※現パロ


「うわっえ…な、え？」
「あ、起きた」
「うわ、かわいっ」

日曜日の朝。
日が随分高くなったのを感じながら惰眠を貪っていると顔に冷水が吹きかけられた。
予想外の出来事に目を開くと、サボテン用に使っている霧吹きを片手に佐一くんがニヤリと笑っていた。
差し込む日の光も相まって爽やか度がカンストしている彼の姿に、つい思ったことがそのまま口に出てしまった。

「何？可愛い？」
「いや…」

可愛いと言われて拗ねるところがまた可愛いのだけれど黙っておこう。

「てか水…」
「せっかく一緒に過ごせるのに、名前ちゃん全然起きないんだもん」
「あぁ…ごめん。じゃあ、起きようかな」
「あれ、ご、ごめん。もしかして体調悪かった？生理ではないよね？」

普通に寝起きが悪いだけなのだけれど、悪戯が過ぎたと思ったのか濡れた私の顔をタオルで拭きながらオロオロしだす佐一くん。
友達だという白石さんからは恐ろしい男だと聞いているけれど、少なくとも私の前での佐一くんは終始こんな感じでイマイチその評価を信じきれていない。

「いや、体調は大丈夫だけど…てか、え？」
「うん？」
「佐一くん、私の生理周期把握してるの？」
「当たり前でしょ！名前ちゃんに無理させないようにしないと」
「な、なるほど…」

ここまで気を配ってくれる男の人と会ったことがないから少し戸惑ってしまったけれど、普段から優しい佐一くんだからこそできることなのかもな。

「ありがとう…？」
「えーなにそれー照れるー」

大きな体をクネクネさせながら、嬉しそうな顔で照れている姿も可愛い。
これからはありがとうっていっぱい言おう。

「それにさ、赤ちゃん欲しいってなった時の為に、こういうこと俺も知ってた方がいいと思って」
「……………へぇー………」

デレデレしながら爆弾発言をするものだから一瞬思考停止してしまった。
断言するが私たちは子作りはおろか結婚の話さえしたことがない。
なんなら付き合い始めて1ヶ月も経っていない。
にも関わらず今思い返してみれば、彼は私の排卵日辺りのエッチにすごい気合と興奮を示していたような気がしてきた。
ゴムを欠かさずしてくれるのがせめてもの救いだ。
まぁ、力尽くで組み敷かれでもしたら、ゴムをしていようがしていまいが抵抗はできないんですけど。

「名前ちゃん？なんか食べるでしょ？」
「…うん」

私の頰を包む彼の大きな手の暖かさを感じながら「恐ろしい男」の片鱗をひしひしと感じる日曜日の午前11時。