その小さな手を



その夜も、いつものように2人で一つのベッドに入った。

口唇を重ねて、体温を分け合うように抱き合って眠る…はずだったのだが。
男の方は、少女が眠ったのを見届けてからそっとベッドを抜け出した。




…苦しかった。

愛しい人を抱きしめて眠ることが。


あと何日こうして眠れるのか分からない。
一緒にいられる時間を1秒だって無駄にしたくない。

そう頭では分かっていても、どうしても駄目だった…。




アスランは足音をたてないように1階へ降り、リビングのソファーに座ると
殺していたものを一気に解放した。


「……ッ……ぅ…!!」


瞳からこぼれ落ちてきたものは、アスランが20年以上縁がなかったものだった。


こんなにカガリを愛しているのに
誰より大切なのに

このまま一緒にいられないなんて…!




「アスラン…?」

「!」

リビングの入り口から声がして、アスランは慌てて涙を拭いた。
それでも泣いていたことは明白だった。


「アスラン…!?おまえ、泣いているのか…!?」

「いや…なんでもない。どうしたんだ?カガリ…」


「………」

カガリは顔を歪めると、何も言わず小さな手でアスランを抱きしめた。

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