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その日、その人はいつもの様子とは違って酷く弱々しそうだった。
『いきなり来ちゃってゴメンね。迷惑、だったかな?』
「いえ、大丈夫ですけど…」
何処か聞きづらさもあって、部屋に上がってもらっても会話が続かない。
お茶を渡すと『ありがとう』と言われて、そのままソファの隣に座っても上の空。
『みかどちゃん。おれってさ、きみに酷いことしたことある?』
「えっ?」
『答えにくいかもしれないけど、あるならちゃんと教えてほしいんだ』
口を開いたと思えばそんな思い当たることのないことを聞かれる。
「そんなの…ないです」
『ほ、本当?』
「はい」
そう言うと一瞬ホッとしたかのように見える顔がまた曇る。
『あっ、喜んじゃいけないんだった…』
「?」
『あ、あのね…』
それは真珠さんと夜光さんとのこと。
ふたりの深まった溝については何度か聞いてはいたけど対決も決まり、既に手に追えないところまできているらしい。
『おれ、夜光の考えてることがずっと前から全然分からなくなって。でもそれを考え始めたら、周りのみんなも……きみも夜光と同じ気持ちだったら、って』
「真珠さん…」
それを発する真珠さんはいつもの元気な様子からは想像がつかないぐらい弱々しい。
『ほんと…どうしてこうなっちゃったんだろう。おれはまた、夜光と同じステージに立てて嬉しかったのに』
泣きそうな顔の真珠さんを両手で引き寄せて抱き締める。
『っ…!』
「大丈夫。大丈夫です」
「夜光さんが何か思うことがあるのは確かだと思いますし、今は関係が難しくなってしまったかもしれないですけど。…きっとまた元のようになりたいと思えば仲良くなれます」
『みかどちゃん』
「それに私は真珠さんならこの状況を乗り越えられるって信じてます」
頭を撫でながら話すと鼻をすする音が聞こえる。
「……信じて応援してますから」
『ん…』
「だから大丈夫」
もう1回抱き締めて
「というか私にはそれぐらいしか出来ないですけど…」
そう笑うと
『……うん、ありがとう』
ギュッと腕を廻される。
『きみが大丈夫って言ってくれるなら大丈夫な気がしてくる』
小さな声で呟かれる。
『……ねえ、もうひとつ言ってもらいたいことがあるんだけど』
「? なんですか?」
『その…おれのこと好きって言ってくれたりしないかな?』
「えっ」
『そしたら元気と勇気も湧いてくる気がして…ダメかな?』
おデコがコツンと当たる。
「ううん…。真珠さん、大好きです」
そう言うと真珠さんが
『…へへっ、きみが大好きって言ってくれたら安心した』
笑って、廻されていた腕に力が入る。
『もう少しこのままでいてもいい?』
「っ、…はい」
頭を撫でていた腕を背中に廻すと
『…おれ、夜光との対決も公演も全部頑張るから、見ててね』
「…っ。はい、最後まで見届けます」
『ありがとう、みかどちゃん』
さっきまでとは違って明るくなった声。
私はその人を送り出す。
『いきなり来ちゃってゴメンね。迷惑、だったかな?』
「いえ、大丈夫ですけど…」
何処か聞きづらさもあって、部屋に上がってもらっても会話が続かない。
お茶を渡すと『ありがとう』と言われて、そのままソファの隣に座っても上の空。
『みかどちゃん。おれってさ、きみに酷いことしたことある?』
「えっ?」
『答えにくいかもしれないけど、あるならちゃんと教えてほしいんだ』
口を開いたと思えばそんな思い当たることのないことを聞かれる。
「そんなの…ないです」
『ほ、本当?』
「はい」
そう言うと一瞬ホッとしたかのように見える顔がまた曇る。
『あっ、喜んじゃいけないんだった…』
「?」
『あ、あのね…』
それは真珠さんと夜光さんとのこと。
ふたりの深まった溝については何度か聞いてはいたけど対決も決まり、既に手に追えないところまできているらしい。
『おれ、夜光の考えてることがずっと前から全然分からなくなって。でもそれを考え始めたら、周りのみんなも……きみも夜光と同じ気持ちだったら、って』
「真珠さん…」
それを発する真珠さんはいつもの元気な様子からは想像がつかないぐらい弱々しい。
『ほんと…どうしてこうなっちゃったんだろう。おれはまた、夜光と同じステージに立てて嬉しかったのに』
泣きそうな顔の真珠さんを両手で引き寄せて抱き締める。
『っ…!』
「大丈夫。大丈夫です」
「夜光さんが何か思うことがあるのは確かだと思いますし、今は関係が難しくなってしまったかもしれないですけど。…きっとまた元のようになりたいと思えば仲良くなれます」
『みかどちゃん』
「それに私は真珠さんならこの状況を乗り越えられるって信じてます」
頭を撫でながら話すと鼻をすする音が聞こえる。
「……信じて応援してますから」
『ん…』
「だから大丈夫」
もう1回抱き締めて
「というか私にはそれぐらいしか出来ないですけど…」
そう笑うと
『……うん、ありがとう』
ギュッと腕を廻される。
『きみが大丈夫って言ってくれるなら大丈夫な気がしてくる』
小さな声で呟かれる。
『……ねえ、もうひとつ言ってもらいたいことがあるんだけど』
「? なんですか?」
『その…おれのこと好きって言ってくれたりしないかな?』
「えっ」
『そしたら元気と勇気も湧いてくる気がして…ダメかな?』
おデコがコツンと当たる。
「ううん…。真珠さん、大好きです」
そう言うと真珠さんが
『…へへっ、きみが大好きって言ってくれたら安心した』
笑って、廻されていた腕に力が入る。
『もう少しこのままでいてもいい?』
「っ、…はい」
頭を撫でていた腕を背中に廻すと
『…おれ、夜光との対決も公演も全部頑張るから、見ててね』
「…っ。はい、最後まで見届けます」
『ありがとう、みかどちゃん』
さっきまでとは違って明るくなった声。
私はその人を送り出す。