quartet
カガリはアスランを目に止めると、そっとイスから立ち上がった。
ここにいればアスランに会えると思ったのだ。
「アス・・ラン・・」
本当は、すごくすごく逃げ出したい。
身体に電流が走ったかのように胸が痛い。
でも、あんなひどいこと言っておいてもう逃げられない。
怖がらずにアスラン瞳を見つめた。
まだ驚きで呆然としているグリーンの瞳を。
(ああ・・もうずっと見てなかった気がする・・)
切なさが胸を焦がしていく。
カガリの方から一歩、近づいた。
ゆっくりと。
ラクスに言われたからというのが半分。
残りの半分は自分の中に湧き起った自然な意思で。
立ちすくむアスランの手に・・カガリの細い指先が、触れた。
瞬間―――
カガリはアスランに抱きしめられていた。
強く、強く。
「アス―――」
「好きだ・・!」
我慢して我慢し続けた積年の想いが決壊するかのように
アスランの声はかすれていて。
「好きだ、好きだ・・っカガリ・・・―――」
その吐息がカガリの耳に直接かかった。
「アス・・っ・・」
少しの身動きもとれないほどの腕の中で、カガリの胸の中も何かに満たされ
溢れ出していくのが分かった。