空も風も
「カガ……っ」
カガリ
カガリ・・・!!
“俺のこと好きになってくれたんなら、なんで行くんだ”
“行くな…!”
そんな言葉を発することが、無意味だと感じてしまった。
止められない。
何を言ってももうカガリは止まらない…!!
「なんで君は…!自分の幸せを…考えようとしないんだ……!」
なぜ顔も知らない人の幸せを願って
自分は幸せになろうとしない――――
「なんでかな…。そういう性分なんだ。この命を、この生を、誰かの幸せのために使えるなら満足だ」
行かないでくれ
行かないで
カガリ
「俺は…っ、カガリがいないと幸せじゃない…!幸せになんてなれない……!!」
「お前なら大丈夫だよ、アスラン…」
“だって、私を変えてくれた力をもってるんだから”
陽が落ちた冬の河川敷で
その言葉は白い吐息となって…消えた…
卒業式は一週間後だった。