Red Line 第2話
“―――また会いたい”
その想いが
言葉にすることが
それだけで罪だというはずがないんだ
【Red Line 第2話】
「ほんと…悪いことしちゃったなぁ…」
その夜、カガリはベッドの上で今日の行いを深く反省していた。
一人暮らしであるためその呟きに返してくれる人はいない。
あんな立派な人を不審者と間違えたあげく、お茶までかけてしまった…。
一流商社の名刺とIDカード。
その社名は全然職種の違うカガリでも知っているものだった。
「なのに、笑って許してくれて…」
確か“アスラン・ザラ”と書いてあった。
…優しい人。
なぜか向こうの方が申し訳なさそうに遠慮していて
綺麗な瞳で、一瞬だけ柔らかな笑みを見せてくれた。
優しくていい人だったからこそ、ちゃんとお詫びができなかったことが心苦しくて仕方なかった。
だから―――とっさに連絡先を書いて渡して。
「…いやっ、別に変な意味で渡したんじゃないし…!///」
独りで慌てながらシーツに潜り込む。
恥ずかしい…。
自分から男の人に連絡先を渡すなんて初めてで。
責任感からとはいえ、かなり大胆なことをしてしまったんじゃないかと思う。
逆に手間取らせて迷惑かもしれないし。
仕事が忙しいかもしれないし…。
でも、口先だけで謝って終わらせるなんてどうしても出来なかった。
あれきりで終わらせるなんて、そんなこと―――
「連絡…くれるかな」
携帯画面を見つめながら、その日は眠った。
…翌日、カガリが仕事を終えると、知らないメールアドレスからメールが届いていた。
彼女が心待ちにしていたものだった。