恋唄 最終話
『少し早いけど、俺たちからお前へとっておきの誕生日プレゼント送るからな!来週日曜は一日家にいろよ!』
1週間前、ディアッカからそんな意味深なメールが来ていた。
とっておきのプレゼント…?
ひょっとしたらカガリのビデオレターとか…写真とか―――
期待してはいけないと思いながらも、どうしてもそういうものを期待してしまう。
それほどカガリへの飢えが限界にきていたから。
会いたい・・・会いたい
君の姿を思い出すだけで
泣きたくなるほどに
【恋唄 最終話】
「いきなりこんな遠い国なんか行くなよな!留学するの、ものすごく苦労したんだぞっ!」
「・・・・」
玄関のドアを開けたとたん飛び込んできた、言葉。
その人物を認識したのと、言われた言葉を認識したのは、どちらが先だっただろうか。
自分の頭の回転がこれほど遅いなんて知らなかった。
あまりにも信じられない出来事が目の前で起こっていて―――
「え・・・」
名前を呼ぶことすら忘れて、ただ目を見開いた。
真っ白で何も思い浮かばない。
「住所の移動だけ見たら、まるで私がアスランに片想いして追っかけてばっかいるみたいじゃないか!」
「ご、ごめ……」
何がなんだかわからないけど、とにかく目の前の人物が怒っていたので、俺はとっさに謝った。
そこからやっと頭が働きだす。
…この声、この髪、この瞳―――
カガ、リ……
カガリだ
本物の、カガリ……!!
どうしてこんなところに―――!!
「…いいんだ。アスランはずっと私を待っててくれたから…その分少しでも返したい。私の片想いでいいよ」
琥珀の瞳が、ふっと柔らかくなる。
さっきまでの怒った顔は…世界一きれいな笑顔になった。
「今度は私がアスランに片想いする」
カガリのこんな顔、ずっと見てなかった
付き合い始めてから…悩ませたり泣かせたり苦しめたり…
そんなことばかりで……!
「……っ…、片想いなわけないだろ…!!」
ただもう溢れる喜びのままに、愛しいひとを掻き抱いた。