Red Line 第3話
俺を見て
俺の名前を呼んで
会ってしまうと、望みは尽きない
【Red Line 第3話】
「…お母さん、私、素敵な人に出会ったよ」
一人暮らしの部屋の中。
チェストの上に飾ってある母の写真の前に、カガリはメッセージカードを置いた。
「一つ年上でね、すごく優しい人……」
『…このカード、ちゃんと書いて母の墓前に持っていくことにするよ』
『じゃあ…私もそうしようかなっ!』
彼と交わした約束。
しかし母の墓は遠い北の地にあるため、カガリは代わりに写真の前にカード供えたのだ。
―――お墓・・
父の墓の場所は、ずっと存在を知らされていなかった。
母が他界してアスハ家の養女となって、都内へ戻ってきてから一人で探した。
できれば母の遺骨もそこに移して一緒に眠らせてあげたい…。
…そして高校のとき、やっと探し当てた。
墓石はそんなに汚れてはいなかったけど、掃除をしていて、そこに刻まれた数字に気づいてしまった。
父の命日が。
母から聞かされていた日と1年ズレていたのだ。
高校生でもわかる…。
子どもはおよそ十ヶ月で生まれてくる。
父がこの日に亡くなっていたなら…
この人は、私の父ではない。