quartet
7月。
テスト期間に入った。
今までは部活がなくても4人で部室に集まって勉強していたが、今回はどうしようかとカガリは悩んでいた。
やっぱり、行きづらい。
今までの関係とは変わってしまったのだ。
確実に。
「カガリさん、今日は部室で勉強なさらないのですか?」
帰り際、ラクスに呼び止められた。
「あ・・うん、ちょっと先生に聞きたい問題があって・・」
「そうですか。ではまた明日」
小さく手を振って、ラクスは美しい微笑みを見せた。
今までだって美人で有名だったけど、もっと綺麗になった気がする。
カガリは目を伏せて意味もなく職員室へ向かった。
・・・別に、みんなを避けてるわけじゃない
ただ、新しい環境に慣れるだけの心の準備が必要なだけだ。
少したったら、きっと、前みたいにできるから。
「・・しまった、教科書」
ふいに、カガリはカバンの中を見て立ち止まった。
教室ではなく部室にそれがあることを思い出す。
昨日は部活帰りが雨で、教科書が濡れないようにと部室に置いてきたのだ。
先生に聞きたいというのは口実だが、さすがに教科書がないと家で勉強できない。
(ああ・・。)
仕方ない。
いつものように「教科書わすれちゃったー!」とか笑ってふざけて。
何事もなかったようにすぐ帰ろう・・。
やや重い足取りで部室という名の用具倉庫へ向かった。
「・・・?」
扉の前に来ると、カガリはやけに静かな部室に違和感を感じた。
キラとラクスとアスランがいるなら、談笑の声が少しくらいは聞こえるはず。
(なんだよ、もしかして真面目に勉強してるのか?)
そ…っと、音をたてずに部室を覗く。
カガリは、思考も呼吸も停止した。