空も風も



ビルマ語、ラオス語、クメール語、アラビア語、トルコ語、中国語・・・

ほとんどが自分で編集したであろうCD-Rに、手書きで。




冷水を頭からかぶせられたような感覚。

背筋が凍り付くほどの衝撃で、動けなかった。



―――カガリがいつも…片時も離さず聴いていたもの―――



音楽のCDじゃなかった

ぜんぶ



“どうせ飽きるほど聴いたから”


その言葉にもう一度身震いした。

ずっと、ずっと
いったいどれだけの時間を語学に

自分の夢を叶えるために――――!




次元が違った。
俺が今まで生きてきた人生と。


“俺もカガリと一緒に行きたい、どこの国でもいいから!”


「…ほんとバカだな俺は…。なんの覚悟も無しに……」







人の死は、残された人の人生を大きく変える。
これほどまでに。


人が生きて、死ぬ…
世界中が毎日繰り返しているその中に、心があって

その心を君は抱きしめているように思えた。


いつもこの河川敷に座って
遠い世界を見つめていたのだろうか。



“私も…できることなら医者になりたかったな”





ねえ、カガリ

俺も君みたいになれるかな


誇りをもって命と向き合えるような人間に・・・

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