その小さな手を



結局、最高評議会議員といってもこの程度なのだ。
プラントの方針なんて簡単に変えられない。
一体自分は何のために力を得たんだ、という思いにアスランはとらわれた。


「アスランには感謝してるぞ。私はアスランのおかげでここで楽しく暮らせているんだ!」

「カガリ…」

「それに、人質になったからアスランに会えたんだからなっ!」

「ああ…そうだな」

またもアスランはカガリの笑顔に救われた。
どれほどこの少女の存在は大きくなっていくのだろう。

もう…失うなんて考えられなかった。



一生…




「…カガリ、オーブの王位継承権について聞いてもいいか?」

「えっ?」

オーブの王位継承は、アスランがカガリと一生共に暮らす上で避けては通れないものだった。
なにしろカガリは第一王女で、現国王に他に子どもは居ないのだ。子どもを産む妃も。


「オーブに王太子はいないよな。次の国王候補は決まっているのか?」

「ああ、今の王位継承権第1位はおじ様だ、お父様の弟」

「その次は?」

「おじ様の息子で、私の2つ下のいとこだ」

「じゃあ…カガリが女王になるって可能性はないのか?」

「オーブは女性に王位継承権はないぞ?」


カガリの言葉で、アスランは力が抜けたのが分かった。

そうか…カガリは王位に就かなくていい…。
将来正式にオーブを出て、プラントに来ることができる。


「でもなんでそんなこと聞くんだ?アスラン」

「いや…」

アスランはカガリの頭を抱えながら、その金糸にキスした。



…プラントでは15歳で成人と認められる

あと4年…


せめてそれまで

俺が君に求婚してもいい歳になるまで



どうか・・・このままで


人質でいいからそばにいてくれ・・







―――それは自分勝手でずるい願いだということを

アスランは気づかないフリをしていた

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