Red Line 第4話
どこまでが良くてどこからが駄目なんて
そんな線引き
俺が自分を止められなければ、意味はない
…真っ赤に引かれたボーダーラインは
きっと
【Red Line 第4話】
7月になった。
あれからもアスランとカガリは毎週会い続け、その回数を指折り数えていくと両手は埋まってしまう。
もう、二人で会うのは当たり前のことになっていた。
しかしカガリにとって、その時間は“落ち着く”というものにはほど遠い。
二人の関係は曖昧で…宙ぶらりんのままだったから―――
「やっと梅雨も明けたし、今日はカガリの行きたいところ、行こう」
「え…。いいの?」
「うん、どこでも」
優しく細められる翡翠の瞳に、カガリの心臓はまだ慣れなかった。
アスランは…いつも優しい。
どんな話をしていても穏やかに微笑んでくれて、いつもカガリの方を見つめてくれて。
仕草の一つ一つからも大切にされてることがよくわかる。
でも―――
「遠くてもいいよ。カガリが作ってくれたクッキー食べながら、ゆっくり車で」
いつも食事をごちそうになってしまっているカガリは、そのお返しに何かを作って持っていくようになっていた。
お菓子だったり、一人暮らしの彼のためにおかずをタッパーに入れていったり。
平日は電話やメールをして、週末には必ず会って。
…まるで、誰が見ても、恋人同士。
それでも、二人はそう呼べる関係ではなかった。
“好き”や“付き合って”の言葉もなく、手を繋いだりもない。
お互いの部屋に入ったこともない。
(アスランは…私のことどう思ってるんだろう…。)
そんな風に、今日もカガリはアスランを見上げる。
美しく整ったその顔を。
いつも自分を見てくれる、その深い翡翠を。
その日は、カガリの希望で海へ行くことになった。