Red Line 最終話
きみと寄り添って一緒に眠って
同じ朝陽で目を覚ますんだ
10年後も50年後も
どんなことがあっても
【Red Line 最終話】
その週末、アスランはハイネに連絡をとり、彼の仲介で2人のDNA鑑定をしてもらうことになった。
もともと探偵事務所というのは、浮気で誰の子どもかわからないというような鑑定の依頼も多いらしい。
「二人の意思なのであれば」とハイネも快く引き受けてくれた。
判定結果が出るのは、一週間後だった。
その一週間の間に、カガリは次の行動を起こした。
「アスハのお父さまに会って。アスラン」
突然のことにアスランは目を点にした。
カガリは本当に予想もしないことを口にするので、アスランの頭では追いつかないことが多い。
「実はもう言っちゃったんだ。明日実家に連れてくって」
「え…、え!?」
アスランの両親はもういない、しかしカガリには養子にしてもらったアスハ家があるのだ。
次のステップを現実的に考えれば、当然そういうことになる。
・・すべては、アスランを不安にさせないため。
「あれ、やってほしいなー。ドラマとかでよくある…」
カガリはおどけて言ってみせた。
「お嬢さんをください、ってやつ」
相手の実家に挨拶に行くというのは、一般的に、人生でいちばんの緊張なのだという。
しかし、アスラン方の両親はいないため、カガリはその緊張には無縁なのだ。
その余裕から、カガリはアスランをからかっていた。
「ズルイぞ、カガリ。俺ばっかり…」
「えへへ、バレた?」
くすくすと笑うカガリに、アスランはふてくされたフリをする。
自分たちは普通の恋人同士なのだと、そんなやり取りが幸せで…笑い合った。
―――そして、意図せずともこのアスハ家訪問が、複雑に絡み合った糸をほどくことになる。