その小さな手を
重ねるだけの優しいキスを何度もすると、カガリはくすぐったそうに笑って
いつの間にか涙は止まっていた。
じゃれ合いながら、互いにこの2週間の出来事を話した。
「アスランの小さい頃の話…キラからいろいろ聞いたぞ」
「えっ」
アスランは思わぬパンチを食らったみたいにひるんだ。
幼馴染を使ったことがこんな形で跳ね返ってくるとは。
「キラのやつ…」
一体なにを言ったんだ…
と苦い顔をしていると、カガリの笑顔が飛び込んできた。
「アスランの話、たくさん聞けて楽しかったし、すごく嬉しかった!」
その顔を見てアスランもあっさりと幸せな気分に戻った。
「そんなに楽しかったのか?」
「うん、もっと聞きたい!」
「俺ばっかりは不公平だろ?俺もカガリの話が聞きたい」
「ええ?私の話なんて聞いてもちっとも面白くないぞ」
「俺が聞きたいんだ」
うーん、と納得がいかないながらもカガリはオーブのことを話してくれた。
小さな島の集まりで、綺麗な海に囲まれた国だということ。
母親が亡くなってからは、厳しいけど優しい父親に育てられたこと。
「国王は、カガリが人質としてプラントへ来ることを何て言ってたんだ?」
「もう大反対!でも私が押し切って勝った!」
カガリが自慢げに言ったのでアスランも思わず笑ってしまった。
きっと一度言い出したら聞かないカガリだから、父親もしぶしぶ折れたのだろう。
「だって他に思いつかなかったんだ。オーブを守る方法が」
「……ごめんな」
「なんでアスランが謝るんだ。私は自分の意思でプラントに来たんだぞ」
「いや…、オーブのエネルギー資源への着手を、俺に止めることができれば…」