空も風も
それからは、予備校と図書館に通う日が続いた。
センター試験まであと3週間。
今までだって散々勉強してきたが、それ以上の集中力で励んだ。
毎日いろんなことが精一杯で、俺はすっかり忘れていたのだ。
―――あの噂のことを
「あれ…」
予備校で帰りが遅くなったある日
駅近くで見慣れないものを見た。
世間では特別な日で、寒くて夜も遅いのに人が溢れかえっている。
その人混みに、金色の髪。
視界に入ると必ず反応してしまうもの。
「カガリ…?」
こんな時間こんなところにいることが信じられなくて
立ち止まって目を凝らした。
カガリだ。
間違いない。
「カガ―――」
声をかけようと近付いて、俺は硬直した。
カガリの隣に男がいた。
スーツ姿の中年の・・
今日はクリスマス・イブだった。