氷姫は残照に熔く
「泣かないで…」
涙に口づけて、そのままカガリの唇を深く塞ぐ。
激しい愛撫でカガリがなにも考えられないようにする。
もう…躰を重ねるとてつもない幸せを、知っていた。
今まで孤独に生きてきた18年間はすべて・・
こうして俺の全力で君を愛するためだったと
今なら思う
「……やっぱり、一緒に帰ろうカガリ―――」
躰を繋げたまま、額をこつんと合わせた。
話すために律動を止めてもなお熱く、アスランの頬から汗が落ちる。
「で、でも…」
「もちろん戦争は起こさせない…。何か方法があるはずだよ、俺たちが両国から働きかければ…」
「あ…」
アスランの指がカガリの華奢な手を絡めとった。
「カガリには俺がいる。もう一人で抱え込まなくていいんだ」
「………っアス…」
「軍事協定を止めた上で、俺たちが結婚もできる道を、絶対見つけよう・・・」
―――朝日が昇る。
その夜明けとともに、二人きりの生活は終わりを告げた。