quartet
去年の春、入部してすぐの頃だった。
アスランがカガリに惹かれたのは。
新入部員はアスランたち4人だけ。2年生部員はゼロ。
3年が引退すると同時に廃部になることが、4月の段階で決定的になってしまった。
アスランはそれでも仕方ないと思っていた。
「既定の人数に達しなければ部として認めない」それが学校のルールなのだ。
しかし、カガリは違った。
先輩たちが築いてきた伝統を守ろうと、自分の大好きな居場所を守ろうと、走り回った。
校長にまで直談判しにいき、ついには条件付きで存続を認めてもらえたのだ。
条件の1つが「大会での成績」だったため、練習はハードなものになったが、
それもカガリが一番頑張っていた。
カガリに引っ張られるようにアスランも変わっていった。
唯一の悩みは、カガリがアスランを男として見てない点だった。
抱きついて来たりもたれかかってきたりなどは日常茶飯事で
そのたびカガリの香りが鼻をくすぐり、抱きしめたくなった。
何度も何度も限界はきたけど、あまりのカガリの無邪気さに
「好きだ」と伝えることもできないまま1年以上耐えた。
カガリが笑顔で、それを自分が一番近くで見ていられるのならそれでいい。
そう思っていたのに・・・
全部壊れて、もう抑えていられなくなった
「さて・・・と・・」
携帯を開いてつぶやく。
どうするか。
アスランは部室に向かって歩きながら考えていた。
部室を貸し切って、カガリにすべて伝える場は整ったものの。
カガリにはなぜか避けられているのだ。
携帯で呼び出しても来てくれるとは思えない。
それなら探しに行って、強引にここにつれてくるしか・・・・
ガチャ。
部室の扉を開けたとき、アスランは予想だにしてなかったものを見た。
「カガリ・・!」
蜜色の髪の愛しい人が。
なぜかそこにいたのだ。