空も風も
目の前に、大きく見開く琥珀の瞳。
あまりに近くて
自分でもなにが起こっているのかわからなくて
唇が離れてから、キスしていたことに気づいた。
・・・・あれ
俺
今――――
「………………何してるんだお前」
彼女の低い声で、俺は我にかえった。
「えっ…あ、………」
頭が真っ白だった。
ただでさえキスなんて生まれて初めてで。
それが、今、理性もなにもかも吹っ飛んで―――
「意外と手が早いんだな」
「ちが…!こんなこと、初めてだ…!自分でもびっくり、して……」
どっと汗が出てきた。
とんでもないことをしてしまったと実感して、背筋が凍っていく。
「本当だ…、まだ…指が震えてる……」
「指?」
指だけじゃなく、手も、声までも震えているのが分かった。
まさか自分があんなことをするなんて・・
「………バカじゃないのかお前。普通、震えるの私の方なんだけど」
「ご、ごめん……」
「人のファーストキスを勝手に奪っておいて…」