空も風も
耐えられず、俺の目からは涙が次々とこぼれ落ちた。
カガリの方は…
今にも泣きそうなのにずっと限界のところで踏みとどまっていた。
泣かない、
絶対泣かない、と
何日も前から決めていたかのように。
「アスラン……お前のこと、好きだよ」
―――時間が止まった
彼女は微笑んで、
俺は涙を流したまま
「私は、ずっと、氷の世界にいた気がする…」
「寒くて、いつ崩れ落ちてもおかしくないような道を、ずっと独りで……それで良かったんだ」
「でもお前に会って…温かさをもらって。初めて、人とずっと一緒にいたいと思った」
そこでふっと、何か思い出したように彼女は笑った。
子どもみたいに無邪気に。
「お前、バカみたいにまっすぐで純粋で、一生懸命でさ」
「もうこんなに好きになっちゃったから、ファーストキスの一件はチャラにしてやるよ!」
「……アスランのこと、好きになってよかった」
待ち焦がれていた、言葉。
でもなんでそんなこと
今、
別れの言葉のあとに言うんだ…
そんな優しい顔で―――!
「お前のおかげで、高校生活が宝物になったよ…」
「私の…宝物に―――・・・」
ずっとギリギリのところで押しとどまっていた彼女の涙が―――落ちた。