氷姫は残照に熔く
一番強くベッドが軋んだ音がしてから、少し経つ。
まだ息が整わないが、今までにないほど心が満ち足りていた。
甘い余韻が残る中…アスランがキスをすると、カガリは無言でアスランの胸に抱きついてきた。
「……カガリ?」
顔をうずめていて、カガリの表情が見えない。
「ごめん…体つらい…?」
カガリは無言のまま首を横に振った。
その返事に少し安堵するも、やはりカガリの様子が少しおかしかった。
カガリの肩が震えだす。
「アスランと離れたくない……」
その嬉しすぎる言葉とともにカガリからこぼれ落ちたものは、…涙。
素肌のアスランの胸を、カガリの涙が濡らしていく。
「私…どうしたらいい……?」
「…え」
「ぜったい…離れたくないよ…!」
「どういう…こと、カガリ…」
アスランの腕に包まれながら…
カガリは、ずっと誰にも言えなかった真実を話す覚悟を決めた。
もうこの体温を手放すなんてできない・・・
自分で涙をぬぐって、小さく息を吸った。
少しでも心を落ち着かせるように。
「……私たちの政略結婚は、たくさんの命が奪われてしまう」
「命…?」
「オーブとプラントで密かに軍事協定を結んで、西方侵攻に乗り出すための結婚なんだ…。だから……っ」
「…な、んだって!?」