刀剣乱舞
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「主のタイプって陸奥守でしょ」
「……………いや?」
「それ嘘つくときの間じゃん」
「唐突だったから思考停止しちゃった」
「じゃあ改めて聞くけどどうなの?」
「……………いや?」
「わざとやってる?」
「なんでそんなこと詰問されなきゃいけないの!我審神者ぞ!」
「うわ逆ギレ」
「大体タイプって具体的に何のタイプこと言ってんの」
「そりゃもちろん異性としてのタイプでしょ」
「付喪神様を?そんなのただの一度も…」
「あるじー、ちっくとええかえ?」
「うおわぁ!ごちそうさまです!着物はどうしたの!」
「お?おぉ…す、すまんかった…出直してくるぜよ」
と、ここまでが一連の流れ。
畑当番をしていた陸奥守が内番服を着崩し、上半身をさらけ出した状態で襖を開けただけでこの反応。
そして現在流れているこの重苦しい沈黙。
「『ごちそうさまです』って言ったよね?」
「空耳では?」
「いや、陸奥守も戸惑ってから間違いないね」
「やっぱり⁉引いてたよね⁉どうしよう、気持ち悪いとか思われてたら立ち直れないんだけど!」
「女の顔してんじゃねぇよ!」
華麗なまでの手のひら返しに思わず突っ込んでしまった。
にも関わらず「だってぇ…」と泣きそうな顔をしている目の前の主。
初期刀である俺が初めて彼女と出会った時は今よりもう少し威厳があったものだが、今となってはこの有様である。
「陸奥守はそういう細かいことあんま気にしないから大丈夫でしょ。覚えてもないんじゃない」
「そうだね、陸奥守はおおらかだから」
「大雑把の間違いでしょ」
「うん、陸奥守はおおらかだからね」
(コイツ…)
俺からのささやかな抵抗を意にも介さず、自分の機嫌だけ直すこの人の調子の良さが憎らしい。
もちろん、俺だって審神者たる彼女が本気で陸奥守に恋慕しているとは思っていない。
これはあくまでもタイプの話だ。
それでも、彼女のような少し神経質なところがある不安定な人間が、陽のオーラを醸し出し、ここぞという場面でしっかりとフォローができる聡明さを持つ陸奥守をタイプとして選ぶのは、あまりにしっくりきすぎて面白くない。
「まぁ、俺みたいな刀とはある意味正反対だよな」
「え?」
「ほら、俺はアンタと同じで神経質なところがあるから。同じ性質の人間同士は反発しやすいでしょ」
「…さっきからどうしたの?おかしな質問したりして」
「別に」
「本当は何が聞きたいの?言ってごらんよ」
「…」
俺は彼女の初期刀である。
でも、初期刀として選べる刀剣の中には陸奥守もいたのだ。
おおらかで、彼女の気質にあった「タイプ」の陸奥守吉行が。
どうして俺を初期刀として選んでくれたのか、本当はそれが聞きたいだけだったのだ。
にも関わらず彼女ときたら俺がカマをかけただけで簡単に引っかかるんだから、いじけたくもなる。
「ほらほら、今なら大サービス。何でも答えてあげちゃうよ」
「この間買ったちょっといいヘアオイルどこに隠してんの?」
「そういうとこだぞ!加州清光!ほんとに!この子はもう!」
仕事机に向かっていた主がこちらに向き直り、文字通りひざを突き合わせた状態で俺の両手を握るものだから、照れ隠しについ意地悪を言ってしまった。
それに対して彼女はいつも通り憤慨しているけれど、繋がれたままの手は何もかもを見透かしているようで、いじけていた心が解きほぐされていく。
「あのさぁ…」
「なに?」
「…主はさ、何で俺のこと初期刀に選んでくれたの」
「……………好きだからだよ?」
「いやそれ嘘つくときの間!」
「失礼な、本当だよ!あの日のこと鮮明に憶えてるもん!」
「嘘でしょ、憶えてないの!?」
「な、ちが…」
「この流れでの断言は明らかに嘘だよね⁉じゃあなに、陸奥守でもよかったわけ⁉」
「いや、それは本当に違う!どれか一振が特別に良かった訳じゃなくて、どれでも良かったの!」
「なおのこと悪いわ!」
「おや、陸奥守も主に用かい?」
「蜂須賀」
「これはしばらく終わりそうにないよ」
「えいえい、急ぎの用じゃないき」
「相変わらず騒がしい人だ。廊下の向こうまで聞こえていたよ」
「なんじゃ、それを注意しに来たがか」
「そう思ったんだがこの通りとても入っていける状態じゃなくてね。全く…もし俺が初期刀に選ばれていたら一体どうなっていたことか」
「確かにのぉ、いや、おんしが力不足とは思わんが…」
「やっぱり主の相手は加州清光でなければ、だね」
「ほうじゃのぉ」
後日談
「因みに刀剣男士の中から異性のタイプを選ぶならマジで誰でもいい」
「最低なこと言ってる自覚はあるんだよね?」
「……………いや?」
「それ嘘つくときの間じゃん」
「唐突だったから思考停止しちゃった」
「じゃあ改めて聞くけどどうなの?」
「……………いや?」
「わざとやってる?」
「なんでそんなこと詰問されなきゃいけないの!我審神者ぞ!」
「うわ逆ギレ」
「大体タイプって具体的に何のタイプこと言ってんの」
「そりゃもちろん異性としてのタイプでしょ」
「付喪神様を?そんなのただの一度も…」
「あるじー、ちっくとええかえ?」
「うおわぁ!ごちそうさまです!着物はどうしたの!」
「お?おぉ…す、すまんかった…出直してくるぜよ」
と、ここまでが一連の流れ。
畑当番をしていた陸奥守が内番服を着崩し、上半身をさらけ出した状態で襖を開けただけでこの反応。
そして現在流れているこの重苦しい沈黙。
「『ごちそうさまです』って言ったよね?」
「空耳では?」
「いや、陸奥守も戸惑ってから間違いないね」
「やっぱり⁉引いてたよね⁉どうしよう、気持ち悪いとか思われてたら立ち直れないんだけど!」
「女の顔してんじゃねぇよ!」
華麗なまでの手のひら返しに思わず突っ込んでしまった。
にも関わらず「だってぇ…」と泣きそうな顔をしている目の前の主。
初期刀である俺が初めて彼女と出会った時は今よりもう少し威厳があったものだが、今となってはこの有様である。
「陸奥守はそういう細かいことあんま気にしないから大丈夫でしょ。覚えてもないんじゃない」
「そうだね、陸奥守はおおらかだから」
「大雑把の間違いでしょ」
「うん、陸奥守はおおらかだからね」
(コイツ…)
俺からのささやかな抵抗を意にも介さず、自分の機嫌だけ直すこの人の調子の良さが憎らしい。
もちろん、俺だって審神者たる彼女が本気で陸奥守に恋慕しているとは思っていない。
これはあくまでもタイプの話だ。
それでも、彼女のような少し神経質なところがある不安定な人間が、陽のオーラを醸し出し、ここぞという場面でしっかりとフォローができる聡明さを持つ陸奥守をタイプとして選ぶのは、あまりにしっくりきすぎて面白くない。
「まぁ、俺みたいな刀とはある意味正反対だよな」
「え?」
「ほら、俺はアンタと同じで神経質なところがあるから。同じ性質の人間同士は反発しやすいでしょ」
「…さっきからどうしたの?おかしな質問したりして」
「別に」
「本当は何が聞きたいの?言ってごらんよ」
「…」
俺は彼女の初期刀である。
でも、初期刀として選べる刀剣の中には陸奥守もいたのだ。
おおらかで、彼女の気質にあった「タイプ」の陸奥守吉行が。
どうして俺を初期刀として選んでくれたのか、本当はそれが聞きたいだけだったのだ。
にも関わらず彼女ときたら俺がカマをかけただけで簡単に引っかかるんだから、いじけたくもなる。
「ほらほら、今なら大サービス。何でも答えてあげちゃうよ」
「この間買ったちょっといいヘアオイルどこに隠してんの?」
「そういうとこだぞ!加州清光!ほんとに!この子はもう!」
仕事机に向かっていた主がこちらに向き直り、文字通りひざを突き合わせた状態で俺の両手を握るものだから、照れ隠しについ意地悪を言ってしまった。
それに対して彼女はいつも通り憤慨しているけれど、繋がれたままの手は何もかもを見透かしているようで、いじけていた心が解きほぐされていく。
「あのさぁ…」
「なに?」
「…主はさ、何で俺のこと初期刀に選んでくれたの」
「……………好きだからだよ?」
「いやそれ嘘つくときの間!」
「失礼な、本当だよ!あの日のこと鮮明に憶えてるもん!」
「嘘でしょ、憶えてないの!?」
「な、ちが…」
「この流れでの断言は明らかに嘘だよね⁉じゃあなに、陸奥守でもよかったわけ⁉」
「いや、それは本当に違う!どれか一振が特別に良かった訳じゃなくて、どれでも良かったの!」
「なおのこと悪いわ!」
「おや、陸奥守も主に用かい?」
「蜂須賀」
「これはしばらく終わりそうにないよ」
「えいえい、急ぎの用じゃないき」
「相変わらず騒がしい人だ。廊下の向こうまで聞こえていたよ」
「なんじゃ、それを注意しに来たがか」
「そう思ったんだがこの通りとても入っていける状態じゃなくてね。全く…もし俺が初期刀に選ばれていたら一体どうなっていたことか」
「確かにのぉ、いや、おんしが力不足とは思わんが…」
「やっぱり主の相手は加州清光でなければ、だね」
「ほうじゃのぉ」
後日談
「因みに刀剣男士の中から異性のタイプを選ぶならマジで誰でもいい」
「最低なこと言ってる自覚はあるんだよね?」