◆ 塔尋

ハロウィン




「…………」
先ほどから不機嫌そうにこちらを睨んでいる彼の視線を感じながら、床に散らばっている服を拾い集める。こういった雑務は最近はもっぱら特待生さんに頼んでいるようだったが、今日は久しぶりにこちらに白羽の矢が立った。
「……てめぇ、ガキどもをけしかけただろ」
「おや、何のことでしょう」
「しらばっくれやがって。ここにカゴ持ってぞろぞろ来やがったぞ」
「一般寮生にもお声がけした方がよろしかったでしょうか」
「ふざけんな」
わざとらしく困ったような顔をしてみせれば、ソファに座ったまま彼はため息をついて、煙草の箱を取り出した。
「煙草ばかりではお体に障りますよ」
「どの口が言うんだよ」
「私は嗜む程度ですよ。寮長と違って」
少しからかってやると、彼はイライラとした様子で煙草に火をつけた。拾い集めた服を傍らに置いて、ソファへと近づく。
「特待生さんのコスプレ姿はいかがでした?」
「そういうことを言ってるんじゃねぇ」
不意に、いたずらを思いついた子供のように笑った彼が、煙草を咥えたまま顔を近づけてくる。
「トリックオアトリート」
「おやおや、困りましたね」
勝ち誇ったような顔をする彼に、負けましたという顔をして見せながら、口元の煙草を奪い取る。代わりに隠し持っていたココアシガレットを咥えさせると、彼は苦々しそうに菓子を噛んだ。奪った煙草に口をつけると、格別な味がした。





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