空も風も



目の前に、大きく見開く琥珀の瞳。

あまりに近くて
自分でもなにが起こっているのかわからなくて


唇が離れてから、キスしていたことに気づいた。




・・・・あれ






今――――





「………………何してるんだお前」


彼女の低い声で、俺は我にかえった。


「えっ…あ、………」


頭が真っ白だった。


ただでさえキスなんて生まれて初めてで。


それが、今、理性もなにもかも吹っ飛んで―――


「意外と手が早いんだな」

「ちが…!こんなこと、初めてだ…!自分でもびっくり、して……」


どっと汗が出てきた。
とんでもないことをしてしまったと実感して、背筋が凍っていく。


「本当だ…、まだ…指が震えてる……」

「指?」


指だけじゃなく、手も、声までも震えているのが分かった。
まさか自分があんなことをするなんて・・


「………バカじゃないのかお前。普通、震えるの私の方なんだけど」

「ご、ごめん……」

「人のファーストキスを勝手に奪っておいて…」

11/39ページ