◆ 塔尋

ポッキーゲーム



ノックの音を響かせ、挨拶をしながら寮長室の扉を開けた。部屋の主はいつものようにソファに寝転んで煙草を咥えている。部屋に足を踏み入れたこちらに視線すら寄越さないのもいつものことだ。ソファに歩み寄ると、彼はゆっくりと煙草の煙を吐き出した。そっとその手から煙草を奪いとると、彼は一瞬意外そうな顔をしてから眉を顰める。
「なにしやがる」
「今日は11日です」
「あ?」
煙草を灰皿に押し付けてから、不機嫌そうな顔に向けて、隠し持っていた菓子の箱を見せる。銀色の袋を開いて棒状の菓子を差し出すが、不機嫌そうな顔は微動だにしなかった。
「知りませんか?庶民の間でこの日にだけ行われる伝統的な戯れですよ」
適当に説明しながらわざとらしくニッコリと微笑むと、何ごとか言いたげに開いた彼の唇に菓子を差し込んだ。彼は菓子を咥えたまま、不可解そうに呟く。
「くだらねぇ……」
咎めはせず冷めた目で菓子を咥えたまま、こちらの行動を待つ彼の姿はなかなか面白い。緩む口元を隠さずに、ソファに乗り上げ、彼に覆いかぶさるようにして菓子の反対側に唇を近づけた。







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