Op.2私の恋愛事情
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「りよの卒業と帰国と就職に、カンパーイ!」
「乾杯!」
「ありがとー」
高校に行った次の日、由美と美和子に誘われ飲み屋に来ていた。
由美は大学時代に秀吉さんからの紹介で知り合い、その繋がりで美和子とも意気投合した。
今では本音で語り合える良き友達で、『Rei』が私ということを知る数少ない人物だ。
「いやー、世界の天使様が教師ねぇ」
「天使って…………。今黒髪だし」
相変わらず由美は私の異名をからかってくる。
「油断してっと、危ないぞ。腹を空かせた狼の中に天使が送り込まれてみーよ」
「確かに。りよ、普通にしてれば可愛いからね」
「普通って何よ。いつも普通」
美和子の発言に反論する。
「よく言うわよ。この前日本に帰って来た時、私達が部屋に行かなかったらどうしてたの?」
「あん時は酷かったよねー。連絡取れなくて心配して行ったらさ、りよ、暗い部屋で魂抜けて座ってんだもん。お化けかと思った」
思いあたる節がありギクッとする。
「放心状態のあんたを、美和子と担いで風呂に突っ込んでさぁ」
「そうそう。ご飯作って食べさせてあげて、散乱した楽譜整理してね。大変だったのよ?」
あったあった。そんな時もあった。
あれは確か、学校の課題曲の練習していた時だ。
暗く重い響きの音が出せず、丸2日食事も睡眠も忘れピアノを弾き続けた結果、私が暗く重い塊になりかけたのだ。
「あはは……。あの時はありがとう……」
ごまかすように笑う私を見て、2人は少し呆れている。
「それでー、あれはどうなのよ。あれ!」
「あれ?」
由美がおつまみを食べながら聞いてきた。
目がいつにも増して輝いている。
「男よ。お、と、こ!」
「あぁ。いないよ」
「えっ、まだいないの!?その顔で!?ピアニストなら資産家とか金持ちとの出会いもありそうじゃん!」
いつもの由美の恋愛トークだ。
予想外の答えだったのか声のボリュームが大きくなった。
「りよはお金には無頓着そうよね」
「うん。稼ぎはどうでもいいかな」
「じゃあ何?やっぱり顔で選んじゃう感じ?」
「いや、顔だけ良くてもね……」
そもそもお金とか顔とか以前の問題で、私が結婚したいくらい好きなのはあの人だけだ。