その小さな手を



2週間の間、アスランは宣言通り毎日カガリに映像付きの通信を入れた。

カガリは画面の向こうでいつも元気よく笑っていた。
彼女が神妙な顔をするのはアスランの体調を心配するときくらいだった。


そしてついに、カガリの方から連絡がくることはないまま…長い長い2週間が終わった。




「アスラン!おかえりっ」

「カガリ…!!」

家に帰るなり、アスランはカガリを思い切り抱きしめた。
使用人や秘書の目も憚らず、会えなかった寂しさと不安をぶつけるかのように。

本当に…長かった…。


「こら!おかえりって言われたら“ただいま”だろ?」

「そうだな…ただいま」


お姫様に怒られてアスランもやっと笑みがこぼれた。


「…俺がいなくて大丈夫だったか?何か変わったことは?」

「大丈夫だ。アスランは毎日連絡くれたじゃないか。キラも毎日来てくれたぞ!」

「そうか…」

カガリはいつものように笑っていて、それでもやはりアスランは寂しかった。
彼女が寂しいと思ってくれなかったことが―――





その夜、二人は2週間ぶりに一緒に眠った。

ベッドの中に入るとカガリはぎゅっとアスランにしがみつき、なぜか突然泣き出した。


「本当は…さびしかった…。すごくすごくアスランに会いたかった…っ」

「カガ…」

「ずっとこうしてアスランに抱きしめてほしかった…!!」


信じられないような言葉が次々とカガリの口から出てきて、アスランは昼間のギャップに驚かずにはいられなかった。


「え、だって…。カガリさっきはそんなこと…」

「さっきはダコスタさんとか…他の人がいたから…っ…ひっく…」


ついにカガリは嗚咽を漏らし始めた。
一体どれだけ涙を我慢していたのだろうか。


「寂しくなったら連絡しろって言っただろ…?」


「っ…だ…って、仕事のじゃま…したくなかっ……」


「…!」

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