quartet
「・・やっぱり、カガリは気付いてなかったか」
アスランが、ひとつ息をついて言った。
前を歩くカップルは二人の世界に入っていてこちらの会話に気付いてないようだ。
「ぜ・・ぜんぜん・・・!いつからだ!?」
「たぶん、去年の今頃には」
「去年・・!?」
カガリはまたも衝撃を受けた。
1年も前。
「ラクスから聞いてなかったのか?」
「うん・・」
ラクスが、そんなにも前からキラのことが好きだったなんて―――
ラクスはいつもカガリの話を聞いてくれた。
穏やかな笑顔で。
でも、自分はラクスの悩みを聞いてあげたことがあっただろうか
「たぶん・・言い辛かったんだろう。カガリが純粋に4人の時間を大切にしてるのが分かったから・・」
「・・でも、私、そんなにも長い間気づけなかったなんて・・最低だ・・・」
毎日一緒にいたのに
親友の気持ちも、キラの気持ちも、全然。
恋愛なんて縁がなさすぎて、この4人の中で起こる可能性なんてみじんも考えていなかった。
ただ楽しくて・・こんな毎日がずっと続けばなんて・・
もしそんな自分のせいで二人が1年も遠慮していたのだったら――――
「違うよ、カガリ」
ショックで顔を覆ってしまったカガリに降ってきたのは、アスランの優しい声だった。