◆ 塔尋
雪
書類の束を持ったのと反対の手でノックを5回、寮長室の鍵が開く。
「失礼します」
扉を開けると、バルコニーにいる彼の背中が見えた。こちらをチラとも見ずに煙草を吸っている。
「先日の件をご報告に……おや、随分と賑やかですね」
彼の隣に並ぶと、外で聞き覚えのある声が聞こえた。2年生2人と特待生だ。どうやら雪で遊んでいるようだった。エラントラくんが大きな雪玉を転がし、歩二くんが雪だるまに顔をつけている。特待生さんは別の雪玉に小さい雪玉を重ねていた。3人ともまるではじめて雪を見た子どものようにはしゃいでいる。
「寮長も混ざられては?」
「……」
彼はぼうっと下級生たちの様子を眺めながら、煙草の煙をふぅっと吐き出した。彼が肯定するはずもないので特に気にせず、報告を始める。あらかた説明を終えたところで彼が、不意に呟いた。
「……あいつら何個作る気だ?」
「せっかくですからあとで見に行きましょう」
「くだらねぇ」
再び煙草に口をつけた彼を眺めながら、きっと必要になる彼の手袋の場所を頭の中で思い浮かべることにした。
書類の束を持ったのと反対の手でノックを5回、寮長室の鍵が開く。
「失礼します」
扉を開けると、バルコニーにいる彼の背中が見えた。こちらをチラとも見ずに煙草を吸っている。
「先日の件をご報告に……おや、随分と賑やかですね」
彼の隣に並ぶと、外で聞き覚えのある声が聞こえた。2年生2人と特待生だ。どうやら雪で遊んでいるようだった。エラントラくんが大きな雪玉を転がし、歩二くんが雪だるまに顔をつけている。特待生さんは別の雪玉に小さい雪玉を重ねていた。3人ともまるではじめて雪を見た子どものようにはしゃいでいる。
「寮長も混ざられては?」
「……」
彼はぼうっと下級生たちの様子を眺めながら、煙草の煙をふぅっと吐き出した。彼が肯定するはずもないので特に気にせず、報告を始める。あらかた説明を終えたところで彼が、不意に呟いた。
「……あいつら何個作る気だ?」
「せっかくですからあとで見に行きましょう」
「くだらねぇ」
再び煙草に口をつけた彼を眺めながら、きっと必要になる彼の手袋の場所を頭の中で思い浮かべることにした。