりも大好きな香り。
「……まりのちゃん」
名前を呼びそうになるのを、なんとか飲み込む。 私の真後ろ。身体が触れるほどの距離に、彼女がいた。
一気に心拍が跳ね上がるのがわかる。 胸の奥からドクンと音を立てて、鼓動が全身に広がっていく。
こんなにも簡単に動揺してしまう自分が、少し情けない。でも、同時に、どうしようもなくうれしかった。
まりのちゃんが、こんなに近くにいる。
声をかければ、すぐにでも反応してくれる距離。
だけど私は――何も言えない。
ただ私の背中に触れるまりのちゃんの温もりが愛おしくて、せめて、この心臓の音だけは聞こえませんように、と、祈ることしかできなかった。
私の想いが、香りと一緒に空気に溶けて、彼女に届いてしまわないように。
この震えるようなときめきを、彼女に知られてしまわないように。
それでも、心は彼女に向かって好きを叫び続けていた。
その名のとおり、ぐるぐると絡まった人の輪を、声を掛け合いながらほどいていく、あの企画。
この日は2期3期だけで撮る最後の収録ということもあって笑いが起きたり、戸惑いの声が飛んだり、和気あいあいとした空気がスタジオを包んでいた。
でも――私はその輪の中で、まったく違う感情に包まれていた。
わたしは山下ちゃんと遠藤ちゃんと手を繋ぐ。少し離れた位置は、私がいちばん大切に思っている、あの子がいた。
彼女と私は、まるで磁石のように距離を取られてしまった配置。わたしに近くに行く勇気も行動力もないのだから当然だ。
直接目を合わせることもできず、間に何人もの子たちがいた。だけど、視界の隅にはっきりと見える、まりのちゃんの姿。
彼女は隣にいる石森ちゃんと小島ちゃんと、自然な笑顔で会話をしていた。
よく一緒にいる3期生の子たち。
仲がいいことは知っていたし、微笑ましいとも思った。けれど、それでもどこか、胸の奥がじんわりと痛んだ。どうして私は、そこにいないんだろう。
もし、あのとき勇気を出していたら、そんなタイミングは何度もあった。まりのちゃんの隣に立つ勇気が、私にあったなら。
今、あの子と笑い合っているのは、私だったんじゃないか――。
そんなふうに考えてしまう自分が、少しだけ嫌だった。
まりのちゃんが楽しそうにしているだけで幸せなはずなのに、それなのに、私はどうしてこんなにも彼女の隣を羨ましく思ってしまうんだろう。
心の中で何度も問いかけては、答えの出ない感情を抱えたまま、ぐるぐると知恵の輪の輪が回っていく。
MCのおふたりが盛り上げる声が飛んで、メンバーの位置が少しずつシャッフルされていく。
その瞬間――ふわりと、空気が変わった。
懐かしくて、優しくて、胸の奥に残る香り。 私の知っている、誰よりも大好きな香り。
「……まりのちゃん」
名前を呼びそうになるのを、なんとか飲み込む。 私の真後ろ。身体が触れるほどの距離に、彼女がいた。
一気に心拍が跳ね上がるのがわかる。 胸の奥からドクンと音を立てて、鼓動が全身に広がっていく。
こんなにも簡単に動揺してしまう自分が、少し情けない。でも、同時に、どうしようもなくうれしかった。
まりのちゃんが、こんなに近くにいる。
声をかければ、すぐにでも反応してくれる距離。
だけど私は――何も言えない。
ただ私の背中に触れるまりのちゃんの温もりが愛おしくて、せめて、この心臓の音だけは聞こえませんように、と、祈ることしかできなかった。
私の想いが、香りと一緒に空気に溶けて、彼女に届いてしまわないように。
この震えるようなときめきを、彼女に知られてしまわないように。
それでも、心は彼女に向かって好きを叫び続けていた。
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