恋唄 第12話 <第二部>
二度目のキスも、俺の部屋の玄関だった。
時間通り訪ねてきたカガリを中に引きこんで、すぐに抱きしめた。
自分が男だということを思い知る、麻薬のような感覚・・
【恋唄 第12話】
カガリの手からなにか落ちる音が聞こえても、腕を緩めることはなかった。
「あ、っあの…上着っ…返し……///」
「うん…」
カガリの言葉を聞くよりも、この柔らかな体を抱きしめることに神経を集中させる。
目を閉じて…できるだけ密着した部分の感覚を研ぎ澄ませる。
ずっと望んでいたことがやっと叶ったのだから
どれだけ抱きしめても足りない。
また下に逃げられないように、今度はちゃんと片手を腰に回して引き寄せた。
「アス…、アスラ…っ」
「力入り過ぎだよ…カガリ」
腕の中の華奢な身体は、今まで以上に硬直していた。
これからするのはキスだけなのに、まるで人生を揺るがすほどの事が待っているかのよう。
「だって…あ、の//」
「心の準備しておいてって言っただろ?」
一方的じゃないキスがしたくて俺が昨日言った言葉。
準備が1日だけでは足りなかったのかと思ったけど、これでも俺はものすごく待った。
「カガリ…」
緊張が解けるように囁いて、頭を撫でてみても肩が跳ねるだけだった。
…何にも染まっていない真っ白なカガリ。
そんな反応されたら余計たまらなくなる。
「準備できてなくても、待てないから…もう」
「ぁっ」
カガリに強張る間を与えないように、すかさず口唇を塞いだ。
二度目のキスは…ちゃんと重なった。