その他トレーナー夢短編
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ヒオウギシティからサンギ牧場に戻ると、なんだか普段と違う空気に胸がざわついた。急いでオーナー夫婦のもとへ駆けつけると、いつもは二匹一緒にぴったりとくっついているハーデリアが、一匹しか見当たらない。「もう一匹のハーデリアはどこへ行ったんですか?」そう尋ねると、オーナーは呑気に答えた。「それがねえ、どこへ行ったか分からないんだよ。こんなことは初めてだから、ちょっと心配なんだなあ」奥さんも「そうねえ。勝手にいなくなるだなんて、ちょっと変よね」と首を傾げる。二人は慌てる様子を見せなかったが、それでもやはり心配なようだった。「今ね、二人の少年がハーデリアを探しに行ってくれているんだ。きっと牧場のどこかで遊んでるだけだと思うけど」「わたしも見に行ってきます!」わたしは急いで牧場の方へと向かった。
「ハーデリア!」大きな声で呼びかけながら、牧場を隅々まで見て回る。しかし、辺り一帯はすでに闇夜に包まれていて、捜索は困難を極めている。せめて呼びかけに答えてくれればいいのだが……。わたしは一か八かでハーデリアの名前を呼び続けた。すると、遠くからハーデリアらしきポケモンの鳴き声が聞こえた。わたしは耳を澄ませ、声のする方角を特定する。大方の位置が分かったところで、すぐにその方向へ足を向かわせた。走っているうちにだんだんと息が上がってくる。少しペースを落とそうかと思ったその時、暗がりにハーデリアと二人の少年の姿が見えた。ハーデリアがわたしの気配を敏感に察知し、尻尾を振って嬉しそうに駆け寄ってくる。「良かった!心配したんだよ」わたしは腰を落としてハーデリアの頭を「よしよし」と撫でた。
「アンタ、牧場のオーナーの知り合いか?」わたしたちの様子を見ていたつり目の少年が尋ねた。「ええ、この牧場でお手伝いさせてもらってるの。ミズキって言います」わたしが自ら名前を名乗ると、その少年は「オレはヒュウ、こっちはキョウヘイ」と、隣のサンバイザーの少年の名前も合わせて教えてくれた。それからヒュウくんはオーナーを呼びに戻り、残された二人と一匹はひとまずその場で待機することになった。「キョウヘイくんは、ポケモントレーナーなの?」と、わたしは何の気なしに聞いてみた。「そうです、自分もヒュウも」キョウヘイくんは答えた。話を聞けば、二人はつい最近トレーナーになったばかりで、アララギ研究所から初心者用のポケモンとポケモン図鑑をもらって旅をしているらしい。ジムバッジを集めているとのことで、もしやと思って尋ねてみると、案の定今朝のヒオウギジムの挑戦者はキョウヘイくんとヒュウくんだった。「あのチェレンくんに勝つだなんて、二人ともすごいなあ」わたしは素直に感心した。
ーーとそこで、それまで寛いだ様子だったハーデリアが突然何か危険を察知したように威嚇態勢になり、暗闇に向かって激しく吠えだした。「ーーくっ、バレたか!」取り乱した声とともに茂みから姿を現したのは、黒装束の男。見慣れない格好だったが、その胸元のエンブレムはわたしがよく見知ったものだった。わたしは自分の目を疑った。ーーまさか、噂は本当だったのか……!
「ハーデリアを追いかけてこんなところに迷いこんじまったうえに、人に見つかっちまうだなんて……ついてねえ!」男は舌打ちし、そして続けた。「オレはな、二年前にポケモンを解放するためイッシュを支配しようと試みた正義の集団、泣く子も黙るプラズマ団のメンバーだぞ!」
男は毛を逆立てて警戒するハーデリアからじりじりと距離を取りつつ、逃げるタイミングを模索している。わたしはハーデリアを宥めるように、そっとその背中を撫でた。ハーデリアが僅かに警戒を解いた隙に、男は何かをキョウヘイくんに投げつけて一目散にその場から逃げ去った。「キョウヘイくん、大丈夫?」キョウヘイくんは痛がる様子もなく「平気です」と答え、男が投げつけたその物体をしげしげと眺めた。聞くと、物体の正体はわざマシンだったらしい。万事休すとはいえ、わざマシンを投げつけて逃げるとは。
とそこへ、ようやくヒュウくんがオーナーを連れて戻ってきた。「おお、ハーデリア!こんな奥まで来ちゃって、何があったんだい?」オーナーがいとおしそうにハーデリアに抱きつく。ハーデリアも嬉しそうに鳴き声を上げた。「良かった良かった。何はともあれ、きみたちには感謝だよ!ありがとうね」のんびりとした口調で感謝を述べるオーナーに、ヒュウくんは「呑気だな!」と苛立たしげに言った。「もしかしたらホントにポケモンがいなくなってたかもしれないんだぞ!もっと大切にしろよな!」そう声を荒げて、ヒュウくんはその場から立ち去ってしまった。
「ふむう、彼は何があったのかなあ?ポケモンがいなくなることに怯えているような……」
ポケモンがいなくなる。それは二年前、イッシュ各地で発生した出来事だ。当時プラズマ団は「ポケモンを解放する」という大義名分を掲げ、活動の一部としてトレーナーからのポケモンの略奪を行っていた。もしや、ヒュウくんも過去にーー。
「それじゃ、自分もそろそろ行きます」ヒュウくんに続き、キョウヘイくんも次の目的地に向けてサンギ牧場を後にした。わたしもオーナーとハーデリアとともに牧場に戻ったが、あのプラズマ団を名乗る男との一件が気にかかり、その夜はなかなか寝つけなかった。二年前に解散したはずのプラズマ団が、最近密かに活動を再開しているーーそんな噂を耳にしたのは、つい先日のことだった。そんなことあり得ない、ただの噂にすぎないと思っていた矢先の出来事だったために、動揺を隠せなかった。わたしはこのまま見て見ぬふりをするべきか、それとも……。答えはすぐに出そうもなかった。ぐるぐると考えをめぐらせているうちに、いつの間にか眠りについていた。
「ハーデリア!」大きな声で呼びかけながら、牧場を隅々まで見て回る。しかし、辺り一帯はすでに闇夜に包まれていて、捜索は困難を極めている。せめて呼びかけに答えてくれればいいのだが……。わたしは一か八かでハーデリアの名前を呼び続けた。すると、遠くからハーデリアらしきポケモンの鳴き声が聞こえた。わたしは耳を澄ませ、声のする方角を特定する。大方の位置が分かったところで、すぐにその方向へ足を向かわせた。走っているうちにだんだんと息が上がってくる。少しペースを落とそうかと思ったその時、暗がりにハーデリアと二人の少年の姿が見えた。ハーデリアがわたしの気配を敏感に察知し、尻尾を振って嬉しそうに駆け寄ってくる。「良かった!心配したんだよ」わたしは腰を落としてハーデリアの頭を「よしよし」と撫でた。
「アンタ、牧場のオーナーの知り合いか?」わたしたちの様子を見ていたつり目の少年が尋ねた。「ええ、この牧場でお手伝いさせてもらってるの。ミズキって言います」わたしが自ら名前を名乗ると、その少年は「オレはヒュウ、こっちはキョウヘイ」と、隣のサンバイザーの少年の名前も合わせて教えてくれた。それからヒュウくんはオーナーを呼びに戻り、残された二人と一匹はひとまずその場で待機することになった。「キョウヘイくんは、ポケモントレーナーなの?」と、わたしは何の気なしに聞いてみた。「そうです、自分もヒュウも」キョウヘイくんは答えた。話を聞けば、二人はつい最近トレーナーになったばかりで、アララギ研究所から初心者用のポケモンとポケモン図鑑をもらって旅をしているらしい。ジムバッジを集めているとのことで、もしやと思って尋ねてみると、案の定今朝のヒオウギジムの挑戦者はキョウヘイくんとヒュウくんだった。「あのチェレンくんに勝つだなんて、二人ともすごいなあ」わたしは素直に感心した。
ーーとそこで、それまで寛いだ様子だったハーデリアが突然何か危険を察知したように威嚇態勢になり、暗闇に向かって激しく吠えだした。「ーーくっ、バレたか!」取り乱した声とともに茂みから姿を現したのは、黒装束の男。見慣れない格好だったが、その胸元のエンブレムはわたしがよく見知ったものだった。わたしは自分の目を疑った。ーーまさか、噂は本当だったのか……!
「ハーデリアを追いかけてこんなところに迷いこんじまったうえに、人に見つかっちまうだなんて……ついてねえ!」男は舌打ちし、そして続けた。「オレはな、二年前にポケモンを解放するためイッシュを支配しようと試みた正義の集団、泣く子も黙るプラズマ団のメンバーだぞ!」
男は毛を逆立てて警戒するハーデリアからじりじりと距離を取りつつ、逃げるタイミングを模索している。わたしはハーデリアを宥めるように、そっとその背中を撫でた。ハーデリアが僅かに警戒を解いた隙に、男は何かをキョウヘイくんに投げつけて一目散にその場から逃げ去った。「キョウヘイくん、大丈夫?」キョウヘイくんは痛がる様子もなく「平気です」と答え、男が投げつけたその物体をしげしげと眺めた。聞くと、物体の正体はわざマシンだったらしい。万事休すとはいえ、わざマシンを投げつけて逃げるとは。
とそこへ、ようやくヒュウくんがオーナーを連れて戻ってきた。「おお、ハーデリア!こんな奥まで来ちゃって、何があったんだい?」オーナーがいとおしそうにハーデリアに抱きつく。ハーデリアも嬉しそうに鳴き声を上げた。「良かった良かった。何はともあれ、きみたちには感謝だよ!ありがとうね」のんびりとした口調で感謝を述べるオーナーに、ヒュウくんは「呑気だな!」と苛立たしげに言った。「もしかしたらホントにポケモンがいなくなってたかもしれないんだぞ!もっと大切にしろよな!」そう声を荒げて、ヒュウくんはその場から立ち去ってしまった。
「ふむう、彼は何があったのかなあ?ポケモンがいなくなることに怯えているような……」
ポケモンがいなくなる。それは二年前、イッシュ各地で発生した出来事だ。当時プラズマ団は「ポケモンを解放する」という大義名分を掲げ、活動の一部としてトレーナーからのポケモンの略奪を行っていた。もしや、ヒュウくんも過去にーー。
「それじゃ、自分もそろそろ行きます」ヒュウくんに続き、キョウヘイくんも次の目的地に向けてサンギ牧場を後にした。わたしもオーナーとハーデリアとともに牧場に戻ったが、あのプラズマ団を名乗る男との一件が気にかかり、その夜はなかなか寝つけなかった。二年前に解散したはずのプラズマ団が、最近密かに活動を再開しているーーそんな噂を耳にしたのは、つい先日のことだった。そんなことあり得ない、ただの噂にすぎないと思っていた矢先の出来事だったために、動揺を隠せなかった。わたしはこのまま見て見ぬふりをするべきか、それとも……。答えはすぐに出そうもなかった。ぐるぐると考えをめぐらせているうちに、いつの間にか眠りについていた。
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