その小さな手を
そこから数時間は、生きた心地がしなかった。アスランは自宅でキラからの通信をじっと待っていた。
最初は「俺もユニウスセブンへ向かう!」と部屋を飛び出したのだが、カガリに止められたのだ。
確かに、うかつに動いてアスランが捕えられでもしたら話にならない。
キラからの連絡を待つ間、カガリはアスランの手を握って「大丈夫だ」と言い続けた。
そしてアスランもそのぬくもりを抱きしめた。
4時間後…
通信機が鳴った。音声の通信ではなくテキストのみだった。
『ユニウスセブンにて反乱軍を殲滅、レノア・ザラ殿を無事保護』
「……!」
「…よかった! よかったな、アスラン!!」
声も出せずに座り込んでしまったアスランへ、カガリは飛び跳ねながら抱きついたのだった。
それから1時間くらいして、やっと処理が一段落したのか、キラから音声通信が入った。
『こっちはだいたい片付いたよ。間一髪だったけど夫人にケガはない。それにしてもよく分かったね、アスラン』
「俺じゃない。気づいたのはカガリだ…全部彼女のおかげだ」
『え…ウソ!ほんとに!?』
「ああ…」
アスランは自分のベッドの方へ優しい視線を向けた。
疲れきったカガリはすでに深い眠りについている。あどけない寝顔で。
『とんでもないお姫様だね…』
「そうだな…」
通信を終えると、アスランはカガリのもとへ向かった。
自分もベッドに入り込んで、寝ている少女を包み込んだ。
「ありがとう…カガリ…」
母を助けてくれて。
俺の手を握ってくれて。
こんな気持ちを教えてくれて…。
君がいてくれるから、俺は俺でいられる。
「ずっと俺のそばにいて……」