名前変換があったりなかったり
綻びと明日
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ミッドガル郊外で発見された地下古代遺跡。
遺跡調査とモンスターの駆除が、俺たちに課せられた任務だった。
ところどころ壁に埋められた結晶が仄かに光って、光の届かぬ地下といえど視界はある程度確保されていた。
最深部と思わしき広間で大型モンスターを難なく倒し、一息つく。
ソルジャー1stの俺とセフィロスのコンビなら、いつも通り簡単にクリアできる任務だとたかを括っていた。
「図体がでかいだけで大したことなかったな」
「ああ──」
セフィロスが消滅していくモンスターの奥に視線をやる。
ただの広間かと思えば奥にまだ部屋があったらしい。
「さっさと調査終わらせて帰ろうぜ。シャワー浴びたい」
「おい、油断するな」
「大丈夫だって」
セフィロスの諌める声を横目に奥の部屋の扉を押す。石造りの少し重たい扉を開くと中央に祀られるようにマテリアが鎮座していた。
部屋自体はそこまで広くない。祭壇と思しきそれに近付いて、マテリアを手に取る。
その色は赤とも青とも取れず、妖しく光りながら俺の手に静かに収まった。
ぽん、と軽く宙に投げてキャッチする。
「マテリア回収完了ー。帰ろうぜー」
部屋の入り口に遅れてきたセフィロスに声をかける。
その瞬間、セフィロスが目を見開いた。一歩、無言で前に踏み出す──
「──〇〇、それを離せ」
「あ?」
手に持っていたマテリアが仄かに熱を持ち始める。
咄嗟にそれを放したが、それは宙に浮いたかと思えば視界を奪うほどに眩く光り、一直線に俺を刺した。
大した衝撃ではなかったが、身体が急激に熱くなって膝をつく。
ぐらりと視界が歪んで、セフィロスの焦った顔を最後に暗転した。
──それから何時間経ったのか。
うっすらと瞼を開くと、ぼやけた天井が見えた。照明が光っていて、強い光でもないのに妙に眩しくて頭の奥が痛んだ。
「……どこだ、ここ」
やけに体が怠くて、目線だけを移動させる。
腕に取り付けられた神羅マークの入った点滴が目に入って、ここが神羅の医務室であると認識する。
とりあえずの命の保証はされているらしいと息を深く吐いた。
「油断するな」とセフィロスの言葉を思い出して苦笑いする。
──セフィロスに怒られるな、これは。
そう思った矢先に医務室の扉が開かれた。
「目が覚めたのか」
「ん」
部屋に入るや否や目が合った相棒に軽く手を上げて元気なことを示す。
言い訳を考えながら体を起こすと、セフィロスはベッドの隣に置かれていたパイプ椅子に腰を下ろした。
顰めっ面で俺を見つめるもんだから、気まずさに正面の壁を見つめる。
「あー……俺、どんくらい寝てた?」
「……丸三日だな」
「思ったより経ってない、な……」
はて、と自分の喉に手を触れる。何か自分の声に違和感があった。だが、何が違うのかわからない。
「なあ。俺、声変じゃないか?寝起きだからか?」
「…………いや。……変では、ない」
「そうか?でもなんか……」
喉をさすりながら、歯切れの悪いセフィロスを訝しげに見る。
さら、と自分の髪が頬にかかる。
「あ?俺、髪いつの間にこんなに伸びた?」
「…………」
セフィロスとまではいかずとも、肩より少し長く伸びている髪を一束掬って落とす。
体の前側に落ちた毛先を目で追って、明確な自分の身体の変化にやっと気が付き始めた。
「…………は?」
胸が、膨らんでいた。
病院着の薄い布越しに、恐る恐るその膨らみに手を置く。柔らかな、しかし確かにそこに存在している感触に血の気が引いていく。
もう一度喉を触って気付く。喉仏がないのだ。
「セフィロス、」
いつもより高い声で相棒の名前を呼ぶ。
相棒は目を伏せ、慎重に言葉を選んでくれているらしくゆっくりと話し始めた。
「──マテリアによる身体変化の一種だ。恐らくセトラの──一族繁栄のための機構、というのが研究チームの見解だ」
「一族、繁栄」
頭痛がする。絶滅しかけの一族が遺した、奇妙なマテリアの効果が、一族の繁栄のための機構だと?
つまり、なんだ。この身体の変化は──
「女に、なったのか」
「……外見的には。性別を反転させるマテリアだと思われる」
「ふざけんな!」
自分でも驚くほど大きな声が出て、少し息が詰まる。
セフィロスに八つ当たりしても仕方がない、と自分に言い聞かせて首を振る。
「……いや、悪い。そんなことより。戻れる、のか?」
「……あの後、マテリアはすぐに砕けた。……──」
眉間に皺を寄せ、それ以上何も言わなくなったセフィロスが何よりも事実を語っていた。
まじか、と掠れた声が静かな病室に響いた。
遺跡調査とモンスターの駆除が、俺たちに課せられた任務だった。
ところどころ壁に埋められた結晶が仄かに光って、光の届かぬ地下といえど視界はある程度確保されていた。
最深部と思わしき広間で大型モンスターを難なく倒し、一息つく。
ソルジャー1stの俺とセフィロスのコンビなら、いつも通り簡単にクリアできる任務だとたかを括っていた。
「図体がでかいだけで大したことなかったな」
「ああ──」
セフィロスが消滅していくモンスターの奥に視線をやる。
ただの広間かと思えば奥にまだ部屋があったらしい。
「さっさと調査終わらせて帰ろうぜ。シャワー浴びたい」
「おい、油断するな」
「大丈夫だって」
セフィロスの諌める声を横目に奥の部屋の扉を押す。石造りの少し重たい扉を開くと中央に祀られるようにマテリアが鎮座していた。
部屋自体はそこまで広くない。祭壇と思しきそれに近付いて、マテリアを手に取る。
その色は赤とも青とも取れず、妖しく光りながら俺の手に静かに収まった。
ぽん、と軽く宙に投げてキャッチする。
「マテリア回収完了ー。帰ろうぜー」
部屋の入り口に遅れてきたセフィロスに声をかける。
その瞬間、セフィロスが目を見開いた。一歩、無言で前に踏み出す──
「──〇〇、それを離せ」
「あ?」
手に持っていたマテリアが仄かに熱を持ち始める。
咄嗟にそれを放したが、それは宙に浮いたかと思えば視界を奪うほどに眩く光り、一直線に俺を刺した。
大した衝撃ではなかったが、身体が急激に熱くなって膝をつく。
ぐらりと視界が歪んで、セフィロスの焦った顔を最後に暗転した。
──それから何時間経ったのか。
うっすらと瞼を開くと、ぼやけた天井が見えた。照明が光っていて、強い光でもないのに妙に眩しくて頭の奥が痛んだ。
「……どこだ、ここ」
やけに体が怠くて、目線だけを移動させる。
腕に取り付けられた神羅マークの入った点滴が目に入って、ここが神羅の医務室であると認識する。
とりあえずの命の保証はされているらしいと息を深く吐いた。
「油断するな」とセフィロスの言葉を思い出して苦笑いする。
──セフィロスに怒られるな、これは。
そう思った矢先に医務室の扉が開かれた。
「目が覚めたのか」
「ん」
部屋に入るや否や目が合った相棒に軽く手を上げて元気なことを示す。
言い訳を考えながら体を起こすと、セフィロスはベッドの隣に置かれていたパイプ椅子に腰を下ろした。
顰めっ面で俺を見つめるもんだから、気まずさに正面の壁を見つめる。
「あー……俺、どんくらい寝てた?」
「……丸三日だな」
「思ったより経ってない、な……」
はて、と自分の喉に手を触れる。何か自分の声に違和感があった。だが、何が違うのかわからない。
「なあ。俺、声変じゃないか?寝起きだからか?」
「…………いや。……変では、ない」
「そうか?でもなんか……」
喉をさすりながら、歯切れの悪いセフィロスを訝しげに見る。
さら、と自分の髪が頬にかかる。
「あ?俺、髪いつの間にこんなに伸びた?」
「…………」
セフィロスとまではいかずとも、肩より少し長く伸びている髪を一束掬って落とす。
体の前側に落ちた毛先を目で追って、明確な自分の身体の変化にやっと気が付き始めた。
「…………は?」
胸が、膨らんでいた。
病院着の薄い布越しに、恐る恐るその膨らみに手を置く。柔らかな、しかし確かにそこに存在している感触に血の気が引いていく。
もう一度喉を触って気付く。喉仏がないのだ。
「セフィロス、」
いつもより高い声で相棒の名前を呼ぶ。
相棒は目を伏せ、慎重に言葉を選んでくれているらしくゆっくりと話し始めた。
「──マテリアによる身体変化の一種だ。恐らくセトラの──一族繁栄のための機構、というのが研究チームの見解だ」
「一族、繁栄」
頭痛がする。絶滅しかけの一族が遺した、奇妙なマテリアの効果が、一族の繁栄のための機構だと?
つまり、なんだ。この身体の変化は──
「女に、なったのか」
「……外見的には。性別を反転させるマテリアだと思われる」
「ふざけんな!」
自分でも驚くほど大きな声が出て、少し息が詰まる。
セフィロスに八つ当たりしても仕方がない、と自分に言い聞かせて首を振る。
「……いや、悪い。そんなことより。戻れる、のか?」
「……あの後、マテリアはすぐに砕けた。……──」
眉間に皺を寄せ、それ以上何も言わなくなったセフィロスが何よりも事実を語っていた。
まじか、と掠れた声が静かな病室に響いた。
1/1ページ