氷姫は残照に熔く



同じ女性を、二度好きになった。

一度目は圧倒的美貌と、芯の強さに。
二度目は・・・太陽の下で笑う姿に。


好きだ
カガリが好きだ

俺はどうすればいい

婚約を破棄された王太子として






「は…ぁ…」

暗闇のベッドの中、アスランは小さくため息をついた。
・・・それは、とてつもなく長い長い夜だった。

2mしか離れていないところでカガリがクッションの上で眠っている。
アスランは、どうしても眠れない。
むしろ、今までどうして眠れていたのだろうと思う。
好きな女性と同じ部屋で。


おそらく・・ケガで体が弱っていたことと、自分が性に関してまだ未熟だったこと。
それで何も考えず幾晩も眠っていた。

でも今はもう体力は戻ってきているし、カガリが“女性”だと本当の意味で分かってしまった・・。
嫌でも体が反応してしまう。
カガリの寝息が聞こえてくるたび鼓動が高鳴る。


何も考えるなと言い聞かせ、耳をふさいで目をつぶっても、
昼間の濡れたカガリの姿がどうしても浮かんできた。



触りたい。

あの体の曲線に。

カガリの体に思う存分触れられたなら・・・


「……は…っ…」

衝動に耐え切れなくなって、己の下半身へこの手が降りていく。

ああ・・だめだ。


「―――っ」


自分の手によって痺れるような快楽を得た瞬間、ベッドから飛び起きた。
焦って、それでも音をたてないように極力静かに小屋の外に出た。

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